第17話かくれんぼ 前編

「りく…今回の…テスト…うまく…できそう?」



「そうだなでもとりあえ麻衣にある程度教わったから、いつもよりいい点数は取れると思う」


右から入って左から抜けてないことを祈ろう。


まぁ麻衣の教え方がうまかったし、いつもよりはできると思うけど。


「とりあえずその時はその時だ」


「昨日…まいが…作ってくれた…ご飯…美味しかったね」


「それじゃあ…今度…私が…いつになる…かわかんないけどご飯…作ってあげる!」


「ダメか…な?」


ティーナは首をかしげ ながら俺の方を見てそうった。


かわいいな、ちくしょう!そんな顔されたら断るもんも断れないだろう!


「ああ…できる時に頼むよ」


「ちくしょう毎回思うがなんであいつばっかりいい思いしてるんだよ!」


「ああ、どうか神よ俺達も朝ごはんと昼ごはんと夜ご飯作ってくれる美少女ください!!!」


「あいつなんかに可愛い美少女が話しかけてくれるんだったら俺達もきっといけるはずです!」


「なんであいつばっかり麻衣さんとかと仲良くできるんだよ!」


「絶対におかしい絶対に!!!」



周りにいる男子生徒達が悔し涙を流しながら俺に殺意のこもった目線を向けてくる。



そして、しばらくして。


「それじゃあ、早速テストを始めるぞ」


「あ!言い忘れてたけど点数50点以下のやつは土曜日学校に来て補習してもらうからな」


「聞いてねえよ、そんなの!」


周りの生徒達が先生に向かって口々にそう言った言葉を言う。


「それが嫌なら全員50点以上取れ!」


「それでは、テスト開始!」


この前ティーナに教えてもらった数学よりも歴史の方が苦手だから、とりあえず50点以上取れるように頑張ろう。


俺はそう思いながらテスト用紙上に答えを書き連ねていった。


しばらくして。



「それじゃあ、テストを回収するぞ」


「りく…今回のテスト…自信…ある?」


ティーナは俺にそう聞いてきた。



「さて、どうだろうな、とりあえず半分以上は答えられたと思うけど」


「まぁ、きっとなるようになる」


俺が麻衣に勉強を教えてもらったのはもし万が一補修の話が出ても大丈夫なようにしておくためだったしな。



しばらくして。


「それじゃあ、テストを返すぞ」


先生はそう言いながら順番にテストを返していった。


俺は恐る恐る自分のテストの点数を見てみるとそこには55点と書かれていた。


「はぁなんとか補習は回避できた」


俺は一息つきながら、そういった。


「りく…点数…どうだった?」


「55点だったティーナは?」


俺がそう聞くとティーナは嬉しそうに笑顔でテスト用紙を見せながら、こう答えた。


「百点…だった!」


「すごいじゃないかぁだって、歴史の授業苦手だったんだろう!!!」


俺は心の底から喜んだ。


「私…すごい」


「ああ、すごいすごい!」


俺はそう言いながら思わずティーナの頭を撫でてしまった。


「あっ!悪い…つい!」


俺は動揺しながらそういった。


「うんうん…大丈夫…だよ」


ティーナは顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにそう言った。


「また、あいつティーナちゃんとイチャイチャしやがって許せん!」


周りから再び殺意がこもった視線とコソコソ喋ってるつもりなのだろうがまるぎこえの言葉が聞こえてくる。



「みんなあいつ、許せないよな!」


「ああ!」


「復讐をしようぜ」


「面白そうだ、やろう!」


作戦を立てるのはいいが、俺に全部筒抜けだったら意味がないんじゃないか?


俺は心の中でそう思った。


俺は面倒くさくない勝負であることを祈るよ。


俺がそう思っていると。


話がついたのか1人の男子生徒が俺に向かって奇妙なほどの爽やかな笑顔を向けながら歩いてきた。


「ねえ陸くん俺達と一緒に遊ばない、かくれんぼで」


俺はその男子生徒の変な甘い声に鳥肌がたってしまった。


まるで女の人が男達にナンパされている時のような気分だった。


まぁ、俺女の人でもないし、女の人のことをナンパしたこともないしされたこともないんだけどな。


「よかったらティーナちゃんも一緒に遊ばない?」


やっぱりそっちが目的か!


「それで一体何して遊ぶんだ」


「かくれんぼだ」


「面白…そうやろう…よりく!」


ティーナは嬉しそうにそう言った。


「よし、決まりだやろう!」


「とりあえず俺についてこい!」


俺は仕方なくティーナと一緒にそいつらについていった。



連れてこられたのは学校の外のグラウンドだった。


「俺達をこんな所に連れてきて、どうするつもりだ!」



「えーと、まずはティーナちゃんのために最初はルールを説明しなくちゃな」


そいつらは俺のいうことを一切無視してルールの説明をし始めた。


「かくれんぼは学校全体を使ってオッケーもちろん学校の中でも大丈夫だ」


「そして制限時間は休み時間が終わるまでの十分間」


「かくれるのは陸とティーナちゃん2人で見つけるのが俺達4人だ!」


「ティーナちゃんとお前を見つけて触れることができたら俺たちの勝ち!」


「制限時間まで、かくれることができたら、お前の勝ちだ」


「そして、この戦いに勝った方がティーナちゃんと1日デートする権利を得られる!」



「何言ってんだ、お前らティーナが良いっていうわけないだろう!」


「そもそも鬼が4人ってなんだよ完全に不公平じゃねえか!」


「じゃあ、どうする、負けを認めて俺達にティーナちゃんとデートする権利けんり譲ってくれるのか?別に俺達はそれでもいいんだけど」


そいつらは俺もあおるようにそういった。


「りく…この人達…なんて言ってるの?」


俺はティーナに英語ですべてのことを話した。


「うん…じゃあ…そのルールでいいよ」


「ティーナ自分で何言ってるのか分かってるのか!負けたら勝った方とデートしなきゃいけないんだぞ!」


「うん…わかって…る」


「だったらなんで!」


『だって私りくが勝ってくれるって信じてるから!』


「あ!」


その言葉を聞いて、俺は思わず照れてしまった。


はぁやっと雲雀の事が落ち着いたと思ったら、今度は別の面倒事に巻き込まれるなんて俺、ついてないよな。


でも、あいつらティーナとデートするって言っておきながら一体何をしでかすか分からないからな。


「俺に協力してもらうぞティーナ!」


「うん!」


ティーナは笑顔で俺にそう頷いた。


「それじゃあ、俺たちは向こうの方に行って30秒数えるから陸はその間に隠れろ」


「ああ、わかった」


「1、2、3、」



「りく…私達?はどこに隠れる?」


「そうだな」


「ティーナ俺について来てくれ!」


俺はティーナの手を引きながらそう言った。


「ちょっと…りく!」


「とりあえず隠れるぞ!」


俺達は走ってもうあんまり使われていない物置の裏に隠れた。


「はぁはぁはぁとりあえずここまでくればそう簡単には見つからないだろう!」


俺はティーナに息切れしながら少し辺りを見渡してそう言った。


「しばらくここで様子見だな」



『でも、ここにずっと隠れててもそのうち見つかりそうじゃない?』


『安心しろティーナ、俺はこの勝負に絶対に勝つ!』


そう、絶対に!



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