第28話レベルアップしたかくれんぼ

俺があくびをしながら学校へ向かっていると。


夏のはじまりかと言わんばかりの、ものすごく暑い太陽の光が俺の体力を徐々に削っていく。


「あああっちーーーい!」


「まだ5月の終わりの方だぞ、なんでこんなに暑いんだ!」


俺はそんなことをぼやきながら自分の手をうちわ代わりにして扇いでいると。


俺の目の前にティーナの姿が見えた。


「おーいティーナ!」


俺がそういうとティーナは後ろを振り返って、俺の方を見た。


「あ!りく…おはよう」


「おはようティーナ」


「明日の…休み…が終わったら…次の日…体育祭…だね」


ティーナが満面の笑みでそう言った。


「いや、その前に1回、また休みがあるよ」


「あっ!そっか」


とは言うものの、俺には気がかりなことが一つあった。


雲雀に演劇の最中とかに妨害されなきゃいいが。


まぁ、それを今考えたところで仕方がないきっとその時はその時で何とかなるだろう。


俺達がしばらく歩いていると横の細い道から麻衣が歩いてきた。


「おはようティーナ」


「おはよう」


ティーナもそう返事を返す。


「なぁ麻衣なんで今日こんなにやたらと暑いんだ?」


「私も分からないけど、こんなに暑いのは今月で今日だけみたいよ」


「そうなのかだったら早く、昨日の気温に戻ってほしいんだけど」


俺は麻衣の顔を見ながらそう言った。


「私に言われても神様じゃないんだから、無理に決まってるでしょ」


「それもそうだな」


俺達はそんな雑談をしながら学校へ向かった。


俺とティーナはいつも通り自分たちのクラスへ向かった。



俺は自分の席に座って一息ついた。


「すいませんりくくんいますか?」


教室の前の扉の方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。


そっちの方に目線を向けてみると、俺の名前を呼んでいたのはいつも一緒に演劇の練習をしている女子生徒だった。


「どうしたんだ、俺に何か用か?」


俺はそう言いながらその女子生徒の方に向かって歩いた。


「陸くんごめん今日一緒に演劇の練習をしてるひとりの女の子が体調崩しちゃって今日練習中止になったんだ」


その女子生徒は申し訳なさそうにそう言っだ。


「それは別にいいんだけど、その女の子大丈夫なのか?」


「うん、咳だけの風邪だって言ってたから、そんなにひどくはないと思う?」


「それならよかった。その子にあったらそう伝えておいてくれ」


「うん、わかった」


そして俺はその女の子を見送った後自分の席に戻った。


「今、何の…話して…たのりく?」


「女の子が1人休んで演劇の練習が中止になったっていう話だよ」


「その子大丈夫かなぁ」


ティーナは心配そうな表情でそう言った。


「大丈夫だと思うぞ、そんなにひどい感じじゃないって言ってたし」


「そうな…んだそれなら…よかった」


俺達がそんなことを話していると右の方から男子生徒達の会話が聞こえてくる。


「なぁお前ら陸に再びリベンジの勝負を挑で俺達のティーナちゃんを取り戻さないか!」


「もちろん!」


「それなら俺にいい考えがある聞いてくれ!」


そんなことを話していたのは、前に俺達にかくれんぼの勝負を挑できた男子生徒達だった。


前にも思ったけど俺にこれから勝負を挑むのに聞こえるように喋ってたら意味ないんじゃないか?


