第36話 食欲の秋と意味深なメモ


賑やかな装飾


手書きの看板


開放的な雰囲気


あちこちで楽しそうに盛り上がる声が響く


一般客とたくさんの恋人達





ヒデ「いらっしゃい!いらっしゃい!スキー部のたこ焼きだよ!」


ヨシキ「お姉さん!オマケしちゃうよっ!」




先日ちっぷ亭で、出店の練習をしていたスキー部のたこ焼きは大盛況で、焼き上がりを待つ客が列を作っていた。


 

ヒデ「フウカちゃん、疲れてない?先に休憩してもいいからね?」


フウカ「大丈夫!なんかテンション上がっちゃって!お祭りって楽しいわね!」


ヒデ「無理しないでね?」


フウカ「ありがとう!」


ヨシキ「部長、やさすうぃ〜!」


ヒデ「女性には常に気を配り優しく振る舞う!紳士の嗜みだ!」


ヨシキ「ウスッ!」


サクラ「諸君、良い心掛けね。たこ焼き2つ買っちゃう。」


ヒデ「あっ、サクラ先生!そちらのイケメンは……あっ、もしかして旦那さん?!」


サクラ「ヒデ君上手ね〜!3つかっちゃおうかな!」


ヒロ「いつも、サクラがお世話になってます。サクラ、3つも食べきれる?」


サクラ「食べ切れなかったら、晩御飯にしたらいいよ。」


ヒロ「君、今晩、打ち上げあるでしょう?」


サクラ「あ……そうね。でも……大丈夫、たこ焼き3つ、買うわ。」


ヒデ「良いんですか?お世辞とかじゃとかじゃなかったんですけど……ありがとうございます。」


ヨシキ「なんか、ヒロに目元がめちゃくちゃ似てますね!」


サクラ「そうなの!かなり寄せて髪型とかファッション頑張ってもらってるの!私ヒロ大好きで!だから自慢の旦那様です!」


ヒロ「必死で頑張ってます。」


ヨシキ「サクラ先生のために頑張ってるんですね!さすが!でも、本当に影武者とかできそうなレベルっすよ!写真撮ってもらっても良いっスか?」


ヒロ「いやいや、さすがに恥ずかしいからごめんね、ありがとう。」




サクラとヒロはいつもこの方法で乗り切り、変装なしの外出を楽しんでいた。


一方こちらは校庭に並ぶたくさんの出店を見て、はしゃぐ2人。




ケイティ「あっ♡ねぇねぇ、ブロリー、あそこ、りんご飴だって♡あっ♡奥にチョコバナナのお店もある♡え〜っ、どうしよう、迷っちゃ〜うっ♡」


ブロリー「両方買ったらいいんじゃない?」


ケイティ「え〜つ♡全部食べたら、太っちゃう〜♡」


ブロリー「大丈夫、ちょっとぐらいポッチャリしたって、ケイティは可愛いよ♡」


ケイティ「え〜っ♡食べきれないかもしれないから、はんぶっこして、一緒に食べてくれる?」


ブロリー「しょうがないヤツだなぁ♡さては、僕が甘い物苦手なの知ってて言ってるな?」


ケイティ「ブロリーは、アタシのためなら、どんなことだってしてくれるって、信じてるっ♡」


ブロリー「こいつぅ♡」


ケイティ「だ〜い好きっ♡」




短編映画 ”お金が欲しいの唄” を見終わったパクとミニョンが、通りかかる。




ミニョン「それにしても、本当にどこにやっちゃったんだろう、映画で使った手紙……。みんなに見せてたのがいけなかったのかなぁ……。」


パク「僕が音楽室で見てたのがきっと最後だから、音楽室だと思うんだけど……。帰りにまた探しに寄ってみるね。」


ミニョン「うん、ありがとう。」


パク「それにしても、また大盛況だなぁ……スキー部のたこ焼き。」


ミニョン「外はカリカリ、中はとろ〜り、大きなタコがプリっとして、お出汁の味もしっかりしてて美味しかったもん!おかわりしたくなっちゃう!」


パク「ソースもオリジナルでブレンドしてるって聞いたよ?」


ミニョン「ちっぷ亭で修行してたらしいもんね。さすがスキー部だわ。普段からちっぷ亭に入り浸ってるだけあるわね。」




一人で食べ物の出店を全てチェックし、食べたいものリストと、ユリへのイケメン要望リストを手にしたリコは


校舎から出てきた、マリ、ユリ、ハイネ、クルルと落ち合う。




リコの食べたいものリストを参考に、全員で手分けして出店の列に並ぶ。


スキー部のたこ焼きの列に並んだのはリコだった。



ヒデ「はい!たこ焼き3つね!リコちゃん一人で食べるの?」


リコ「まさかぁ〜!こんなに沢山!さすがにみんなでシェアして食べますよ。」


ヒデ「あれ?この前これぐらい食べてなかったっけ」


リコ「え?そうでしたっけ?はい、お金!」


ヒデ「はい、これお釣りね〜。毎度!」


リコ「頑張ってください!」





ヒデ「あれ?」


折り畳まれていたお札にメモが挟まっていた。


ヒデ「リコちゃん?俺に……?」


周りに気づかれないようこっそりメモを開く。




”将来的に一緒に暮らした方がいいと思ってる。


私は大学へは行かず就職した方がいいかな?


きっとお金、いっぱいかかるもんね。


でも、みんなに内緒だもんね!なんだかワクワクドキドキしちゃう!楽しみ♡


リコより”



ヒデ「えっ?!…………リコちゃん!俺にはフウカちゃんがいるのに……そんなに俺の事?!」


フウカ「どうかした?」


ヒデ「いやいやいやいや!何でもない!何でもないよぉ〜?フウカちゃん、どう?疲れてない?!休憩行っちゃう?どうしよう!あ、俺!俺、先に休憩行っちゃおうかな〜!疲れちゃったかもしれないな〜!」


ヨシキ「大丈夫っすか?!」


フウカ「疲れてるなら、先行っていいよ?顔ちょっと赤い?熱は……ないか。」




フウカの手がヒデの額を触る。


ヒデはフウカに触れられて、勘違いしているリコに早いうちに断っておかねばならぬと、急いでリコの後を追った。





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