第5話 幼馴染襲来
「やっぱり全体から見ても生産性の職業は少ない傾向なのかぁ、やっぱり製薬職より回復職のプリーストの方が性能いいから皆そっちを選ぶよね………見ての通り、この統計から製薬職の錬金術士アルケミスト関連の情報が乏しいのもしょうがないかぁ………まぁ、ゆっくりゲームを楽しむなら、徐々に知っていく方が逆に楽しいかもな。」
創はカップ麺の蓋を開け、食べながらパソコンの攻略サイトを眺める。
「まだ14時だし、またログインして町周辺を散策しながらレベル上げておくか。どうせ、あいつ達も今頃は王道職でわいわいやっていると思うしな………」
カップ麺を食べ終え、片付けが済むと創はベッドに腰掛けヘッドギアを装着する。そして、ベッドの上に仰向けになってから、ゲームを再ログインする。
「さて、とりあえずレベル上げだ。今日はこの周辺を狩場にして散策してみよう。」
レオは周辺MAPをみながら、散策ルートを決めていた。
「ホムンコール!」
レオはマジックストレージに収納されたホムンクルスのアラウネを再び呼び出す。
「アラウネ、さっそくで悪いんだが今日は可能な限りレベル上げをしようと思う。だから常に索敵をしてもらってもいいか?」
「はい、かしこまりました。」
アラウネは少しの間、目を瞑りそよ風が吹いたと同時に目を開けた。
「マスター索敵は完了です。」
「おし、んじゃレベル上げと行きますか!!」
その後、レオとアラウネは淡々と敵を狩り、レベルを上げていく。
それもゲーム内の時間ではおよそ24時間続いていた。
「ふぅ、これでようやくレベル60か!カンストレベルが250だけど、初日にしては結構上げた方じゃないかな?しかも、ここら辺のモンスターは弱い種族でもボス属性持ちだから経験値やドロップアイテムが美味い!!スキルも一通り取れたし、明日あたり少し製薬を試してみるかな。」
スキル一覧を見ていたとき、アラームがなり項目を見てみると[睡魔]と[尿意]だった。
「アラウネ、今日はありがとう!」
レオは礼を言うとアラウネは軽く会釈をし消えたと同時に自分もログアウトした。
ヘッドギアを外し、すぐさまトイレに向かった。
その後シャワーを浴び一通り済ませ就寝した。
次の日の朝、いつも通り目覚ましのアラーム鳴り響く。
今日は月曜日で大学に行かなければならない日でもあった。
「はぁぁぁ~!!かったりぃ~なぁ………このままワルジェネにインしようかな………」
大きなあくびをし、眠そうな目を頑張って開けながらフラフラとベッドから立ち上がり、食パンをトースターにセットしてから顔や歯を洗いに洗面所へ行く。
食パンが焼きあがったら、冷蔵庫からマーガリンと牛乳を取り出し先に食パンにマーガリンを塗る。それから牛乳をコップに注ぎ、テレビの電源を付け朝食を取りながら番組を見ていた時だった。
ピーンポーン!ピーンポーン!
急にチャイムが鳴った。
「ったく、誰だよ!こんな朝早くから鳴らすのは………まぁ、アイツしかいないよな………」
スウェット姿の創は面倒くさそうに玄関に向かい、ドアを開けた。
「おはよう!!ちゃんと起きてた!?」
朝からテンション高めで挨拶してきたのは近くのアパートに住んでいる幼馴染の四之宮葵だ。
彼女は「創は1人じゃ何も出来ないから、幼馴染の私が面倒みてあげる!」とか言って創と同じ大学を受験し、学校がある時は毎日のように押しかけてくる。
本当にいい迷惑だし、余計なお世話だ。
まぁ、1人の女性と見るなら容姿はいい方だと思う。
髪は方までの薄い青色で運動神経が良く体系はモデル並だ。
スポーツ系サークルからの勧誘は多いが、彼女もまた趣味のゲームがやりたいが為にサークルには一切入っていない。
「朝から大声出すなって!頭痛くなるだろ!!んで、何のようだ?俺は学校に行く準備で忙しいんだ、お前にかまっている暇はない!」
創は険しい表情で少し距離を置く態度を取り、ドア閉めようとすると葵はドアに手を掛け力ずくでこじ開けてくる。
「まぁ、まぁ!せっかく来たんだし、いい………じゃ………ない!!」
創は葵に力負けしドアが完全に開いてしまい葵が堂々と入ってきた。
そして、入ってくるなりムスッとした表情をする。
「朝からこんな可愛い女の子がモーニングコールしに来ているのに、ありがたいと思いなさいよね!?確かに外見は良いけど、内気すぎて全然周りと馴染めてないじゃない!せっかく私が改善してあげようと思っているのに!!」
口や表情には出さず、創は(余計なお世話だ!)と心の中で叫び、気持ちを沈める。
「わかったから!近所迷惑になるから大声出さないでくれ!」
こうなると葵の扱いが手におえなくなり、お手上げ状態だ。
もはや、なるようになるしかない。
しかも、自分の部屋の様にドタドタと勝手に上がり込んで、部屋の中を物色する葵。
すると、たまたまパソコンデスクに置いてあった、ゲームのダウンロードIDが書いてあるカードを見つける。
「あれ!?これって、新作のワールドオブジェネシスじゃない?創も買ったの!?」
「あ、あぁ、面白そうだったからな。ん?てか、創も??って事は葵も買ったのか?」
「もちろん!!私はこう見えて結構ゲーマーだからね!!」
葵は創に向ってドヤ顔で応えた。
(なんだろ、この腹立たしさは無性に殴りたくなってくる)
自分の気持ちを抑えながらも着々と準備を進める。
「おし、終わったから学校いくぞ~!」
「は~い!」
なんだかんだでいつも葵のペースに飲み込まれてしまう俺………
2人は部屋を出て徒歩で学校へ向う。
「なぁ?」
「ねぇ?」
2人は同時に声を掛けてしまい、お互いなんか照れ臭くなり少し赤面した顔をそらした。
「あ、葵からどうぞ。」
「い、いやいや!創から!」
普段、こんな事はない2人だが、今日は何故かぎこちない雰囲気になってしまっている。
「ここはレディーファーストって事で葵からどうぞ。」
「じゃぁ……ワルジェネの話しなんだけどね。創は職業何にしたの?」
「そんな事聞きたかったのかよ!?」
「いいでしょぉ!?だって創もワルジェネやってるってわかったし、ちょっと気になったんだもん!!で、何にしたの?」
「あぁ、俺は錬金術士アルケミストだよ。」
「えぇぇぇぇぇ!!」
それを聞いた途端、葵は驚きの顔で開いた口が塞がず硬直していた。
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