第8話
「……何個上だったの?その女の人」
年上だなんて言うけど、せいぜい2,3歳くらいの差だと思っていたのに。
「10」
彼の発言に目が飛び出そうになった。
「は!?そんなに!?」
思わず起き上がって驚けばきょとん、とする彼。今時珍しくもないのか?とも考えた。
「え、そんなに驚くこと?沙紀ちゃんも先生とそんな変わらないと思うんだけど……」
そんなことを言い出すから、耳に届いた言葉に焦りが襲ってくる。
「は!?先生!?待って、あなた何歳!?」
てっきり、大学生だと思っていた。
顔立ちは幼いけれど、雰囲気は落ち着いているようだったから。
「え?もうすぐ18になるよ」
一人暮らしだし、しっかりしているから疑いもしなかった。
「こ、高校生!?」
成人していると思い込んでいたから、彼に身を任せていたけれど──高校生の家に連れ込まれたのだと分かれば話は別だ。
絶望感でいっぱいになる。
「ちょっと待って。ってことは先生とやらは28歳?私そんなに老けてないんだけど!」
ぐるぐると回る思考。
だけどまず口を突いて出たのは彼が勘違いしている私の年齢だった。
女性が年上に見られるなんて、嬉しいのは10代だけだもの。
「沙紀ちゃんそれ、何気に失礼だよ。……じゃあ沙紀ちゃんは何歳なの?」
必要最低限のこと以外は教えないつもりでいたけど──年齢ぐらいならいいかと思う。
何より誤解は解いておきたい。
「23!」
そう強く言い返せば、ゆるりと彼の眉が下がった。
「……ごめんね」
少し間があって、彼が呟く。
その申し訳なさそうな顔がさらに腹立たしい。
「なんで謝んの!?」
失礼なのはどっちよ、と隣で横になっているはずの彼を布団の上からバシッと叩いた。
「沙紀ちゃんって大人っぽいんだね。色気があるっていうか……」
「フォローしても無駄だから」
ふんっとそっぽを向けば、太郎ちゃんの身体が震えている。きっとまた、笑っているのだろう。
「しかも先生って……太郎ちゃんが通ってる学校の先生、とかじゃないよね?さすがにそんなドラマみたいな──」
どこまでを部外者である私が触れてもいいのか悩むけれど、好奇心には勝てない。
「あるんだなー、これが」
だけど躊躇することなく答えてくれる太郎ちゃん。
危機感のようなものはないのか。
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