【スピンオフ2】サクラ先生の秘密2
サクラ先生の秘密 改訂版2
今日は教育実習1日目。
気合を入れる日は、私はいつでもこの勝負下着をつける。
マスカラは念入りに。
だけどメイクはナチュラルに。
パンツより断然スカート派。
ストッキングの予備は……持った。
大丈夫。私は、大丈夫!!
使い慣れた革のバッグを両手でしっかりと握り、紹介してもらったクラスで挨拶をする。
教室の後ろで授業を見学したり、英語の授業を受け持ってみたり。
大丈夫。ここまで万事オッケー。予定通り順調。
さすが私。
と、思っていたのに……!!
そう、ここで例の彼と再会する……。
1日目が無事終わり、職員室に向かっていたところ。
男子生徒の声「サクラ先生!」
誰もいない廊下で後ろから呼び止められる。
サクラ「君は……ヒロ君……だったかな。」
ヒロ「サクラ先生、俺の事覚えてない?」
サクラ「えっ?」
そりゃあ、気付きませんよ。当時9歳か10歳ぐらいで背もちっちゃくこんがり焼けてくるくるパーマの可愛い男の子だった彼が、第二次成長期、思春期をへて私の目の前にいるんだから。
トレードマークのくるくるパーマはどこへ行ったのよ。そして、何その美白!!前髪なんか流して色気付いて!!ちょっとカッコいいじゃない!!
ヒロ「Hola, Sakura. Mucho tiempo sin verte!Te extrañé!」
(やあサクラ、久しぶり!会いたかったよ!)
いつのまにか私より背が高くなってしまった彼にさらりとハグされ左右の頬にしっかりキスされてしまった。
まさか自分が受け持つクラスにいた、ハセ ヒロ がスペインのヒロと同一人物だなんてちょっとも考えていなかった。
そのあとはどんどん彼のペースにはめられていく。
授業ではもちろん真面目に生徒ぶっているのに、隙されあれば2人きりになる場所を狙って愛を囁いてくる。
いやいや、こっちは単位と進路となんなら人生かかった大事な実習なんですけどね!
少しでもメイクを変えようものならめざとく気づいて褒めてくれる。
洋服を褒めるふりしたボディータッチはお手の物。
日本人なら歯が浮いて言えないようなセリフも、彼はどんどん使って攻めてくる。
せっかく評価をくれる校長ともいい関係を気付けているのに、こんなんで私がなびいたら台無しだ。
だけど内心ヒヤヒヤしながらも、彼とのやりとりを楽しんでいる自分もいた。
実習1週間目が終わり、サクラは昔の黒歴史を抹消するため軽音部の部室に忍び込み、部内ライブの写真を探していた。
「へぇ〜、軽音部って結構機材持ってるんですね。」
サクラ「?!」
ヒロに見つからないようこっそりと忍び込んだはずが、しっかり跡をつけられ、部室のなかに2人きりになってしまう。
サクラ「ビックリした!もう!いるならいるって言ってよね!」
ヒロ「だから声をかけたんだよ?何探してるの?」
サクラ「うん?えっと……ちょっと頼まれて……楽譜!そう楽譜をね……。」
ヒロ「ふーん。誰に?」
サクラ「えっ?……こ、校長!そう、そう!校長先生!」
ヒロ「もしそれが嘘だったら、マズイよね?」
サクラ「う……嘘じゃないわよ……?」
ヒロは意地悪そうな顔をしてニジリニジリとサクラに近寄ってくる。
ヒロ「教育実習の先生が軽音部の楽器や機材が置いてある部室に忍び込んで、何かを盗んだ……なんて噂になったら。しかも、俺には校長に頼まれたって言ったけど。」
サクラ「なっ……何よっ!」
ヒロ「そんな嘘、俺が信じると思う?」
部室の隅に追いやられ、逃げ場のなくなったサクラは置いてあった緑のベースアンプに座ってしまう。
ヒロ「しってた?この部室、外から開かない鍵が、内側からかけられるみたい。さっきしっかりかけておいたから。開けられたら困るでしょ?」
ヒロはサクラの顔の右側に優しく壁ドンする。
サクラ「こっ……困るような事はしてないわよ!」
ヒロ「これからするよ?」
ヒロはサクラの顔の左側に優しく壁ドンする。
サクラ「!!」
サクラは少し涙目でこれから起こるであろう、ありとあらゆることを想像し、観念して目をぎゅっとつぶった。
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