第2話 俺の家の隣に引っ越してきたのは?

「兵藤くんいる?」


そう言って別のクラスの女子が数人訪ねてきた。


俺を探しているみたいだが、何の用事だ?


いや、でもなんか予想できる気がする?


「兵藤ならあそこにいるよ」


そういったのは同じクラスの爽やかな男子生徒だった。


訪ねてきた女子生徒たちは、その男子生徒にお礼を言うと俺の机を囲むように近付いてきた。


俺は気づかないふりをしながらカバンに荷物を詰めていく、なんか反応するの面倒くさいし。


どうせ雲雀の自称親衛隊を気取った女子共だろう。


「ねえ兵藤くん」


俺は名前を呼ばれたが、聞こえないふりをして帰り支度をすすめる。


「ねぇ、兵藤くんてば!」


はぁ、さすがにずっと無視しているわけにはいかないか。


面倒くさいなぁ。


俺は心の中でそう思いながら返事をした。


「はい?」




「これってどういうこと!」


そのグループの中のリーダー的な女子生徒が俺に向かってスマホの画面を見せてきてこう言った。


その画面に映っていたのは俺が雲雀を殴っている写真だった。


だが、あの時殴られたのは俺の方だ。


「白状しなさいあなたが殴って雲雀くんに怪我を負わせたんでしょう!!!」


わざと周りに聞こえるように大きな声でそう言った。


するとさっきまで英語しゃべれてすごいと言っていた周りの生徒たちは手のひらを返すように小さな声であることないことを話し始めた。


「ねえ、さっさと白状しなさいってば!」


これは証拠を突きつけないと引き下がりそうにないなぁ。


だけど、今すぐ証拠なんて見つけらんないしなぁ。


俺はしばらく沈黙を続けた。


「どうせあなたがやったんでしょう早くごめんなさいって謝りなさいよ!」


あれは!


俺はとあることに気づいた。


「なあ、その画面に映ってる英語の文字って編集アプリのロゴの文字じゃないか?」


俺がそういうと女子生徒たちはその携帯の画面を見る。


すると、女子生徒たちは本当だと言わんばかりの驚いた顔でスマホの画面を見ていた。



それからしばらくすると、女子生徒達との言い合いは続いたが、自分たちのクラスへと戻っていった。



「はぁ、今日も疲れたなぁ」


俺は家に向かって自転車を漕ぎながらため息をついた。



しばらくすると俺は家に着いて自転車を止めた。


「ただいま」


「おかえり」


「あっ、そうだ!今日隣に新しい人が引っ越してきたよ」


「へー、そうなんだ」


俺は興味なさそうにそう言った。


俺が玄関で靴を脱ごうとしていると、ピンポーンというチャイムの音が聞こえてきた。



そして家の扉が開いた。




俺は中に入ってきた人を見て驚いた。


「なんでティーナ!」


「りく!」


ティーナの横にはお母さんらしき人が立っていた。


「はじめ…まして隣に…引っ越してき…たアリスマームです」


「あっ!はじめまして」


お母さんがそう挨拶する。


「って!何あなたたち知り合いだったの?」


「同じ学校のクラスメート」


「はじめ…ましてアリスティーナ…です」


「そうだったんだね!」


「あっ、そうだ!せっかくだから家で一緒にご飯食べましょうよ」


「母さん、いくらなんでもそれはいきなりすぎるよ」


母さんは誰に対してもフレンドリーだ、だが時々こうやっていきなりなことを言う。


「いい…んですかそれじゃあ」


って!上がるのかよ!


俺はその心の声を言葉に出しそうになったが、グッド、心の中にとどめた。


「えっとりく入って…いい?」


「ああ、いいよどうぞどうぞ」


俺は思わず苦笑いをしてしまった。


「ご飯もうちょっとで出来るから少し待っててくださいね」


「え…と?」


あっ、そうだ!タメ口の方が聞き取りやすいって言ってたな。


「あっ!母さんタメ口の方が聞き取りやすいってティーナがさっき言ってた」


「あっ、そうなんだ」


そして、しばらくして。



「はーいご飯できたよ」


「外国の人は何を食べるか分かんないから、お口に合うのかわかんないけど食べてみて」


「ありがとう…ごさいます」


「ありがとう…ごさいます」


ティーナ達はそういった後、ご飯を食べ始めた。


「あの…なん…でりく…あん…なに英語…うまい…です…か?」


「この子、勉強はそんなにできないのに 英語は喋れるのよ」


「うるさいよ」


「そういえば聞き忘れてたけどティーナ達ってどこから来たの?」



お母さんがそう聞いた。



「え…とイギリスから…来まし…た」


「ああ、そうなんだ」


「ねえ、もしよかったらティーナ学校で普段陸がどういうことをしているのか教えてくれない?」


『りくこの人、今なんて言ったの?』


「陸通訳お願い」


「そんなこと聞かなくていいよ」


「親なんだから子供が学校で何してるのか気になるじゃない!」


「それとも、親に言えないことを学校でやってるの?」


「わかったわかった。聞くよ」


『母さんが俺が普段学校で何をやってるのかティーナに教えて欲しいんだって』


『私もまだりくと1日しか関わってないからわかんないけど優しい男の子だと思うよ』


「なんて言ってる?」


「優しい男の子だって」


「あら、よかったじゃないあんたモテないから」


「余計なお世話だよ!」


俺達がその話をしているとティーナのお母さんがこう言った。


『ティーナのことをよろしくお願いします』


『いいえ、こちらこそよろしくお願いします』


「俺がティーナの役に立てるかどうかは分かりませんけどね」


「そんな…こと…ないりくは…私の…助け…になって…くれて…るよ」


「よかったわね、アンタみたいな男を頼ってくれる女の子がいて」


母さんはそう言いながら俺の背中を強く叩いた。


ティーナはその光景を見てクスリと笑う。、


「あっ!すいま…せん」


「いいんだよ、この子で良ければいくらでも笑って」


なんか複雑だなぁ。


まぁ、笑ってくれてるからいいか。


『面白いお母さんだね』


『ちょっと変なとこもあるけど』



「夜…ご飯…ごちそうさまでした」


「またいつでも来てくださいね」


母さんが少し大きい声で言った。


ティーナ達は会釈えしゃくをしながら家に戻っていった。


俺は見送ったあと、家の中に入った。


突然だが、俺のお父さんはいない。


俺が生まれてすぐに亡くなったらしい。


詳しくは知らないけど、とりあえずこの話はまた今度にしよう。


「面白い女の子だったねまた近いうちにでも、連れてくれば?」


「まぁ、いつかね」



俺はそう返事を返して自分の部屋に戻った。



「まさか、ティーナがうちの隣に引っ越してくるなんてな」


そういえば!今日雲雀の親衛隊に色々言われはしたけど、あの時以外特に何も言われなかったなぁ。


明日、腹いせに雲雀か誰かに呼び出されなければいいなぁ。


「まぁ、今から心配してもしょうがないか」


俺は少しため息をつきながら、そう言った。


俺はそんなことを考え眠りについた。



目次の下にある星じるしから、 作品の 応援よろしくお願いいたします。





面白かったら 星3つ つまらなかったら 星一つ 正直に感じた気持ちでもちろん 大丈夫です。




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