058 1万の敵兵

「ソニアは後方で休んでいてくれ」


 ソニアは父親のこともあり憔悴しょうすいしきっているので休ませておく。


「リタ、支援魔法を頼む」


「はい! 攻撃力向上! 守備力向上! 素早さ向上! 器用さ向上! 知性向上! リジェネ! バリア!」


 さすが、魔法学園で学んだだけはある。しかもリタのユニークスキルのおかげで効果は1日持続する。


「支援魔法で強化はされたが、さすがにこれだけの数を相手するのは面倒だな」


 敵軍の前進を眺めながら、秘策を出すべきか迷っていると、遠くから声が聞こえてくる。


「アニキーーーー!!」


「うげっ、あの声はまさかのガイガ!?」


 行き先も教えずに来たというのに、ここまでついてきたのか。


「加勢しにきました! アニキの足元にも及びませんが、これでも俺達はS級冒険者なんですぜ!」


 まぁ、手間が省けたことに違いはない。一応お礼は言っておくか。


「助力に感謝する! 遠慮なく敵を倒せ!」


「うおおおおお! アニキの為に戦うぜえええええ!」


 ガイガ達が敵軍に襲いかかると同時に別の方向からも声が聞こえてきた。


「私は魔法都市エンフィールの領主エリアス! ソニア様救出作戦と聞いて馳せ参じましたぞ!」


「我らがルイーズ魔法女学園の生徒を救ってもらった恩はここで返すのです! 魔法部隊前へ!」


 領主エリアスとルイーズ魔法女学園の学園長シビッラが教師達を連れて応援に駆けつけてくれたようだ。


 また別の方向から応援部隊らしきものが現れる。


「リタが戦っとるんじゃ! 皆気張るんじゃぞ!」


「村長!? こんなところまで来ちゃったの!?」


 リタが言う通り、あれはイナカ村の村長だ。イナカ村の村人達を引き連れてやって来たみたいだな。


「はぁ……守らなきゃいけない対象が増えて更に面倒に思えてきた」


 こうなったら俺の秘策をここで出すしかないだろうな。そんなことを思っていると


「雑魚がわらわらと出てきやがって! 俺様の軍で蹴散らしてやる! まずはあそこに居る連中を殺せ!」


 グオーガが精鋭部隊でイナカ村の人達を狙って指示を出した。


「させるかよ。デスナイトボックス」


 俺の秘策、デスナイトボックスだ。中からミニデスナイトジェネラルが出てくる。


 ミニデスナイトジェネラルに続いて大量のミニデスナイトも出てくる。ミニデスナイト軍団が一瞬にして完成した。


「リタの召喚魔法でコツコツと貯めておいて正解だったな。行け! ミニデスナイトジェネラル!」


 ズラリと並んだミニデスナイトジェネラルに指示を出す。


「グオーガ魔帝国の兵士と人間の兵士を倒せ!」


 ミニデスナイトジェネラルが剣を掲げると一糸乱れぬ動きでミニデスナイト軍団は前進を始める。


「あとはダメ押しで……グラビティ!」


 敵軍の大部分がグラビティによって行動不能になったようだ。これで敵軍への対応は問題ないだろう。

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