第9話ギャルゲーみたいなイベント発生

俺がいつものように学校に行くと俺の隣の席にティーナの姿はなかった。


ティーナが遅刻するなんて珍しいな。


俺はそう思いながら自分の席に座った。


だがティーナはその日学校に来ることはなかった。


俺は少し不安にそう思いながら家に帰ろうとしていると後ろの方から誰かの声が聞こえてきた。


「おーい、ちょっと待ってくれ!」


後ろを振り返ると1人の男子生徒が俺に向かって走ってきていた。


その男子生徒の名前は知らない覚えていないだけかもしれないが、顔も初めて見た。


「はい、俺に何か用ですか?」


俺は疑問に思いながらそう聞いた。


すると男子生徒は息切れしながらこう言った。


「ティーナさん今日熱が出て休みみたいだから家が近い、君にこれを持って行ってもらおうと思って」


プリントを持ってきたって事は俺と同じクラスか!


見たことないけど俺がまったく気にしていなかったという方が正しいかもしれない!


「分かりました。届けておきます」


「ありがとう」


俺はプリントを受け取ってティーナの家に向かった。



俺はティーナの家のチャイムを押した。


(ピンポン!)


すると中から出てきたのはティーナのお母さんだった。


『りくくん!』


『ティーナの分のプリント届けに来ました』


『あ!ありがとう』


『りくくん申し訳ないんだけど、私この後どうしても出かけなきゃいけなくて悪いんだけど代わりにティーナのこと見ててくれる?』


お母さんはとても申し訳なさそうな表情でそう言った。


病人を家の中で1人にしておくわけにもいかないよな。


『分かりました』


『本当ありがとう必ず、夕方ぐらいまでには戻るから』


お母さんは心から安心した表情でそういった。


『それじゃあ、行ってきます』


『はい、いってらっしゃい』


俺はお母さんを見送った後ティーナの家の中に入った。


『お邪魔します』



俺は小さな声でそう言った。


『あ!りく来てくれたんだ』


ティーナはそう言いながらベッドで体をゆっくりと起こす。


『無理して起きなくていいから、そのまま寝てな』


俺がそう言うとティーナは再びベッドに横になった。


そのティーナの目はうつろうつろしていた。


『ティーナ持ってくるように言われたプリントどこに置いておくか分かんないから下に置いとくな』


『うんありがとうりく』


『熱は出てるのか?』


『出てたけどさっき下がったから大丈夫だよりく』


俺はそう言いながら少しティーナの体を見てみると、大量の汗をかいていることがわかった。


『大丈夫かティーナ暑くないか?』


『大丈夫だよそれより

りくここにこのままいると、私の風邪がうつるよ』


『それにお母さんも、夕方ぐらいになんないと帰ってこないし』


『わかってるよ、俺はそれを分かった上で引き受けたんだから』


『でも!』


『いいから、ゆっくり寝てな』


数分後。



「それじゃあ看病してあげなさい」


「わかってるよ、それじゃあ」


俺は母さんにティーナの看病のことを伝えた後、電話を切った。


「りく…」


「悪いティーナ起こしちゃったか!」


「今…たまたま…起きただけ…だから…気にし…ないで」


「そうか、だけどティーナ風邪ひいてる時までわざわざ日本語で喋らなくていいんだぞ」


「うん…わかった」


『ねえりく』


「何だ?」


『何か面白い話してよ』


ええ!俺がそんな無茶ぶりに答えられるわけないだろう!


俺は心の中でそう思った。


だが、俺はそれと同時に何か面白い話がないか考えた。


あ!そうだ!


『俺が小学生の時に書いていた小説の話でよければできるけど』


『聞きたい、聞きたい!』


『わかった』


『って言っても、その昔、俺が書いてた小説一話だけ書いてやめちゃったんだよな』


『しかもそれを書いてた時の文字数が全部合わせて二百文字くらいしかなかったからな』


『結構少なかったんだね』


『ああ、ショートショートのコンテストに出てやっと足りるか足りないかってところだろう』


『で、そのりくが書いてた小説のジャンルは何だったの?』


『よくあるファンタジー系だよ』


『普通のファンタジー系と違うところをあげるとするなら、その中で料理の要素を入れてたとこかな?料理できないんだけど』


『じゃあ、その小節お話聞かせてよ』


『ええ、でも俺その小説小学生の時に書いてたやつだから、あんま覚えてないんだよな、それでいいならいいけど』


『うん、聞かせて』


俺は少しゆっくりめに喋りながらその小説の話をし始めた。


そして数分後。



『どうだった?』


『すごく面白かった!!!』


ティーナは目をキラキラさせながらそう言った。


ティーナのその言葉を聞いて、俺は素直に嬉しいと思った。



そして、しばらく沈黙が続いた。


考えてみたら、この状況ってギャルゲでいうとイベント突入してるな!


しかもヒロインの家に行くみたいなイベントが!


『ねえりく?』


ティーナはとても弱々しい声で俺の名前を呼んだ。


『何だティーナ大丈夫か?』


俺がそう聞くとティーナは目をそらしながら顔を恥ずかしそうに真っ赤にしてこう言った。


『汗いっぱいかいちゃったから、私の体拭いてくれる?』


俺は一瞬間違いかと疑ったが俺にはしっかりとその言葉が聞こえた。


俺の頭の中にたくさんの想像が思い浮かびそうになったその瞬間ティーナがこう言った。


『別に変な意味じゃなくてただ、本当に汗かいたから拭いてほしいだけ!!!』


ティーナはとても慌てながらそういった。


『分かってる。分かってるから!!!』


『あ!じゃあ、俺タオル取ってくるよ!』


『うん、タオルなら、キッチンの方にあるからそれを使って』


『ああ、わかった』


俺は奇妙な緊張感を抱きながらキッチンの方へと向かった。


第2のイベントきたーーー!!!


ってそんなこと考えてる場合じゃない!どうする、こんな緊急イベント、俺が攻略できるのか!


とりあえずタオルを水に濡らすか!


俺は緊張のあまり震えてる手でタオルを水に濡らしてよく絞ってティーナのいる部屋に戻った。



『ティーナ念のためもう一度確認しておくけど、本当に俺が拭いちゃっていいのか?』


『うん、もう背中に汗かきすぎて気持ち悪いから』


『でも、あんまり見ないでね』


ティーナは再び顔を赤くしながら恥ずかしそうにそう言った


『分かった。それじゃあ座ってもらっていいか?』


『うん』


ティーナはそういった後俺に背中を向けた。


「それ、じゃあ、行きますよ」


俺は緊張しすぎて思わず日本語で喋ってしまった。


『うん』


そして俺はゆっくりとティーナの背中の汗を拭いていった。


俺は横目でティーナの背中を見てみると透き通るように白い肌だということがわかった。



『見ちゃダメって言ったのに!』


『あ!ごめん、そうじゃないんだ!』


ティーナは緊張しているのか、少し震えた声で言った。


俺達の間に何かいけないことをしているかな、奇妙な緊張感がしばらくその場に流れた。


しばらくして。



『とりあえずこれで大体拭き終わったと思うけど』


『うんありがとうりく』


ティーナは満面の笑みで俺にそう言った。


(ピンポン!)


そのチャイムの音が聞こえたあと、家の扉が開いた。


『おかえりなさい』


と、俺達2人が言うとお母さんの顔はほっとした表情に変わった。


俺は挨拶をしてうちに戻った。




面白かったら 星3つ つまらなかったら 星一つ 正直に感じた気持ちでもちろん 大丈夫です。


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