第14話 ドワーフ族のレミシー
レオ達なら1~2匹であれば問題ないが、辺り一面を見る限り20匹以上はいる。さすがにこの数を相手にするのは無理がある。
幸いにも、岩のような敵は温厚で刺激さえ与えなければ岩のように動かず寝ているので、刺激を与えないよう静かに歩いていく。
レオは自分が紙装甲、しかもVIT1だという事を思い出す。
そして、この敵の図体から考え、麻痺や気絶などの何かしらステータス異常が付与される攻撃をしてくると予測し、急遽スキル一覧を開いて『オートキュア』をLV10まで取得する。
しかも、ロックサイノスがレオに攻撃してきたら一確だ。
『オートポーション』で持ち堪えられるかどうかだな………
それを想像しただけでレオの顔色は少し青ざめる。今や魔王の仕業でこの身は現実の物になってしまった為、絶対にそれだけは回避しなければならない。
2人は慎重に歩き、尚も南へ向う。
すると広い荒野から何やら話し声が聞こえてきた。
「ねぇ!ねぇ!パロン兄ちゃん!やっぱり戻ろうよぉ~!」
「何を言っているんだ!?ポロン!そんなんだから、いつまでも子供扱いされるんだぞ!」
「俺はもう立派な魔工鍛冶士マテリアルスミスだ!鉱石の一つくらい1人で取れなくてどうするんだ!?」
「むやみに外に出るなって言われているのにバレたら起こられちゃうよぉ~?」
「そんなに嫌ならポロン一人で帰れよ!」
何やら子供の兄妹喧嘩の言い合いが荒野に響き渡る。
レオ達は声が聞こえる方へ行ってみると、ウサギの耳と尻尾が付いた亜人の男の子と女の子が喧嘩をしていた。
しかも、子供達が喧嘩をしている周りにはロックサイノスが5体ほど寝ているではないか………
流石にこの状況はマズイと思いレオは亜人の兄妹に喧嘩をやめるよう注意しに行った。
「おいおい!こんな所で喧嘩するなよ!周りを良く見てみろ!モンスターだらけじゃないか………てか、なんで君達子供2人だけでこんな所にいるんだ?ここは危ないから早く戻ったほうがいい。」
すると、レオの注意が気にくわなかったのかパロンは急に怒りだした。
「なんだ!?兄ちゃんも俺の事を子ども扱いするのかよ!?俺はこう見えたって立派な魔工鍛冶士マテリアルスミスなんだ!こんなモンスターなんか怖くないぜ!」
と言って怒り任せに近くで寝ているロックサイノスに蹴りを1発いれた。
すると、地面が振るえ「クオォォォォン!」と鳴き声と共に寝ていたロックサイノスが目を覚まし、いきなり尻尾で薙ぎ払ってきた。
「きゃぁぁぁ!」「うわぁぁぁ!」
「くっ………」「ぐはっ!!」
4人とも不意をつかれロックサイノスの攻撃を受けてしまい宙に舞う。
パロン、ポロンは地面に叩きつけられ瀕死状態だ。
レオも地面に叩きつけられ、体が麻痺してしまい起きられない。
その時、パリンッ!と何かが割れた音がした後に『<SSR身代わりのロザリー>を1個消費しました。』とログが現れた。こういう所はまだゲームと一緒みたいだ。
戦闘不能=死亡を意味する今、身代わりのアイテムで回避できた事にレオはホッとする。
だが、まだピンチには変わりない。
『オートポーション』と『オートキュア』が同時に発動しHPが徐々に回復し、尚且つマヒ状態も消えた。
アテナは吹き飛ばされたが、すぐ立ち上がり防御体制を取り3人を守ろうと身構える。
「レオ!生きていますか!?」
「あ、あぁ………何とか、生きているみたいだ………」
レオは子供2人のところへ走って向う。
(あぁ………俺ってやっぱり大丈夫か?と聞かれる前に生きているかの生存確認なんだな………)
そう思うと少し情けなくなってくる。
「おい!しっかりしろ!!」
近くに倒れていたポロンの上体を起こし、躊躇ちゅうちょせず<SRエクストラポーション>を飲ませた。
すると体全体が黄緑色に輝き、傷一つ無く全回復した。
気が付いたポロンは「助けてくださりありがとうございます!!」
その言葉を聞いたレオは笑顔で答え、すぐさまパロンの元へ駆け寄り<SRエクストラポーション>を飲ませた。
その間にロックサイノスは頭を下げ、前足で砂を掻いている。攻撃の兆候だ。
アテナは3人の前に立ち盾を構える。
『ダメージアブソーブ!!』
スキルを発動しダメージ吸収を試みる。
そして、ロックサイノスは「クォォォォン!!」と鳴き声と同時に突進してきた。
ガキィィィィィン!!
