第4話 街の端店
そして、学校が終わって俺は家に戻った。
「ティーナきたかそれじゃあ行くぞ後ろに乗ってくれ」
俺はそう言いながら自転車に乗った。
「うん、わかった」
ティーナは自転車の後ろに乗った。
「それじゃあ、出発だ!」
俺はそう言ってペダルを漕ぎ始めた。
「最初どこ行きたいティーナ?」
「うーんそれ…じゃありくが…好きな…所に…連れてって」
「俺が好きなところか?」
そう言われて俺はしばらく考えた。
「特にないなぁ」
「とりあえず町の中を回ってみるか」
「うん、わかった」
俺は街に向かって自転車をこいだ。
そして、しばらくして。
ティーナは目の前に建ち並ぶお店を見て、目をキラキラさせていた。
『これが日本のお店なんの!』
『イギリスでも、動画かなんかで見たことはあるだろう』
『あるわ、あるけど、実際に来たのは初めてだから!』
『ねーねーりくあの店は何!』
ティーナは俺の肩をトントンと叩いて嬉しそうにそう言った。
『あの店は服とかが売ってる店だよ』
『じゃあ、あれは!』
『 あれは本屋だ漫画とか色んな本が置いてある』
ティーナは初めていろんなものを見る子供のようにはしゃいでいた。
それからも色々な店を見て回った。
「だいぶ見て回ったから少し休憩するかティーナ」
「うん」
ティーナは満面の笑みで相槌を打った。
よっぽど色んなお店を見て回ったのが楽しかったんだな、連れてきてよかった。
俺たちがそんなことを話しているとどこかから甘い匂いがした。
辺りを見渡してみると、左の方にクレープ屋さんがあった。
「すご…い美味し…そう!」
ティーナは食べたそうにそのクレープ屋さんを見ていた。
「ティーナ食べたいのか?」
「いや、いら…ない」
「遠慮しなくていいよ、俺が買ってくるからどれがいい?」
「そんな…いい…よ」
ティーナは申し訳なさそうにそう言った。
「いいよいいよ弁当のお礼だから」
俺がそう言うと、ティーナはお店の外にあるメニュー表を指さした。
「うーん、それ…じゃあ私…あれ…がいい」
「あのイチゴのクレープでいいのか?」
「うん」
「わかった買ってくるからティーナはちょっとここで待ってて」
そして俺は店に入って店員にこう言った。
「あのー、すいません、このクレープください」
「かしこまりました一つでよろしいですか?」
「はい」
「200円になります」
俺はお金を払って店を出た。
「はい、いちごクレープ」
俺はそう言ってティーナにいちごクレープを手渡した。
「ありが…とうりく」
「あそこの公園のベンチに座って食べるか」
「うん!」
ティーナはクレープを大事に持ちながらベンチに座った。
「いただ…きまーす」
ティーナはそう言って、クレープ美味しそうに食べ始めた。
「りくは…何も買…わなくて…よか…たの?」
「お腹空いてなかったから」
というか、あのお金今日昼ごはん買うためにあわててポケットの中に入れたお金だったからな。
あのお金以外持ってなかったから足りてよかった。
……。
しばらく沈黙が続いた。
気が付けばティーナが手に持っていたはずのクレープがなくなっていた。
まずいな、何か話さないと!
俺はしばらく考えた。
「あのさ…最近学校どう?」
気が付けば俺はティーナにそう聞いていた。
何聞いてんだ俺!こんな俺の母さんみたいな質問されてティーナが楽しいわけないだろうバカなのか、俺は!!!
まぁ、自覚はあるけど!
俺がそんなことを考えているとティーナがこういいはじめた。
「前に…も言った…けど私は最初に…学校…に来た時…不安…でいっぱ…いだった」
「だけ…どりくいて…くれて…よかたすごく…安心で…きた」
「えーと…それならよかった」
俺はティーナからの、その言葉に思わず照れてしまった。
「言いたくなければ無理しなくていいんだけどさティーナてなんで日本に来たの?」
俺は疑問に思いそう聞いた。
「お父さん…が日本…に会社…を作り…たいって…言うから…日本…に来たの」
「え!!!ティーナのお父さんって社長さんかなんかなのか!」
「まあ…そう…だね」
「でも…家に…ほと…んど帰って…こない…けどね」
俺は驚きのあまり口が開いたまましばらく塞がらなかった。
俺が少し空を見上げると日が沈み始めてることがわかった。
「よしそろそろ家に帰るか」
「うん」
俺たちは自転車に乗って家に戻っていった。
「それじゃあ、また明日学校でなティーナ」
「うん、おやすみ…なさい」
俺はティーナを見送ったあと、家に入った。
「あ!陸どこに行ってたの?」
「ああ、ティーナが町を紹介してくれって言うから色々見て回ってたんだよ」
「ちゃんと紹介できた?」
「まぁ、とりあえずは」
俺はご飯を食べてお風呂に入って自分の部屋に戻り、眠りについた。
そして、次の日。
「はぁ、もう朝か?」
俺は大きなあくびをしながら眠たい目を擦って横に置いておいたデジタル時計を見た。
「もう7時だ早く行かないと!」
俺は急いで制服に着替えた。
「りく朝ごはんは!」
「時間がないからいらない!!!」
俺はそう言って急いで家を出た。
俺は腕時計を見て時間を確認した。
「よし、まだ走れば間に合う!」
俺は大急ぎで走って学校に向かった。
「はぁはぁギリギリ間に合った!」
俺は息切れしながらそう言った。
そして俺はゆっくりと席に座った。
「りく大丈夫?…すっご…い走って…きてたけど」
「俺、昨日もそうなんだけど、ギリギリに起きたんだよね」
「別に夜ふかししてるわけでもないんだけど」
「ちゃんと…寝れて…るん…だよね」
「うーん別に体調が悪いってわけでもないと思うんだけど」
まぁ、多分たまたまだろうな。
そんなに気にしないでおこう。
「楽しそうに喋っているところを悪いがりくあとで職員室に来てくれ話がある」
後ろからそう声をかけてきたのは、女の担任の先生だった。
はい、分かりました。
しばらくして三時間目の授業が終わって言われた通り、俺は職員室に向かった。
「それで先生、俺に何か用ですか?」
「俺に用ですかじゃないお前、このプリントを見てみろ!」
先生がそう言って俺に渡してきたのは15点と書かれた数学のプリントだった。
「お前、見事に英語百点なのに、それ以外は最下位の点数だぞ」
「あははは人には向き不向きがありますからね」
俺は苦笑いをしながらそう言った。
「そんなんで済む、点数じゃないんだよ、これは!!!」
先生はそう言いながら俺の持っているプリントを取り上げてテーブルにドン!と叩きつけた。
「お前ティーナに勉強を教えてもらえ」
「え!ティーナにですか?」
「あの子は歴史と作文以外はほぼ満点だ」
「分かりました」
俺はそう言って職員室を出て、教室に戻った。
しばらくしてお昼ごはんの時間になった。
「はぁ、まさかお昼ご飯代を忘れるなんて」
俺はため息をつきながら、そういった。
「あの…よか…たら……りくの…分も…作って…きたけ…ど、食べ…る?」
ティーナは俺にお弁当の包みを差し出しながら、そう言った。
「いいのか!」
「うん」
ティーナは笑顔でそう答えた。
「ありがとう、ティーナそれじゃあいただきます!」
俺はそのお弁当を勢いよく食べた。
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