055 救出作戦
「おっ、この音は……」
遠くでラッパと太鼓の音が聞こえる。開戦の合図だろう。
「リタ、ラビリス、開戦の合図だ。準備して出発するぞ!」
「「はい!」」
急いで要塞の壁を飛び越え、塔に急ぐ。ほとんどの兵士は戦に駆り出されているのか、要塞内にはほとんど兵士が居ない。
「ソニアは塔に居るはずだ。兵士はほとんど居ないが、もし見つけたら即無力化していくぞ」
「分かりました!」
塔に着くまでの間に3人の兵士を見つけ気絶させた。
「着いたな」
目の前には城と同じくらいの高さの塔がそびえ立っている。そして、兵士達が噂していたゴーレムが塔の門の前に仁王立ちしている。全長4メートルはありそうだ。
「!!」
俺が塔に近づいていくと巨大ゴーレムの胸の魔石が赤く輝き出し、顔らしきものがこちらを向いた。
「腕輪を持ってない者に襲いかかるんだったな」
噂の通り、巨大ゴーレムがこちらに向かって襲いかかってきた。
「ラングさん!? どうするんですか!?」
「ここで時間をかけられないな。俺がやる」
巨大ゴーレムのパンチを受け止めると衝撃波で周囲の地面が陥没する。しかし、俺のステータスならばこの程度の攻撃は全く問題ない。
「悪いが破壊させてもらうぞ」
巨大ゴーレムの腕をもぎ取る。すると、巨大ゴーレムは残った腕で更に攻撃を加えようとしてくる。
学習しないやつだ。同様にパンチを受け止めて腕をもぎ取る。
「パイソン、アイテムボックス」
神刀ジュピターを取り出すと、巨大ゴーレムをみじん切りにした。
「人間の秘密兵器といってもこの程度か」
俺は少しがっかりした気分で塔に入る。リタとラビリスも後に続く。
「誰だ!? グァッ!!」
中に居た見張りの兵士を気絶させて、塔を登る。数人の給仕も見つけたのでリタとラビリスにロープで縛らせた。
頂上の部屋の扉を開けると、ソニアが待っていた。以前よりも痩せてしまって、顔色も悪い。
「え!? ラングくん?」
「ああ、助けに来た」
「本当に? ……それともこれは夢……?」
「現実だ。さぁ、こんな場所から早く脱出しよう」
俺は万能薬と上級ポーションをソニアに使用する。気休め程度だが、これで少しは歩けるだろう。
「俺が先導する。すまないが、リタとラビリスはソニアを支えてやってくれ」
「分かりました。ソニアさん大丈夫ですか? 肩につかまってください」
「はい。リタさんラビリスさんお願いします」
「なるべくソニアさんの負担を減らせるように頑張りますの」
準備が出来たようなので出発する。
塔を出るまで全く敵兵と出会う事はなかった。行きに敵兵を無力化しながら進んだことが功を奏したようだ。
「よし、戦で混乱している間に要塞を脱出するぞ」
「待ってください!」
ソニアから待ったをかけられるとは思って居なかったので驚いた。
「戦と言いましたが、もしかして兵を率いているのはお父様なのではないですか?」
「そうだ」
「グオーガは危険です! お父様を助けなければ! ……うっ」
ソニアは慌てて走ろうとしたが転んでしまった。
「ソニアは無理をするな。……そうだな、どうせ脱出するなら敵兵を挟み撃ちしてやろう」
要塞から弱ったソニアを連れてどうやって脱出するのかを考えていたので丁度いい。
「よし、要塞の出口に向かうぞ!」
「「はい!」」
俺達は要塞の出口に向かって進むことに決めた。
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