アテナが盾で突進を防いではいるが、5mもある巨体を押さえている為ズリズリと押され後ろに下がってくる。
「くぅぅぅ、やはりコイツのパワーは凄い………」
これ以上、後ろに下がってしまうとレオや子供達が危ない。
しかも、周りにはまだ寝ているロックサイノスがゴロゴロ居る。
それをわかっている以上、なんとか耐えるしかない。
すると盾の色が次第に白銀から赤へ変化していく。
「あと少し!!あと少し耐えれば………」
しかし、細身の女性が5mもある巨体を盾一つで押さえ込む姿はレオに取っては屈辱でしかない。
本来なら男が格好良く攻撃を耐え反撃に出るはずだが、自分の目の前には美しい女性が苦しい顔をしながら俺達を守るため必死に堪えている姿が目に焼きつく。
(俺には本当に何もできないのか………何か他に出来る事は?)
レオは必死に考えるが何も思いつかない。
「クソッ!!」悔しく唇を噛み締める。
しかも、アテナの方がレベルが高い為、思ったより被ダメージが少なく盾も中々、金色に変わらない。
盾が金色にならない限り『ジャッジメントクライム』は使用できない。
戦闘も硬直状態になった時だった。空から1本の槍が飛んで来てロックサイノスに突き刺さり、槍から炎が噴き出し炎上する。
地属性のロックサイノスに対し弱点である火属性の攻撃だ。
運よく、周りのロックサイノスには当たらずに済んだ。
「クオォォォォォン!!」叫び声と共にロックサイノスは倒れた。
「ったく!だから言っただろうに!!誰の許可無しに外へ出ているんだ?」
その声が聞こえたとたんパロンは冷や汗をダラダラと流し、急いでレオの後ろへ回り姿を隠す。
ロックサイノスの奥からウサギの耳が付いた赤毛のショートで小麦色した一見すると日焼けしたギャル見たいな女性が歩いてくる。
おそらくパロン、ポロンと同じ種族の者だろう。
彼女はロックサイノスに刺さっている槍を片手で引き抜き、肩に掛けながらこちらに向ってくる。
「あんたらがウチの悪ガキ達を助けてくれたのか?礼を言う。ありがとう。」
レオとアテナに向って礼を言うと一変、表情が鬼瓦の様に変わりレオの後ろに隠れていたパロンの耳を掴み上げ、睨みつけた。
「お前、何様のつもりで外へ出たんだ?私があれほど外には恐ろしいモンスターが居るから、子供達だけで外には出るなと言っただろうに!!」
彼女が凄い気迫で言った為、パロンは恐怖のあまり涙を流しながら「す、すみませんでした………」と謝る。
ポロンも彼女の前へ行き、土下座で「ご、ごめんなさい!!」と謝る。
彼女はチラッとこちらを見て、冷静さを取り戻し「まぁ、他人も居るわけだし………ほら!里へ戻るぞ!後はそれからだ!!あと、あんたらには借りが出来てしまった………申し遅れたが私はネザーランド・ドワーフ族のレミシー・ファボットだ。すまないが私と共に里へ来てはくれないか?借りを返したい。」とレオ達も里へ付いて来て欲しいと言う。
それを聞いたレオは(まんまウサギかよ!?もうちょっと捻った設定に出来なかったのかね………だからドワーフ族か………しかも、獣臭ってのも理解できた。まぁ、俺には気にするほどじゃないけど………でも、この種族の亜人は萌える。)とレミシーを見て、そう思った。
