第27話演劇の衣装
あの出来事からしばらくして。
俺達はあれから色々話し合った。
「りく…もう少しで体育祭だね!」
ティーナは嬉しそうに笑顔で俺にそう言ってきた。
「ああ、そうだな、正直、俺小学校の時の行事しか出たことないんだよな」
「なんで?中学校…の時こういうの…やらな…かったの?」
「って言っても…私…日本に来たの…最近…だから学校の…ことよくわかって…ないんだけど」
中学んときにいじめられて途中から少し治って学校に行けるようになったけどほぼ3年間休んでたしなぁ。
ティーナにこのことを話したら、また心配しそうだからうまく誤魔化しておくか。
「えーと…まぁ、色々あったんだよ」
全然うまくごまかせてる気はしないが。
「そう…だったんだ」
なんとか納得してくれたみたいだな。
かなり無理矢理だった気がするけど。
それから俺とティーナはいつものように雑談をすることにした。
「りく…にこの前…話したラノベの…漫画読み終わった!」
「で、どうだった?」
「すっごく…面白かった」
「ねぇりく…また…漫画で…面白そ…うなのがあったら…教えて」
「ああ、教えるよ」
俺達はしばらく漫画やアニメの話をして盛り上がっていた。
「もうすぐ休み時間終わりか」
「このあとは演劇の練習だな」
「それじゃあ、少し早いけど、体育館に行くか」
「うん」
ティーナは笑顔でそう頷いた。
そして俺達は体育館に向かった。
すると体育館の中の右の方には折り畳めるテーブルが置いてあって、そこの上には色々な服が置かれていた。
「この服どうしたんだ?」
らを俺は疑問に思いそう聞いた。
「演劇できる衣装を私の友達に作ってもらったんだ」
「でも、俺達サイズなんて測られた覚えないけど、大丈夫なのか?」
1人の男性とがそう言った。
「ずっと前に私がみんなのやつ測ったじゃん」
俺は頑張って記憶を遡り、思い出した。
ああ、確かにあったな放課後ギリギリで呼び止められてメジャーで測られた。
「それじゃあ、早速、女子は更衣室で着替えてきて」
「俺達はどこで着替えればいい?」
「そんなの知らない自分達で何とかして!」
「俺達の扱いだけ適当だな」
男子生徒の1人がそう言った。
俺は体操着に着替える時に使うロッカーの前で着替えることにした。
俺は袋に書かれた自分の名前を確認してそれを持って場所を移動した。
俺の衣装はこの袋の中に入っている。
俺は着替えを終えて、体育館に戻った。
俺の衣装はウェブ小説の主人公がよく来ていそうな、言ってしまえば普通の服だった。
まぁ、今回のやる劇の内容が主人公が普通の剣士でヒロインを助けてそこから色々な人に認められていくっていうストーリーだから仕方がないんだけど。
ティーナはまだ戻ってきてないみたいだな。
俺はそう思いながら辺りを見回した。
しばらくすると着替えが終わった女子生徒達が体育館の中に入ってくる。
女子生徒が色々な衣装を着ている中で、俺の目に真っ先に泊まったのはドレス姿のティーナだった。
「どうかなりく?」
ティーナは少し恥ずかしそうに顔を赤くしながら、俺にそう聞いてくる。
「ああ…とっても似合ってると思うぞ!」
俺はティーナの可愛さに思わず動揺して目をそらしてしまった。
「あ!」
「危ない!ティーナ!」
俺は転びそうになったティーナを咄嗟に受け止めた。
「大丈夫かティーナ!」
「うん…大丈夫…りく…ありがとう」
ティーナがそう言いながら少し顔を上げると、俺と目が合う。
「ティーナさんごめんなさい足踏んじゃって!」
1人の女子生徒が急いでティーナに謝った。
「大丈夫…怪我し…てないから気にし…ないで」
「なあ、お前ら今のみたか!」
「ああ、見た見た!」
「陸のやつ、クラスの中だけじゃなく、こんなところでもティーナちゃんとイチャイチャするなんて!」
少し遠くの方から俺に向かって殺意がこもった目線が飛んでくる。
なんでこんなところでも殺意のこもった目線を浴びなきゃいけないんだよ。
あいつらに今のは事故だって言っても信じてくれないだろうな。
いや、違うか、信じようとしてくれないんだ。
「それじゃあ、早速その衣装を着た状態で演劇の練習をやってみようか!」
1人の女子生徒がそう言うとみんなは返事をして体育館の舞台の上に上がる。
それから俺達はしばらく練習をした。
「はぁはぁ!」
かなり長い時間の練習にみんなは疲れているようだった。
まぁ、さっきまで普通に勉強していて、それプラスこうやって放課後に演劇の練習をしているんだから。
少なくとも相当疲れているはずだ。
おそらくこの中で一番疲れているのは俺だと思うけど。
なんせ、今まで部活にも何一つ入ったことないし、運動なんてまともにしたことがない。
俺が一息ついたと同時に女子生徒が立ち上がってこう言った。
「みんなの衣装、どうだった何かおかしいとこあった」
「もし歩きにくいとか動きづらいとかがあれば、また友達に頼んでやってもらうけど」
「はい私の衣装、歩いてる途中に足が引っかかりそうになるんだけど、直してもらえるかな?」
女子生徒は手を挙げたあとそういった。
「ちょっと時間はかかるかもしれないけど、頼んでみるよ」
「他には衣装で気になる部分がある人いないかな?」
その女子生徒はそう言いながら辺りを見回した後俺の方見た。
「陸くんとティーナは何かおかしなとこない?」
「俺は大丈夫だ」
「ティーナさんは何かおかしなところはない?」
「あ!えーと大丈夫…です」
「それならよかった」
「それじゃあ今日はこの辺で解散!」
「おつかれ」
「おつかれ」
みんなは口々にそう言いながら体育館を出ていく。
「陸くんおつかれまた明日ね」
女子生徒達がそう言いながら俺に手を振ってくる。
俺は少し驚いたが手をふりかえした。
「ああ、バイバイ、また明日」
気が付けば体育館の中には俺とティーナしかいなくなっていた。
「それじゃあ…一緒に…帰ろう…りく」
ティーナは一息ついた後、立ち上がって俺の方見ながら笑顔でそう言った。
「ああ、そうだな」
「私…着替えてくる…から…ちょっと…待ってて」
「あ!そうだ、俺も着替えてこないと!」
「それじゃあいつもと同じで門の所に集合でいっか」
「うん…わかった」
俺は着替えを終えて、門の方へ向かった。
「ティーナはまだ着替えてないみたいだな」
少しするとティーナがこっちに向かって走ってきているのが見えた。
「ごめんりく…持たせちゃって!」
「そんなに急がなくても大丈夫だって」
「それじゃあ帰るか」
「うん…帰ろう…りく」
そして俺達は家に向かって歩き始めた。
「やっぱりこっちの方が落ち着くな」
俺はティーナの制服姿を見て小さな声でそう言った。
「今りく…何か言った?」
「いや、何でもない」
「楽しみだねりく」
「楽しみって何が?」
「私…日本の…運動会…初めて…だから…楽しみ…なんだ」
ティーナは笑顔でそういった。
「まあ、俺もともと行事嫌いだけど、今回は少しだけ楽しめそうだよ」
面白かったら 星3つ つまらなかったら 星一つ 正直に感じた気持ちでもちろん 大丈夫です。 最後にブックマークもいただけると嬉しいです。
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