10話 わたし達のこれから
翌朝、冒険者ギルドにオーク討伐の報告をしに来たわたし達。
「はい、確かにオークの討伐を確認しました。これは報酬の金貨3枚です」
今まで対応してくれたお姉さんとは別の人、20代ぐらいのお兄さんが対応してくれた。
「対応ありがとな、ところで今他に魔物の討伐依頼は来ているかい?」
ミリアちゃんがそう聞くと、お兄さんは残念そうに答えた。
「いえ、皆さんが討伐した依頼が最後の依頼で今は討伐依頼は来ていませんね」
その言葉を聞いて、ミリアちゃんがお礼を言ってこっちに帰ってくる。
「そうか、ありがとう。なら次の街を探さないといけないな……」
ミリアちゃんが戻ってきて、わたし達に報告してくれた。
「この街での魔物の討伐依頼は無くなってしまったみたいだな、次の街に移るとするか」
ミリアちゃんがわたしの方を向いて聞いてくる。
「カオル、言い忘れてたんだがあたしたちは1つの街に留まらず、世界を旅しながら先々で依頼を受けてお金を稼いでいくスタイルなんだ」
真剣な表情でミリアちゃんが続ける。
「それで、カオルには選んでもらう事になる。あたし達と一緒に旅に付いていくか、ここに残って他のパーティーと組んで過ごすか。大事な事だから、すぐに決めろとは言わない、じっくり考えてくれ」
そうミリアちゃんは言うけど、わたしの心は既に決まっていた。
「わたし、みんなと一緒に旅に出るよ。わたしの秘密を受け入れてくれたみんなと今更離れ離れにはなれないよ。」
「それに、大事な仲間って言ってくれたのはミリアちゃんの方じゃない。わたしだって同じ気持ちだよ」
そう言うと、みんなが笑顔で受け入れてくれる。
「カオルならそう言ってくれると思ったぜ! 長い旅になるが宜しく頼むな!」
「長旅もカオルさんと一緒なら心強いですわ、これからも宜しくお願いしますわね」
「カオルお姉ちゃんと一緒なら、旅ももっと楽しくなるね!」
「……わかった、薫、宜しく頼む」
「それで、次はどこの街に向かうの?」
そう聞いてみると、ユニちゃんが答えてくれる。
「この国の最大の港町、アクベンスに行くつもりですわ。大体ここから1週間ぐらいかかるかしら」
「長旅になる、食事を調理しておいてマジックボックスに入れておいたり野営の為のテントの準備も必要だろうな」
翼くんが補足説明を入れてくれる。
今まで徒歩での移動や野営をする旅らしい旅は経験したことが無かったから、ちゃんと足を引っ張らずに旅について行けるかなという不安とどんな旅になるんだろうという期待の感情が同時に湧いてくる。
「よし、それじゃあ旅の為の準備に入るか。ユニは追加のマジックボックスやテントの買い出し、アリスとツバサは借りてる家の解約手続きを頼む。あたしとカオルは食材の買い出しに行ってくる」
ミリアちゃんがそう言うと、わたしに話しかけてきた。
「というわけだ。カオル、あたしと一緒に買い物に付き合ってもらえるか?」
もちろんOKだった、昨日は時間も押しててゆっくり食材のお買い物が出来なかったからね。
「大丈夫だよ、わたし料理は得意だから食材のお買い物なら任せて」
「それなら有り難いぜ、あたし1人だとどうしてもメニューの発想が偏るからな」
そうしてミリアちゃんと一緒に1週間分の食材の買い出しに行くことになった。
まずは大通りの食肉店にお肉を買いに行くことにした、みんな若いからお肉は沢山食べるからね。
「いらっしゃい、姉妹で買い物かい?」
店に入ると、店員のおじさんが声を掛けてきた。
「いや、姉妹じゃあ無いけどな。同じパーティーの仲間さ。ところでおじさん、オーク肉とミノタウロス肉のほかにいい肉はあるかい?」
「ああ、それなら今日入ったコカトリスの肉はどうだい? レア物だけどお安くしておくよ」
「お、いいな。それじゃあコカトリス肉とオーク肉とミノタウロス肉を頼む!」
「はいよ、毎度あり!」
結局3つの肉を数キロずつ買ったよ、それだけで今日の討伐報酬の大半が消えちゃったけど。
その後、パンやお米などの主食類や野菜なども買ってきたよ。持ってきたマジックボックス2つが一杯になるぐらいの量を買って、過ごすのは今日で最後になる借家まで帰ってきたミリアちゃんとわたし。
「おかえり、ミリアお姉ちゃん、カオルお姉ちゃん!」
「2人とも、おかえりなさいですわ」
「帰ったか、おかえり」
先に帰っていた3人からおかえりの言葉が飛んでくる。
「ただいまっ、食材買い込んできたよ。みんなで調理しよっか!」
そうわたしが言うと、みんなも料理の準備を始めた。
旅に出てる間に調理する余裕はないから今日の内に作り置きしないとね。腐らずに料理を仕舞っておけるマジックボックスは凄い便利だね。
そうして、5人による料理会が始まったのだった。
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