乳歯ぐらぐら10年ぶりの歯医者.... .

 ついに奴が動き出した。

 ずいぶん前から妙な動きをしていることに気が付いてはいたが、奴に限ってそんなことするわけがないと黙認し続けていた。だがここ数日、もうこれ以上我慢ならない有様になってきたため私も行動を起こさざるを得なくなった。

 そう、「大人乳歯」の奴をなんとかするために。


 私は今年30代を迎えるアラサーだが、幼き頃着々と自分の歯が乳歯から永久歯に生え変わっていく中、なぜか1本だけ生え変わることなく未だにちんまり残り続けている乳歯がいる。

 乳歯だということに気が付いたのは高校生の時、虫歯治療で行った歯医者さんでだ。どうりで1本だけ異様に小さい歯がいるわけだと納得し、当時は経過観察というか特に治療などはすることなかった。ぐらぐらすることもなく、他の歯より小さいというぐらいで特段日常生活で困ることもなかったので、放置し続けてきた。

 そして時が流れること10数年、乳歯がぐらつき始めた。ぐらぐらするのが気になって、だめだとわかりつつも舌で乳歯の奴をツンツンしてしまったり、寝ているときの歯ぎしりがひどかったりでか弱い乳歯はどんどんとボロボロになってきていたのだ。

 それに追い打ちをかけるように、数日前事件は起きた。とある休日の昼下がり、家族でファミレスで食事をした際に注文したステーキプレートに乗っていたちょっと固めのフライドポテト。(とてもおいしかった。)それを図らずもぐらぐらでボロボロの乳歯の上でガリっと噛んでしまったのだ。その瞬間、今までとは違うずれたような違和感、より一層増したぐらぐら度。

 これはさすがに潮時かと、重い腰をあげてついに歯医者に行くことを決心したのだ。思い返せば、歯医者に行くのは乳歯が残っていることが発覚した高校生の時以来。そして予約したのはネットで調べた近所の中で評価が良かった初めていく歯医者にした。

 ただでさえ、初めて行く場所で怖いのに10数年ぶりの歯医者。向かう途中吐き気を催すほどの緊張感だった。初診ということもあったためか、ぐらつきを固定してもらっただけで診療は数十分ほどで終了した。長年歯医者に来ていなかったツケか、虫歯の治療や歯石の除去なども必要らしいし、そして大本命の乳歯は今後どうなるのか本当の戦いはこれからということだ。

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黙々らいふ。 高田茶々 @naho_ponko

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