そして、偶然にもレオ達はこのドワーフ族に会いに来ていた為、都合がよかった。
レミシーが先に名乗ってきた為、レオ達も後に続き自己紹介をする。
「俺はレオ・バレンタイン」「私はアテナ・グランジェと申します」
2人はレミシーと握手し、その後2人はレミシー達とドワーフ族の里まで付いていく事にした。
しかし、凄く気になったのはパロンとポロンが縄で縛られ引きづって連れて行かれる様子だ。
それを見ていると少し可哀想に思える。
「な、なぁ?ちょっと可哀想じゃないか?」
「ん?あぁ~いいんだよ!こいつらはこのくらいの罰を与えないとダメだ!」
と引きずっている二人を睨みつける。
「ひぃ~!!」
2人は完全に怯えている。
「でも、あんたらはあまり見かけない顔だな?マキアの町の者でも無さそうだし。」
レオはアテナの事を話しに出すと面倒になると思い、自分だけの事を話す事にした。
「まぁ、俺達は冒険者をやっていて世界を旅している所なんだ。」
「ふぅん、アテナは見た目からパラディンってのがわかるが、レオお前は職業なんだ?」
「お、俺は………錬金術士アルケミストだよ。」
「ほう?お前がこの島に伝わる錬金術士アルケミストかぁ~!やっぱり全然強そうじゃないな!あはははは!」
レミシーはレオの体格や装備を見て思わず笑う。
レオが機嫌を悪くしたと思い、慌ててフォローする。
「あぁ、悪い!別にバカにした訳じゃないんだ。悪く思ったのなら申し訳ない。ただ、ウチのドワーフ族が作る装備品ならお前を強くしてやれるかもなぁ~って思っただけなんだ。」
「いや、本当の事だから大丈夫だ。気にしてない。」
と言うが内心は凄く気にしている。
先ほどの戦闘でさえ何も出来ず、ただ子供にポーションを与えただけだ。
これが子供じゃなく前衛職だとしたら全くもってお話にならないレベルであるのは本人も承知だ。
だから尚更、歯がゆく『どうにかしたい!』と言う思いが一層強まっている。
すると、レミシーとレオの話を聞いていたアテナが彼女に声をかける。
「あの、レミシーさんは何か武器を作れたりするんですか?」
するとレミシーが喋る前にパロンが喋り始めた。
「良くぞ聞いてくれた!!この姐あねさんこそ世界一の魔工鍛冶士マテリアルスミスなんだぞ!武器から防具までありとあらゆる装備品を作ってしまうほどの腕前だ!王族からも依頼が来たりするくらいなんだぞ!」
とかなり自慢げに説明をしてくれたパロンだったが、話し終わると同時にドスッと鈍い音がした………
「おまえなぁぁぁ!?全然反省してないみたいだな!!」
レミシーが調子に乗ったパロンの腹に1発、拳を与えた音だった。パロンは腹に両手を当て崩れ落ちる。
てか、大人が子供を殴るのはいかがなものだろう………
レオはそれを見ていい気がせず「お、おい!それはいくらなんでも………」
「いやいや、気にしないでくれ!これは日常茶飯事だから!」と彼女は笑顔で答えた。
(これが日常茶飯事!?え………ドワーフ族って実はヤバイ種族なんじゃ?今、俺達はこいつらの里に向っているんだよな?まさか、ボコられたりしないよな………?)
