4話
アスレチック双六は思った以上に体力を使う。
なにより、事あるごとに何マスか戻されたり、はたまた『二人で抱き合って、一回お休み』とかヘンな命令まであって……。
これって意味ある?
でも、なぜか小橋さんは喜んでいた。
『いいぞぉ~コレ~』
それ実況で言っていい台詞じゃないよね!?
その間も、双六はターンを挟んで刻一刻と進んで行く。
『さあ、お次は貴宝院&吉成ペアの番です。果たしてどこに止まるのか?』
「次は、ボクがサイコロを振る番だね♪」
「いい目を頼むよ、美樹」
「任せてよ!」
よぉし、奈緒ちゃんのご期待に添えるようガンバらないと。
そう思って、自分の身体の半分ほどの大きさもあるサイコロを振る。すると、サイコロの目は「6」を示した。
「やった! 奈緒ちゃん、6が出たよ!」
「スゴいぞ、美樹」
「えへへっ、褒められちゃった」
つい嬉しくて、その場で小躍りしちゃった。
けれども、ピョンピョン跳ねながら6ます先に行って、そこに書かれていた内容に思わずビックリ。
【残念! スタート地点に戻れ】
『あ〜っと!? 貴宝院&吉成ペア、まさかの振り出し! 注目の大本命に思わぬハプニング発生です』
ええ~っ!? そんなのってアリ!!
ボクは、あまりの仕打ちにその場に崩れ落ちた。
「……そんなぁ……順調にここまで進んできたのに……」
「大丈夫だよ、美樹」
「奈緒ちゃん、ゴメン。せっかく一番でゴールできそうだったところをボクのせいで台無しにしちゃった」
「気にしてないよ。そんなことより、私はいま美樹と一緒に楽しめてて嬉しいんだ」
「……ボクと一緒で……嬉しいの……?」
「ああ、いつもみんなに囲まれ過ぎちゃってるからね。デート以外だとこういう機会にはなかなか巡り会えないから、私としては新鮮で嬉しいのさ」
うぅ……。せっかくあと少しでゴールだったのに。
ボクはグッタリと肩を落としながら、奈緒ちゃんと一緒にスタート地点へと戻った。
「今度は、私が降る番だね」
「ゴメンね、奈緒ちゃん」
「気にしなくていいよ。私がどうにか挽回してみせるからさ」
そう言って、スマイルを見せる奈緒ちゃん。
悔しいけど、やっぱりボクより全然イケメンで男らしい(女の子だけど)。でも、その言葉自体は大失敗を犯したボクにとっては救いだった。
「そう簡単にゴールできるかな?」
ところが、そんな奈緒ちゃんをあざ笑うかのような声が聞こえてくる。
後ろを振り返ると、中くらいの背丈の男子と、デップリとしたお腹が印象的な男子が立っていた。
「えっと、誰だっけ?」
「同じクラスの里森と西田だよっ‼」
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