第26話忘れていた光景

俺が教室に入るとそこにはいつものようにティーナの姿があった。


別に普通のことなんだが、最近はいつも一緒に登校してたから、少し不思議な感じがする。


まどの方を見ているティーナに俺は声をかけた。



「おはようティーナ今日は早かったんだな」


ティーナはその言葉に反応し俺の方に顔を向ける。


「あ!りく…おはよう」


「今日は…いつも…より早く…目が…覚めたから」


「早く…学校に…これたんだ」


「そうだったのか」


俺はそういった後自分の席に座った。


「そういえば!前から思ってたんだけどティーナ前より日本語上手くなったよな」



俺は心の中で思っていたことを口にそのまま出した。




「ほんと!」


ティーナは嬉しそうな表情でそう言った。


「ああ、初めて会った時も日本語うまかったけど、今はもっと上手くなってる」


「ありがとうりく」


ティーナは笑顔でそう言った。


ティーナは少し間を置いた後、英語でこう話し始めた。


『全然話変わっちゃうんだけどさ』


『何だ?』


『ずっと前に買ったラノベの漫画読んだんだけど、凄い面白かった』


『どういうジャンルのラノベのやつだ』


『ほらりくが前に新しいゲームをお店に買いに来た時見せたやつ』


『あ、あれか!』


俺達はしばらくそのラノベについて話をした。


しばらくすると、教室に先生が入ってきた。




「それじゃあ、今日は久しぶりに歴史の授業をするぞ」


「はーい」


クラスの生徒達はだるそうに返事をしながら歴史の教科書を机から出した。


「りく…ここが…わからない…だけど?」


ティーナは分からない部分を指差しながら俺にそう聞いてきた。


俺は手の部分に暖かい温もりを感じて少し目線を下の方に向けてみると。


ティーナの胸が俺の手に触れていることがわかった。


最近歴史の授業なかったから油断してたけどティーナこういうの気にしてないんだった。


いや、気にしてないというよりかはもしかしたら気づいてないのかもしれない。


俺は思わず目を泳がしてしまった。


「なんで…りく…の目…そんなに動いてるの?」


俺はその言葉を聞いてティーナと出会ってすぐの時のことを思い出した。


そいえば!ティーナと出会ってばっかりん時も似たようなことがあったな。


って!今はそんなことを考えてる場合じゃない!


なんとかバレないように手を移動させないと!


俺はティーナにその分からないところを教えて手を移動させることにした。


「えーと、そこは」


俺は普段使わない脳をフル回転させてティーナにその答えを教えた。


もしかしたら間違ってるかもしれないけど悪いティーナ!


俺は心の中でそう思いながら手を動かそうとすると。


「ねえ…りく…ここもわかんない…教えてくれる?」


ティーナはそう言うと同時に俺に少し近づいてきた。


すると俺の手に触れているティーナの胸の感触がさらにはっきりと分かるようになった。


ちょ、これはさすがにまずいだろうゆっくりと手をどけるつもりが、さらにまずい状況になった!


いったいどうしたらこの状況を誰にもバレずに脱出することができるんだ!


考えろ、考えるんだ!


って!そんなの無理に決まってるだろうこんな状況ギャルゲの世界でしか見たことないよ!


「りく…大丈夫…顔色…悪いよ」


ティーナは心配そうな顔をしながら、そう言った。


心配してくれるのは嬉しいんだけどその原因はティーナにあるんだよ!


とは言ってもティーナにこの状況を教えるわけにもいかないし!


「くそ!陸のやつまたティーナちゃんとイチャイチャしやがって!」


俺は周りから殺意のこもった目線を向けられる。


そうじゃないんだって!


