第6-2話 メリーさん②
僕らが向かったのは、都心にある警察署の一つだった。
事件の始まりは、梅雨真っ盛りの頃まで遡る。
「メリーさんに殺されちゃうの」
そう、訴えてくる児童が署を訪れたという。
彼女はキッズ用の携帯を所持しており、知らない番号から電話がかかってくると言ったのだ。
件の携帯電話はSOS通知とメール、電話機能しか使用できないシンプルなものだった。もちろん、登録された番号以外から電話がかかってこないように設定済だ。
にも関わらず、知らない番号から着信が入り、音声が再生されると彼女は訴えた。
対応をした警官はいたずらだと考えたのだろう。
彼だって幼い頃は、メリーさんの話は聞いたことがあったかもしれない。
だが、大人になった警官は僕と同じように「大したことない」と少女の訴えを一蹴したのだ。
事実、持ちこまれた携帯には音声を記録する機能も無く、彼女の訴えを裏付ける証拠は何もなかったのである。
だが、数日後。
女児は変わり果てた姿で死亡した。溺死だったという。
事件はこれだけで終わらなかった。
同様の訴えをしてくる児童は後を絶たず、近隣の交番や児童相談所に確認を取ったところ、同じ相談が幾つもあったのだ。
遅くて一週間、早いと三日。
それが、彼ら彼女らが生きていられた期間だった。
犠牲者は合計八人。全て溺死。
これが梅雨から七月の中盤頃までに起こったことである。
そんな中、最初に相談を受けた警官が死んだ。
溺死だった。
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