第22話体育祭準備



「今日から体育祭の練習をするぞ」


「まず1年は知らないと思うから説明する」


「この学校は体育祭の決まり事みたいなのが、特にないんだ」


「先生、その決まり事っていうのは?」


クラスの男子生徒のひとりがそう言いながら手を挙げて質問した。


「そうだなぁ、簡単に言うとうちの学校は毎回体育祭でこれをやってるから今年もやりなさいとかそういうのがないってことだ」


「だから、つまりこの学校の生徒達は体育祭でやることを決めていいってことだ」


「よっしゃ、自分達で決めていいならやりたいことやってやるぜ!」


周りからそんな言葉が口々に聞こえてくる。


「ただし!学園祭でやってるような食べ物とか飲み物を出す、お店みたいなのはなしだ」


「ええ!」


周りから不満の声が次々と聞こえてくる。


「あくまでこれは体育祭だから食べ物とか飲み物とか出したら何をやってるのかわかんなくなるだろう」


「じゃあ、どういうものだったらいいんですか?」


「できるのは頭を使うものと体を使うんだ」


「あ!あと言い忘れていたが体育祭は5月の31日だ」


「それじゃあ、あとで自分達で話し合いをしろ」


「はぁ話し合いか」


俺はため息をつきながら、そう言った。


「そんなこと…言わないで…一緒に…頑張ろうよ…りく」


ティーナは笑顔で俺にそう言った。


俺達がそんなことを話していると後ろから誰かに肩をトントンと叩かれた。


俺が後ろを振り返ってみると、そこには1人の女子生徒が立っていた。


「ねえ体育祭で一緒に何やろうか考えない?」


「えっえっとー、俺は」


インキャな俺があなたみたいなリアジュウの話の中に入れるわけないでしょう。


「ティーナさんも一緒にやろうよ」


「うん…やりたい!」


「それじゃあ2人ともこっちに来て」


俺に拒否権はないのか!


「あ!陸はティーナさんの隣ね通訳してほしいから」


「ああわかった」


俺はそう言いながら一緒に椅子に座った。


「まず最初は何をやるかなんだけどみんな何やりたい?」


どうやら俺達を誘った、この女子生徒が、このグループの中の話を回していく役割みたいだ。


「そうだな、俺はWiiスポーツがやりたい!」


「それじゃあ用意するのくそめんどくせえじゃねえか!」


「はいはい、俺はバンジージャンプがやってみたい」


「お前、バカかそんな危険な事を学校側が許してくれるわけないだろう」


「それもそうだな」


どうしたらいいんだ、俺話の展開が早すぎてどうしたらいいかわかんない!


「あ!陸とティーナさんは何かアイディアある?」


一旦対話が止まってくれたのは助かるけど、何も考えてなかった。


どうすればいいんだ!


そうだ!


「ティーナは何かやってみたいことはないのか?」


『この人達、さっきから何の話をしてるのりく?』


ティーナも俺と同じように何を言ってるのかわからなかったみたいだ。


『この学校の運動会で何をやるか、今話し合ってるんだけど、何がいいと思う?』



俺がそう聞くとティーナは難しい顔で悩んでいるようだった。



『みんなでできるやつがいいと思う」


『みんなでできるやつっていうと、例えばどんなの?』


『考えたんだけど、いいのが思いつかなくて』


とりあえず俺はティーナが今言ったことを伝えることにした。


「ティーナがみんなができるやつがいいんじゃないかって言ってるんだけど何かあるか?」


「みんなで出来るやつか?」


「あ!映画作りとかどうだ」


「できるわけないだろう、この学校に、そもそも映画のセットなんてないし」


「もしやるとしても、映画の機材は予算的に無理だろう」


「それじゃあ、間をとって、演劇は?」


「それだ!!!」


みんな発言した男子生徒の方を指差しながらそう言った。


決まるの早いな!


俺は心の中でそう思った。


「でもちょっと台本とかはどうするんだ?」


俺は疑問に思いそう聞いた。


「りく…がやれば…いいんじゃ…ない」


ティーナが俺にそう言った。


「え!陸って脚本書いたことあるのか!」


「いや、俺が書いてたのは小説で脚本じゃない、それにもう何年も経ってるから書く時の感覚なんて忘れちゃったし」


「それでもかけるだけすっげえよ!」


「よし、それじゃあ脚本は陸が担当だ!」


「いや、ちょっと待ってくれ!」


「ってもう次の話に進んでる!」


「大丈夫…だよきっと…りく…なら…できるよ」


「もしそうなったら協力してもらうぞティーナ」


「うん」


ティーナは満面の笑みで頷いた。


しばらくしてそれぞれのグループで考えた体育祭でやる出し物を話し合った。


クラス全員と話し合った結果、演劇になった。




俺達はいつものように3人で屋上に行ってお昼ごはんを食べることになった。



「はぁ、やっぱりここは晴れてると気持ちのいい風が吹くな」


「そういえば!麻衣のクラスの体育祭の出し物はどうなってるんだ?」


「まだ全然決まってないわ」


一息ついた後、麻衣がそう言った。


「なぜか桃太郎と花咲かじいさんと浦島太郎を混ぜたら面白いんじゃないかって話になって、それを止めるのに一苦労だったわ」


「ははは枚も色々と大変だったなぁ」


俺は苦笑いでそう言った。


「それでそっちはどうなの?」


「ああ、なんとか演劇をやるってとこまで決まったんだけど、まだどういうジャンルかは決まってなくて」


「ストーリーはりく…が書くんだ…よ!」


「陸が書くの!」


麻衣は少し驚いた表情でそう言った。


「作ったことあるの脚本とかって?」


「いや一応小説は書いたことあるんだけど、200文字ぐらいしか続かなくて」


「でも、まあ陸ならできそうだね」


「なんでわかるんだよ?」


麻衣は笑顔でそう言った。


「なんとなくだけど、そんな気がする」


「私も…そう思う…よりく」


「まあ、うまくいくかどうかはわかんないけど、やるだけやってみるよ」


「麻衣のクラスも早く何やるか決まるといいな」


「まあ、何とか今日中に考えるようにするわ」


俺はお昼ごはんを食べ終わって、廊下を歩きながら劇のジャンルを何にするか考えていた。


「なぁティーナは体育祭の劇でやるとしたらどんなジャンルのやつがやりたい?」


「私は…RPGゲーム…みたいな…ストーリーがいい」


「俺もそのジャンルは好きだから書けるとは思うんだけどRPGの要素だけだったら俺の場合バトルシーンだけになってそうだ」


「異世界転生系のラノベみたいにすればなんとか書けそうな気がするんだけど」


「それだけだと何か物足りないような気がするな」


「ミステリージャンルを…一緒に…してみたら?」


「できるとは思うけど、今の俺の力じゃ難しいと思う」


「異世界転生は基本的にファンタジー世界に転生するから」


「そこにミステリー要素を入れても全部魔法とか悪魔の力って言えば説明がついちゃうんだよ」


「ホラーのゾンビジャンルは?」


「ホラーは俺が苦手だからダメだ」


「フィクション…なのに?」


「フィクションでも書くのが結局俺だから頭の中で想像しちゃうんだよ」


「じゃあ…何が…いいかなぁ」


「そうだなぁ?」


今すぐに思いつきそうにないと思った俺は家に持ち帰って考えることにした。



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