第2話 初課金&ガチャ

 説明を読んだ創は「いやいや、なんで錬金術士アルケミストだけ田舎町よ………なんかこれはあきらかに贔屓ひいきだぞ!?まぁ、でも知り合いとかに合うリスクは少ないからこれはこれで俺としてはいいか。ここからスタートして都市まで進む頃には他のプレイヤーもレベル上げや世界中を旅してどこかに行っているだろう。」と多少、始まりの町に対して不満はあるが、一番気にしていた知り合いに合うリスクが低い事がわかり安心した。


 創はイケメンで好青年な感じなので男女問わず慕われているが、ある理由から今はあまり人付き合いが好きではない。その事から現在は家に引きこもって好きなゲームをやって自分の時間を大事にしたいタイプになってしまった。だけど、今回はなぜか大勢の人がオンラインでプレイするVRMMORPGを始めている。

 なぜ?と聞かれると理由は、ただこのゲームは自由が売りでプレイヤー次第でどうにでもなるというコンセプトが面白そうだったからだ。

 創はキャラ設定を終えるとさっそく転送を開始した。


「ふぅ、今からこの世界では獅堂創じゃなくレオ・バレンタインだ。さぁ、この世界を楽しむかぁ!!」

大きく背伸びをし、体を伸ばしながら辺りを見渡す。


「へぇ、田舎町マキアって名前だけど、予想していたより栄えているじゃないか!これなら、そんなに貧しい生活をしなくて済みそうだな。」

 そう言いながらレオはマキアの町中を散策している。


「見た感じ、プレイヤーは今のところ俺1人っぽいな………やっぱり製薬職は人気ランキングでもワースト1だしなぁ………まぁ、他のプレイヤーが居ないのは好都合だ。」と確認した上で、町の中でもあまり人が来ない町外れにある広場へ移動した。


 レオは広場周辺に人が居ないか入念に見渡し、居ない事を確認したレオは「最初はやっぱり、攻略を有利にする為に課金だろ!!ガチャだぁぁぁ!!」と叫びながら、メニュー画面を開きショップのコマンドを押す。


 すると、いつの間にか目の前に露店が現れ、露店店員であろう女性が1人立っていた。容姿は赤紙で肩までの長さ、メイド服でガーターベルトとタイツを履いており、モデル並みのスタイルだ。


「いらっしゃいませ!初めまして、私はショップ店員のジェシカと申します。以後、お見知りおきを!さて、さっそくですが何に致しましょうか?」と話しかけてきたが、レオはあまりの美しさに見惚れてしまい、しばらくの間は岩の様に固まってしまった。


「あ、あのぉ~?如何なされましたか?」

と再度、ジェシカに声を掛けられたレオはようやく我に返る。


「あ、あぁ!ごめん、ごめん!!ちょっとぼぉ~っとしてた!あはははは………」

 レオは笑ってごまかし、「ごほんっ!」と1回咳払いをし気を取り直した。

「とりあえず初心者パックや職業別のパックとかって無いのかな?」

 大体、リリース記念だとか初心者応援と言った、ありきたりな特別パックがあるのか確認をする為、ジェシカに聞く。


「はい!初心者パックも職業別パックどちらもございますよ!両方購入されますか?」

「そうだな………とりあえず両方購入してみようかな!」

「職業別パックはどの職業に致しましょうか?」

「職業は最初から決めていたし、錬金術士アルケミストで頼む!」

「わかりました!毎度ありがとうございます。購入されたアイテムは一応表示されますが、自動的にストレージに入っていると思いますので、ご確認お願いします。」

 ジェシカが言ったと同時に購入したアイテムが表示された。


初心者パック×1を購入しました。

<初心者用装備セット×1>

<ポーション×50>

<MPポーション×50>

<経験地50%UPの巻物×5>

<ルピー取得50%UPの巻物×5>

<1,000,000ルピー×2>

を手に入れました。


職業別パック錬金術士アルケミスト×1を購入しました。

<アルケミスト用装備セット×1>

<10連ガチャ券×1>

<遺物UR確定ガチャ券×1>

<エクスポーション×50>

<エクスMPポーション×50>

<1,000,000ルピー×5>

を手に入れました。


「こんなにお金もらえるの!?この額ならいきなり良品な装備を揃えられる程だ………それとは別に気になるのはこの<遺物UR確定ガチャ券>だな………いかにもって感じだな。」

 意味のわからない遺物ガチャ券ってのが気になり黙っては居られずジェシカに聞いてみることにした。


「なぁ?この遺物って何に使うんだ?」

「そのガチャ券については詳しくはわかりませんが、錬金術士アルケミストのスキルで遺物を媒介にして何か召喚するとかしないとか?って事くらいしか私は申し上げれません。」

「そのするとかしないとかって曖昧な感じでシステムに入れるなよな………」と苦笑いしながらレオはぼやいた。


「さて、お次はガチャなんだが、オススメなガチャはあるかい?」


「現在、リリース記念職業別ピックアップガチャというのがあります!通常のガチャですと提供割合がUR0.5%、SSR5.5%、SR15%、R29%、N50%となっている所をこのピックアップガチャはUR10%、SSR25%、SR35%、R30%と大幅に優遇されており、Nクラスのアイテムに関しては一切でません!!」


「それ、マジで言っているのか!?それはもう引きまくるしかないだろ!!早く、そ

のピックアップガチャをやらせてくれ!!」

「では、レオ様こちらへ付いてきて下さい。」

 ジェシカに案内され露店の裏へと移動した。すると空から何やら物陰が現れ段々近づいてくるのがわかった。


ズドォォォォン!!


轟音と共に巨大なガチャが現れた。


「ちょっと!!危ないから!!空から降ってくるなら、降ってくるってちゃんと言って!!」

 突然、落下してきたガチャに対してレオはジェシカに文句を言う。


「すみません。うっかり忘れていました!」とジェシカは舌を出し誤魔化す。

「では、さっそくですがガチャを引いて下さい!」

 レオは初めて見る巨大なガチャに下から上へと見渡す。


「これ、すげぇな………えっと、この右側にあるレバーを引けばいいのかな?」


「そうです!そこを下に引くと玉が出てきます!ちなみに、初回10連は無料ですのでお気軽にどうぞ!」


初のガチャ、緊張の一瞬!!レオは目を瞑り気持ちを入れてレバーを引いた。


「おらぁぁぁ!!」


ガチャン!


 レバー音と共に、中から思っていたより意外と小さい玉が10個出てきた。

まぁ、イメージとしてはバレーボールくらいだな。

出てきた玉は虹色、金色、銀色、青色がある。おそらく虹色は最高レアアイテム

であろう。


出てきた玉はポンッポンッ!と音を出しながら自動的に開封されていく。


「おぉ!!こんな感じに出てくるのか!これが大体の流れか………おし!!引くぞぉぉぉ!!」

 レオは気合を入れ、課金ガチャを回そうとレバーに手を掛けた時、ふと思い付く。


(とりあえず、10連をもう1回だけ引いた後は1連で引いてみるか………すぐ終わってしまってはつまらないしな。)

 その姿を笑顔で見守るジェシカ。


そして、10連ガチャのレバーを押した瞬間、プチュン!とガチャの液晶画面がブラックアウトした。


それを見たジェシカは「おめでとうございます!!レオ様、これは2個以上UR確定ですよ!!」とはしゃぎながら教えてくれた。

どうやら、ジェシカも見るのは初めてだったみたいだ。


「まんまじゃん!!これ、現実のパチスロにもある演出とほぼ同じじゃないか!!もっと違った演出を考えなかったのかよ………」

 レオはついツッコミを入れてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る