アテナも聞かなきゃ良かったと、申し訳なさそうな表情で少し後悔していた。
そうこうしている間に、岩肌の嶮しい山脈の山麓に洞窟のような穴が見えてきた。
「ここが私達、ドワーフ族の里だ。私達は普段、地下で生活しているからこの様な山に穴を掘って集落を作っている。」
すると中から青年のドワーフ族が出迎えに出てきた。
「姐あねさんお疲れ様です!!試作の槍の結果はどうでしたか?」
「出迎えご苦労!あの槍はダメだ。ロックサイノス1体を刺しただけでこのザマだ。」
出迎えた青年に先ほど使っていた槍を渡す。
「刃が欠けて柄にヒビが………」
「あぁ、失敗作だ。やはりもう少し高度のある鉱石を使って仕上げないと無理みたいだ。あと、こいつらも頼む!私には客人がいるんでな………」
そういってパロン、ポロンを青年に引き渡す。
すると青年も「お前ら!!」と起こり2人の頭に拳骨げんこつをした。
2人とも反省しているのを見ながら、レオ達はレミシーに里の中を案内されながら奥へと進む。
中は洞窟と言うよりも現実世界リアルにある地下街をイメージさせるような立派なものだった。
「ウチらの里は先ほども言ったが王族から依頼が来たり、直接買いに来る人も居る為、この様に整った感じにしているんだ。時間がある時でもゆっくり見てってくれよ!」と言いながらまだ奥へと進む。
商業施設が過ぎると今度は鍛冶の現場になっていた。鉱石を溶かす溶鉱炉はこの山脈に流れるマグマを使用している。
「こ、これはすごい!!」
予想を超えた高度な施設にレオは魅了された。
それを見たレミシーは「ふふっ気に入ってもらえたようだね?」と少し誇らしげに言う。
「さて、それでは今回のお詫びとして君達に私自ら武器を作ろう!」
「で、どんなのがいい?」
「あ、あの~!?」
アテナが申し訳なさそうに話す。
「私にはこの神具がありますので私の分もレオに作ってあげてください。」
アテナは悪気があって言ったわけじゃないのはわかる。
でも、そう言われると何故か俺の心が傷つく………
(いかにも私の装備は十分整っているので、紙装甲の奴に情けを掛けてやってくれって言っているようじゃないか!)
先の戦闘からレオは変に捻くれて事を考えてしまうようになっていた。
「そうか、それなら仕方ないな。んじゃ、レオはどんな武器にするんだ?」
レミシーに聞かれるとレオはエンペラーズロッドを取り出して彼女に見せた。
「んと、このロッドを加工できたりする?例えばロッドを地面にコンッと突いたら槍に変形するとか?」
「ふむ。これは素晴らしいロッドだな。限界突破もされている………」
レミシーはレオから受け取ったエンペラーズロッドを隈なく見ながら「まぁ、それは新しい発想だ。考え付きはしなかったが、出来なくはない。ただ、レオのSTRはいくつなんだ?」と逆に自分が気になる事を聞いた。
「俺はSTR1だけど?」
それを聞いてレミシーは愕然とした。
「は!?お前!それなのに物理攻撃用の武器に加工しようとしてたのかよ!?ったく全然わかってないな………ほらっ!」
レミシーは普通の片手剣をレオに投げ渡した。
「まぁ、例えだがそいつでアテナを攻撃してみろ。」
「はぁ!?何言っているんだよ?仲間に攻撃するなんて………」
レミシーの突然の言い出しにレオは焦る。
「いいからやってみろ!アテナ!ちょっと1発受けてくれないか?」
そうアテナに頼むと「あ、わかりました。」と快く引き受けた。
レオは「マジかよ………」と言わんばかりに肩を落とす。
「じ、じゃぁ1発だけいくぞ!?」
レオは構えアテナに向って斬りつけた。
カァァァン!
アテナはただ立っているだけだが、レオは硬いものに弾かれるように弾き返された。
「いてててっ………なんでだ?」
レオは何故、弾き返されたのか訳がわからない。
しかし、レミシーとアテナはその訳を知っているみたいだった。
「ほらな?」
「STR1しかないヤツが物理防御力の高いヤツにダメージなんて与えられるわけ無いだろう!?これが絶対防御ってやつだ。自分の物理防御力の5割以下の者からのダメージは受け付けないんだ。」
「だがな、レオ!よく見ていろ!!こうやって素手でやると………」
レミシーは素早くアテナの後ろに立ち、勢い良く胸を揉んだ。
「きゃぁぁぁぁ!!何するんですか!!?」
戦神と言われるおしとやかなアテナも突然の出来事に驚き、目に涙を浮かべ勢い良く平手で叩きにかかる。
しかし、レミシーは持ち前の反射神経で素早く回避すると、その隣に居たレオの左頬へ見事に命中する。
バチィィィン!!
