第18話かくれんぼ 後編

とは言ったもののこのままずっとここにいるわけもいかないな。


「30。それじゃあ、かくれんぼ開始としますか!」


あいつら俺たちにわざと聞こえるように言ったな、今それだけ余裕ってことか!


「ずっとこうしていても、いつか見つかる!」


どうすればいいんだ、俺は!


俺はもう一度ルールをよく思い返してみた。


「あ!そうだ!」


「どうか…したりく?」


「ああ、いい作戦が思いついたぞ!」


俺はニヤリと笑いながらそう言った。


「ティーナこっちだ!」


俺は再びティーナの手を引いて見つからないように足音を殺しながら学校の中に入った。



「なんで…いきな…り学校の中に…入ったの?」



「必要なものがあるからだよ!」


「必要な…もの?」


俺達は職員室に入った。



「すいません!今日って古いほうの倉庫って使う予定ありますか?」


俺は少し焦りながらそう言った。


「いや、ないけど、それがどうかしたのか?」


「休み時間が終わったら返すので!その間貸してくれませんか?」


「別にいいけど」


「ありがとうございます!」


俺達は鍵を受け取ってさっきの場所に戻った。



「よし、今は誰もいないな!」


「なんで…わざわざ…倉庫の鍵…借りて…きたの?」


「このかくれんぼのルール覚えてるか?」


「あいつらどこに隠れてもいいよって言ってたから鍵を借りてきて、倉庫に隠れたとしても問題はないはずだ!」



「急いで中に入るぞ!」


俺はそう言って鍵を開けて中に入った。


(ガチャ!)


「あ!」


俺はその時気づいた。


この中は扉が閉まるとほとんど何も見えなくなるということに


「なんで…こんなに…暗く…なったの!」


「悪い今、ライトを点ける!」



「きゃ!」



俺は何かに足をぶつけてしまい、勢いよくティーナの上に転んでしまった。


「いててて悪いティーナ大丈夫か!」


「うん…大丈夫」


俺はティーナがそう言った後腕につけていた時計のライトをつけた。


そのライトで自分の手元を見ると、俺の右手がティーナの胸に触れていた。


「あああ!!!悪いティーナこれはわざとじゃないんだ!」


俺は凄く動揺しながらそう言った。


急いでティーナから離れた。



「大丈夫…だよ…わかってる…から」


「とりあえず、ここにいればそう簡単には見つからないだろう」


俺はほっとした表情でそう言った。



まずい、何か喋らなきゃ!



俺をそう思ったが、意外にも先に喋り始めたのはティーナだった。


「ねえりく…この戦いに勝ったら…私とデートどこに行きたい?」


「えっと…それはその」


その言葉に深い意味はないのは分かっているんだが俺は思わずドキッとしてしまった。


「りく…私と…デートするの…もしかして…嫌だった!」


「いや、そんなことはないよ!」


「でも…俺女の子とデートするの初めてだから、どうしていいかわからないんだよ」


俺はその言葉を言った後自分の中から恥ずかしさと緊張感が溢れ出てくる。


「へー、私とデートりく本当にデートみたいに思ってくれてるんだ嬉しいな」


ティーナはいたずらっぽく笑いながら俺の顔を少し覗き込んでくる。


「あのちょっとティーナ顔が近いんだけど!」


腕時計のライトでティーナの顔がよく見える。


俺はその顔の近さに緊張してしまい、思わず顔を真っ赤にしてしまった。


っていうか、いつも片言なのになんで今のだけしっかり発音で聞いてたんだ。


「りく…かわいい」


ティーナは再びそう言いながらいたずらっぽく笑った。


「なんだよ、今の遊びだったのかよ」


「うんははは」


ティーナは笑いながらそう頷いた。


でもまぁちょっと前のティーナだったらこんなことやらなかっただろうしそこまで信頼してくれたって考えると嬉しいな。


「そろそろ…時間…だよ…りく」


ティーナは俺の腕時計を見ながらそう言った。


「それじゃあ、そろそろ出るか」


「りく…作戦…で簡単に勝てたね」


「ああ、俺ももうちょっと苦戦するかと思ってたんだけどな」


俺はそう言いながら倉庫の扉を開けた。


(ガチャ!)


そして俺達は外に出てあいつらを探した。



「あ!いた」


ティーナは指差しながらそう言った。


「陸一体どこに隠れてたんだ!」


「さあ、どこだろうな」


「それより、俺達のガチだぞ」


俺は腕時計を見せながらそう言った。


「くそ!いつかお前に勝っていつか絶対にティーナちゃんとデートしてやるからな!」


そいつは悔しそうにそう言いながら立ち去っていった。


「それじゃあ、クラスに戻るか」


「うん」


俺達はクラスに戻って、いつもと同じように授業を受けた。


そして、次の日。



俺はいつものように3人で一緒にお昼御飯を食べていた。


俺は昨日のかくれんぼのことを麻依に話した。


「かくれんぼで勝ったらティーナとデートするなんてすごいこと考えるわねその人達」


「そうだ…ね」


ティーナは笑いながら麻依にそう言った。


「それを引き受けるティーナもティーナだけど」


しばらくして俺達はお昼ごはんを食べ終えて一階に降りた。


するとそこには昨日かくれんぼの勝負をしようと挑んできたやつらがそこにいた。


「何の用ですか、こないだの勝負なら、俺達は勝ちましたよね」


「今度はティーナちゃんと麻依さん2人とデートする権利を賭けて勝負をしろ!」


こいつら女の子とデートできるんだったら、誰でもいいんじゃないのか?


俺は呆れたと言わんばかりにこう言った。


「はぁ、分かったよ。ただし次俺たちが勝ったら今後一切俺達に近づくな!」


「わかった、約束しよう」


「ルールはお昼休みが終わるまでそれ以外は昨日と一緒だ」


「ああ、わかった」


「それじゃあ、また30秒後にスタートだ」


そいつはそういったあと俺達から距離を離して数を数えた。


「って!黙って聞いてれば何勝手に引き受けてるのよ!」


「ごめん!ここで決着をつけないと、あいつらティーナや枚にずっとつきまとうと思ったから!」


俺は麻依に頭を下げながらそう言った。


「まあいいわ、でも引き受けたからには絶対に勝ってよ!」


「ああ、わかってる!」


「それじゃあ、早速隠れる場所を探すわよ!」


俺達は隠れる場所を走って探した。


「はぁはぁ!」


「ティーナ大丈夫か!」


「うん…大丈夫…だよ…りく」


どこに隠れればいいんだ昨日みたいに同じ倉庫に隠れてもすぐにバレるのが落ちだ。


俺がそんなことを考えていると、後ろからあいつらの声が聞こえてきた。


「このままじゃ見つかっちゃうこの中に入るわよ!」


麻依はそう言って俺達を横に置いてある大きなロッカーの中に入れた。


「イテテテテ、いきなり何するんだよ麻依!」


俺はあいつらにバレないように小声でそういった。


「しょうがないでしょ、他に隠れる場所思いつかなかったんだから!」


「きゃ!りく…そこ私の胸!」


「悪いティーナ暗くて何も見えなくて!」


「ちょっと動かないでよ、そこ私のおしりよ!」


「悪い!」


こんな状況を俺にどうしろと言うんだ!


2人とも女の子のいい匂いがする!


って、今はそんなこと考えてる場合じゃない!


俺達は、時間切れになるまでそこに隠れた。


「はぁはぁやっと時間になった!」


そして俺達はあいつらを探した。



「さて、今度こそ負けを認めてもらうぞ!」


「わかった、負けを認める!」


男達はとても悔しそうに言った。



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