俺は心の中でそう叫んだ。


それからしばらくして俺達は今日も体育館で演劇の練習をすることになった。



「あ!台本持ってくるの忘れた俺、ちょっと取りに戻る」


「あ!りく…私も…一緒に…行くよ」


そう言いながらティーナが俺に駆け寄ってくる。


「それじゃあ、ティーナ一緒に行くか」


そして俺達は自分達のクラスに戻った。



「えーと、俺のカバンは?」


俺はそう言いながら周りを見渡して鞄を見つけた。


「あ!そうだそうだ、自分の席の横に掛けておいたんだった!」


俺はそう言いながら自分のカバンを開けた。


するとそこには信じられない光景が広がっていた。


台本の紙はなぜかビリビリに破かれ、とても読める状態じゃなかった。


もちろん、俺はやっていない、やるはずがない。


俺はそんな光景を目の前にしても冷静だった。


それは多分ある程度予想していたからだと思う。


まだ確証はないが恐らくこれをやったのは雲雀かその手下だろう。


この前雲雀に無事にできるといいなって言われた時からある程度予想はしてたけど、まさかここまでやるとは思わなかった。



「りく…これって…どういうこと!」


ティーナは驚いた顔でそう言った。



「とりあえず、みんなにこの事を伝えよう」


「うん」


ティーナの表情はショックというよりも驚いているようだった。


俺達はそのビリビリに破かれた紙を持って体育館に戻った。



「遅かったねティーナさん達」


「そんなことより早く練習始めようよ」


女子生徒のひとりがそう言った。


「それが台本誰かにビリビリに破かれちゃってさ」


俺はそのビリビリに破かれた台本をみんなに見せながら、そう言った。


するとみんなの表情は俺の予想通り驚いているようだった。


そして俺は続けてこう言った。


「だけど、みんな安心してくれこんなこともあろうかと俺の家のパソコンに全く同じデータを保存してある」


俺がそう言うとみんなの顔は一瞬で驚きと安心の表情に変わった。


「陸くんすっごいまさかこうなることをあらかじめ予想しておいたのね!」


「陸すっげえな、お前!」


「ほんとほんとここまで予想が出来るなんて陸くん天才だね!」


「いや、俺はただそういうことがあっても大丈夫なようにあらかじめ対策しておいただけだよ」


本当は雲雀に言われたから対策しておいたんだけど。


「それを行動に起こせるんだから、すごいよ陸くんは」


「みんなありがとう、とりあえず今日は練習中止でいいかな?」


「うん」


みんなはそう返事をしながら相槌を打った。


俺とティーナは一緒に歩いて入口の門の方に向かった。


「あ!私…教室に…忘れ物…したかも!りく…先に行ってて」


「ああ、わかったそれじゃあ門のとこで待ってる」


ティーナは急いで教室へと戻っていく。


少しすると俺に向かって雲雀が歩いてきていることがわかった。


「よう、陸演劇の調子はどうだ」


「台本ビリビリに破いたの」雲雀だろ」


「ああ、そうだけど、それがどうかしたのか?」


雲雀は開き直ってそう言った。


「雲雀俺、前に言ったよなティーナ達を巻き込んだら許さないって!」


俺は心の中で頭に血が上らないように深呼吸したあと、そう言った。


「覚えてるけど、それが何だって言うんだよ!」


「どうせお前達なんてたいした演技できないんだから意味無いだろう」


俺はその言葉を聞いた後雲雀に少し低い声で圧をかけながら、こう言った。


「俺達をなめるなよ雲雀!」


「まぁ、せいぜい頑張れよ」


そう言って雲雀は立ち去っていった。


「あれりく…何かあったの?」


「いや、何でもないよ、帰るかティーナ」


「うん」


そして俺達はこんなことがあっても気にせず劇の練習を続けた。


面白かったら 星3つ つまらなかったら 星一つ 正直に感じた気持ちでもちろん 大丈夫です。 最後にブックマークもいただけると嬉しいです。


スキルが一つも使えないという理由で勇者パーティーを『追放』された俺は《伝説の剣士》に修行をつけてもらったら、とてつもなく強くなりましたどうやら俺は体の成長が追いついてなくて力が使えなかっただけみたいだ。


という短編作品を書いたので ぜひ読んでみてください。


この作品と同じ(追放)『ざまぁ』なので気に入っていただけると思います

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