14話 夏だ!海だ!水着だ!(後編)
「よーし、海だー! 泳ぐぜー!」
そう言ってはりきるミリアちゃん。
わたし達は店でのお買い物のあと一旦宿に戻って水着に着替えて海にやってきた、わたしは公共の脱衣所は使えないからね。
海に隣接する宿を取ったから着替えに困らないのは助かったよ、ミリアちゃんナイス。
「にしても今日は人が少ないな、まあその方が都合がいいか」
ミリアちゃんは赤色のビキニに身を包んでいた、スタイルの良さがよく目立つから周囲の男の人の目線を奪っている。
けどミリアちゃんは泳ぎに行くのに夢中で目線は気にしてないみたい。
「うう、やっぱりちょっと恥ずかしくなってきましたわ……」
ユニちゃんは白色のビキニと、腰にパレオを巻いていた。思い切ってビキニを着たものの、少し恥ずかしくなってきたらしい。背伸びして着てみたけど……って感じで微笑ましかった。
「〜♪ カオルお姉ちゃんと一緒の水着嬉しいな」
アリスちゃんとわたしはお揃いのフリルたっぷりの水着を着ている。色までお揃いなのは微妙だったから、アリスちゃんは緑色、わたしは水色だ。
「ミリア、泳ぎたくてはしゃぐのは分かるが準備運動をしっかりとな」
翼くんはシンプルな海パンだ、裸を初めて見たんだけど適度に筋肉が付いていて健康的なイメージを出していた。
「分かってるって、そう言えばカオルって泳げるのか? 海に来るのは初めてらしいけど」
「それが、わたしも分からないの。海は勿論プールの授業も休んでたからお風呂場より広い水に入るのは初めてで」
「泳ぐのは初めてってことか。じゃああたしが泳ぎ方を教えてやるよ」
念の為浮き輪も持ってきたけど、やっぱり海に来たからには泳いでみたかったからミリアちゃんに教えてもらえるのは有難かった。
そうして準備運動も終えたあと、海に入ることに。
「よーしカオル、あたしの手を持ちな」
初めての海に、おっかなびっくり入っていく。
海面がわたしの胸のあたりまでくる深さで一旦ストップした。
「どうだ? 海に入った気分は。冷たくて気持ちいいだろ?」
「うん、確かに涼しくていい気分かも。それに水に浮いてる感覚が面白いかな。これなら泳ぐのも何とかなりそうかも」
そして、ミリアちゃんに手を引いてもらいながら泳ぐ練習をしたよ。数十分後には一人でも溺れずに浮かんでられるようになった、泳ぐのはまだ難しいけどね。
そうしたらミリアちゃんは近くに見える小島まで泳ぎに行くって言って離れちゃった、結構遠くに見えるけど大丈夫なのかな。
「カオルさん、浜辺で水遊びでもしませんか?」
「カオルお姉ちゃん、砂のお城つくってあそぼ♪」
1人になったわたしを見てユニちゃんとアリスちゃんが声をかけてくれた。
それに応じようとしたその時、ユニちゃん宛に知らない男の人達から声が掛かってきた。
「そこの彼女、俺達と一緒に遊ばない? 良いスポット知ってるぜ」
どうやらナンパの人らしかった、ユニちゃんも対応に困ってるみたい。
「ええと……他の子達と一緒に来てるので、ごめんなさい」
断りの返事を入れても、ナンパ組は引かなかった。
「まあまあ、いいじゃんいいじゃん。もしかして側の2人の娘と一緒? 別に俺は一緒でも構わないぜ?」
そう言うと、他のナンパ組の人から「うわ、あいつ幼女趣味か?」みたいな声が聞こえてきた。
アリスちゃんは普通の子供だけどわたしはこう見えても16歳だからね。と心の中で思っておく、それを伝えても面倒な事になりそうだし。
ともかく、ナンパ組の方も引かないから困った事になった。こんな時ミリアちゃんならカッコよく対応してくれるんだろうけど今は居ないし……
なんて思っていると、救世主が現れた。
「ユニ、薫、アリス。どうしたんだ」
そう、翼くんが来てくれたのだ。
翼くんもわたし達がナンパされてるのに気付いたらしくて、警戒の目線を向けている。
「うわ、彼氏持ちか? すまなかったな、じゃあな!」
そう言い残して、そそくさと逃げていくナンパ組。これじゃあ勇気が有るのか無いのか分からなくなっちゃった。
「ツバサさん、助かりましたわ。
「翼くん、ありがとね。カッコよかったよ」
「ツバサお兄ちゃん、ユニお姉ちゃんの彼氏に見えちゃったんだね。ふふふ」
わたし達3人の感謝の言葉を聞いた翼くんは、いつも通りにクールに答えた。
「……皆が無事ならそれでいい、たまにああいう輩が出るから気を付けておいてくれ」
そうしてアクシデントもあったけど、十分に海を満喫したわたし達。ミリアちゃんも泳ぎから戻って来て泳ぎを満喫したようだった。
「カオル、初めての海はどうだった?」
そう聞いてきたミリアちゃんに笑顔で返す。
「すごく楽しかったよ。わたしは海で水着を着るのは諦めてたからこうしてみんなで海に行けたのは一生の思い出になるかも」
すると、ミリアちゃんも笑顔になった。
「それなら良かった! この街にはしばらく滞在する予定だから海に行く機会もまだまだある。また来ようぜ!」
そうして、わたしの初めての海と水着は良い思い出として記憶に残ったのだった。
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