第9記:煎餅

 眼が覚めた。枕辺の時計は「朝の9時」を示していた。昨日は体調が思わしくなかった。喉の奥が痛い。熱もある。どうやら風邪を引いてしまったようだ。こういう場合は、寝るのが一番である。

 戸棚を探してみると、薬の瓶が出てきた。指定数の錠剤を湯冷ましで流し込み、俺は布団に潜った。ラジオはつけっ放し。ジャズのリズムを聴きながら、ダサクの続きを考えていたら、猛烈な眠気が押し寄せてきた。


 台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。体調は回復したものの、今日中に片づけなくてはならない雑用の数を考えると、気が重かった。七尾製菓の「太鼓せんべい」を齧りながら、熱いコーヒーを飲んだ。

 その後、商店街に行き、用事を済ませた。空腹を覚えたので、同界隈の中華料理屋さんに入り、麻婆丼とミニラーメンのセットを食べた。なかなか旨かった。味もいいし、量もたっぷり。


♞以上は3月13日の日記の一部。


 眼が覚めた。枕時計は「朝の7時半」を示していた。昨夜は睡魔に潰される寸前まで『スローなブギにしてくれ』を観ていた。大好きな映画である。最初の鑑賞から、10年以上の時間が過ぎている。記憶に残っている印象的場面もあれば、あれ?こんなシーンあったかな?というような「忘却映像」も現れたりして、なかなか面白い。

 台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。窓ガラスの向こうは雨模様。今日は「洗濯デー」だが、こんな日に1週間分の衣類など担ぎたくない。まったく馬鹿げている。冗談じゃない。だから、やめた。


 熱いコーヒーを飲みながら、タスケチェスを指す。将棋と同じように、チェスの戦法も様々ある。先手には先手の指し方が、後手には後手の指し方がある。面倒だが、ある程度把握しておかないと、試合にも、勝負にもならない。第一、チェスにならぬ。

 定跡の記憶を全否定しているチェス本もある。否定も大変結構だが、だったら、どう指せばいいのか、代案(策)を記してもらいたい。記せるけど記さないのか、記そうにも、記す力がないのか。どちらにしても、指南書(指導者)失格でしょう。漫然と駒を動かしているだけでは、いつまで経っても、ごっこの域から抜(脱)け出せない。抜け出せる本が、俺は読みたい。

 対局後、愛機を起動させて、ぴよぶっくを呼び出した。ダサクの編集に没頭。2頁を投稿した。


♞以上は3月19日の日記の一部。

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