辺りに響く音と同時にレオはその場に蹲うずくまる。
「いってぇぇぇぇ!!」
「武器を装備せず素手であれば、この通りだ。」
とレミシーはレオに教える。
「何がこの通りだよ!!」
突然、アテナのビンタを食らったレオは原因であるレミシーに怒る。
「ごめん、ごめん!!だが、考えてみろ。先ほどは武器で攻撃して跳ね返された。しかし、今度は素手だ。本来ならアテナの物理防御力なら跳ね返されるはずだし、STR値であれば、お前は今ので即死だぞ?けど生きているだろう?」
レミシーのその言葉にレオは「確かに………」と思い、頷くしかなかった。
「けど、何故だ?」
「これがこの世界の理だ。武器を装備し攻撃するとSTRや物理攻撃力に依存する。しかし、素手であれば依存しない。それはVITも同じ事だ。その意味がわかるか?」
その言葉にレオはある事に気付く。
「それってもしかして………素手であれば防御力も貫通できるって事か!?」
その回答にレミシーは頷く。
「そうだ。素手であればステータス値に依存しない。だから強い武器を装備しているから必ずしも強いって事はない。もし、素手で戦う者が現れたら気をつけろ。どんなにVITがあるアテナでも危ないだろう………まぁ、そうは言っても私もまだ出会ったことはない。素手である以上、皮膚が硬かったり鋭かったりする敵に対しては自分もダメージ受ける。アテナの鎧も本来、高度がある物質だから素手で殴れば痛いだろう。あの格闘職のモンクでさえ、自分の拳にはグローブやナックルなど武器を装備する。」
「なるほど………ってそれとこれとは別だ!!やっぱりさっきのは納得がいかねぇ!!」
レオは再度、アテナにビンタされた事をぶり返す。
「本当ですよ!レミシーさん、突然何をしだすんですか!」
2人から攻められ、レミシーは平謝りする。
「本当にごめん!単純にSTRに関する事を伝えようとしたんだが、少し魔が差してしまった。」
レオはレミシーの謝る姿を見て、悪気は無いし許すことにした。
「ごほんっ!では気を取り直して、武器の製造といくか………」
レミシーは弟子にアイコンタクトすると、何やら大きな木箱を抱えてきた。
弟子はレミシーの前に持ってきた木箱をドンッと置く。
その重量感ある音から結構、重たい物だとわかる。
「レオ、この木箱から好きな武器の模型を手に取れ。」
レオは木箱を覗くと子供がおもちゃをしまったかのようにゴチャゴチャと色々な武器の木製の模型が入っていた。
「この中から選べって言ったって………どんな物が入っているか探すのも面倒だ………ん?これは!?」
偶然、レオは1つ気になる武器が上の方にあり、手に取る。しかも、この世界に存在しないような物だ。
「なぁ、これってこの世界に存在するのか?」
レオは手に取った武器をレミシーに見せた。それは現代世界リアルに存在する銃だった。
「それは以前、訪れた冒険者がこれと同じものを持っていて、珍しいから詳しく見せてもらって作ってみたらしい。私も詳しくは知らないが代々受け継がれているものだ。」
この世界感からすると飛び道具であれば弓が妥当だろう。
だが、レオは迷わず銃を取る事にした。
「俺はこの武器にするわ!」
「ほほう。面白いな!以前、これを持っていたヤツも錬金術士アルケミストだったみたいだしな!」
レオはその言葉を聞いて疑問を抱く。
(え?今、錬金術士アルケミストって………だけど、サリアから聞く話しによれば俺以外の錬金術士アルケミストは居なくなったはず。サリアが嘘をつく様な人柄でもないし、それは信じたい………)
「なぁ!?その錬金術士アルケミストはいつ頃ここに訪れたんだ?」
何故かレオは悪い予感がし、鳥肌が立つくらいの寒気が体全体に走る。
レミシーは逆になんでそんな事を詳しく聞いてくるのか不思議に感じながら、レオの問いに答えていく。
「実際には私が産まれる前の話しだ。まだ、爺ちゃんがここの頭を張っていた時に訪れた冒険者から見せてもらったみたいだ。いつ頃っても………まぁ………たぶん、今から60年前かな?」
レミシーの口からその年数が出るとレオはザワッ先ほどよりも強い寒気が走った。
(フォリス婆が言っていた年と同じだ。現実世界リアルでは12年前………やはりあの事件の年数だ………段々と話が繋がっていくな………)
それよりも、今はそんな話をしている時間は勿体無く、コロシアムまでに専用武器を作ってもらうのが先決であると思い、レオはこの事について後日、じっくり考える事にする事にした
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