あと、今話聞いてて思ったけどティーナはお前達のものじゃないだろう。


しばらくすると前と同じように1人男性とか奇妙なほどの笑みを浮かべながら俺に向かってゆっくりと歩いてきた。


「ねぇ陸くんまた一緒にかくれんぼしようよ」


俺はその言葉を聞いてティーナの目を見て無視をしようと合図を送る。


ティーナはわかったという合図を、俺にメで送ってきて無視をした。


「ねえねえ陸くんティーナちゃん俺達と一緒に遊ぼうよ」


俺達は無視をし続けたがその男性とは諦めることなく俺達に似たような言葉をずっと言っていた。


俺とティーナは同時に痺れを切らした。


そして俺がこう言った。


「なんなんだよしつこいなぁ!」


俺は少し不機嫌そうにそう言った。




「なぁ陸くん俺たちと一緒に遊ぼうぜもちろんティーナちゃんも一緒に」


「わかったわかった、やればいいんだろうやれば」


俺は面倒くさそうにそう言った。


「それじゃあ、俺達についてきてくれ」


俺達は大人しくその男達について行った。



連れてこられたのは学校の校庭だった。


「ここで今回は一体何をするんだ」


「またかくれんぼを一緒にやろうと思って」


「はぁ、それでルールはどんな感じなんだ」


俺はため息をつきながら、そう言った。


「基本的にはこの前のルールと一緒だがいくつか違うところがある」


「まず今回のかくれんぼではこれをつけてもらう」


そう言って男子生徒が俺達に見せてきたのは腕時計の形をした何かの機会だった。


「今回はこれを付けた状態でかくれんぼをやってもらう、もし一瞬でも外したら陸の負けだからな」


「陸がこの勝負に負けたら俺達はティーナちゃんとデートさせてもらう!」


ていうかまだこいつらティーナとデートすることを諦めてなかったんだな。


俺はそう思いながら時計をつけていない左腕の方にその機械をつけた。


「制限時間はこの前と一緒の休み時間が終わるまでだ」


「あっ!一つ言い忘れてたけど、今回はトラップが仕掛けてあるから気をつけてね」


「トラップ!」


「今日みたいな暑い日には、ちょうどいいトラップだ」


「それじゃあ、俺達はあっちの方で30秒数えてくれよ」


「りく…どうするの?」


「とりあえず、どこかに隠れるぞティーナ」


俺はそう言った後、ティーナの手を引いて隠れた。


「どうする…のこのまま…ずっとりく…隠れてても…そのうち見つかっちゃうよ」


「ああ、わかってる」


「あ!見つかった」


ティーナは男子生徒達の方を見て、そういった。


「やばいティーナ逃げるぞ!」


俺はそう言ってティーナの手を引きながら走った。


そして俺達はしばらく走った。


俺達は色んな所に隠れるが、すぐに見つかってしまう。


くそ、何でだ、何でこんなに早く見つかるんだ!


「あ!」


俺とティーナはなんでここに置いてあるかわからないホースに足を引っ掛けて転んでしまった。


俺とティーナはそのホースから出ている水を思いっきり浴びてしまい、着ている服がビショビショになった。


「大丈夫かティーナ!」


「うん」


「とりあえず隠れるぞ!」


「隠れるって…言っても…どこに!」


「この学校にはもう使われてない資料室があるみたいでとりあえずそこに隠れるぞ」


俺達は急いで資料室に向かった。




「恐らくこれで数分は稼げるはずだ、その間になんとかしないと!」


「はくしゅん!」


「りく…大丈夫はくしゅん!」


「まじでこのままだと風邪ひいちゃうな」


俺はそんなことを言いながらふとティーナの方を見た。


するとティーナの服はびしょびしょになっていて下着が透けて見えた。


「きゃ!」


「悪いティーナ!」


俺は慌ててティーナから目をそらした。


「それにしても、なんですぐ見つかっちゃうんだろうな?」


「GPSでも…つけら…れてる…みたいだね」


俺はその言葉を聞いて、ピンときた。


「そうだ、GPS!」


俺は急いで腕時計みたいな機械の裏側を調べた。


するとその機械の裏側には気にしていないと見えない位の薄いテープが貼られていた。


そのテープを剥がしてみると、やはりそこにはGPSが付けられていた。


俺達はそれを壊して時間が来るまで待って。



そして俺達は男達を探した。



「まさかGPSが仕掛けられてるとは思わなかったな」


「バレたのか!」


「お前ら急いで逃げるぞ!」


「おう!」


男達はそう言いながら慌てて逃げた。


「りく…無事に…勝てたね」


「いやティーナのおかげだよ、ありがとう」


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