052 リタ&ラビリスの修行

 馬車で目的地であるグオーガ魔帝国との中間まで進んだ。


「ありがとう。ここで引き返してくれ」


「分かりました。作戦の成功を祈ります!」


 御者を務めた城の兵士は敬礼すると来た道を戻って行った。


「ここからは目立たないように森の中を進むぞ。ちなみにここの森は還らずの森と呼ばれている。迷子にならないように注意しろ」


「ひぇ〜っ」


 リタが分かったのか分かっていないのか変な返事をしたが、俺は森に入って行った。



 ――しばらく森を進むと、見たことも聞いたこともないダンジョンの入り口を見つけた。


 木々に隠れるように地下へ続く階段がある。


「俺が先頭を進むからリタとラビリスは少し後ろをついてきてくれ」


「分かりました」


 少し進むとグレーターゴブリンの群れが襲ってきた。グレーターゴブリンはLV1000だ。ゴブリンの超上位版といったところか。リタとラビリスのレベル上げに丁度いいな。


「俺が1匹ずつそっちに回すから、2人で連携してグレーターゴブリンを倒せるか?」


「や、やってみます!」


「魔法学校での演習よりもスリリングですわ!」


 俺が群れを引きつけておき、1匹だけリタ達のほうに蹴り飛ばす。


 リタが支援魔法を発動し、ラビリスが魔法で攻撃することでグレーターゴブリンを倒していく。


「いい感じに倒せるじゃないか。まだ時間はある。このダンジョンでレベル上げをしよう」



 ――1時間後。


「はぁ、はぁ……もうダメ……」


「もう魔力が尽きてしまいましたの……」


 グレーターゴブリン、グレーターホブゴブリン、グレーターゴブリンキングなど連戦を続けた結果、彼女たちはレベルがかなり上がったが、魔力と体力が尽きてしまったようだ。


「仕方がない。ここからはコイツの出番だな」


 俺は神刀ジュピターを2本取り出す。


「?」


「それをどうするのですか?」


「この武器を持ってくれ。そして絶対に手放すなよ。パイソン、ジュピター自動制御開始」


 魔寄せの香も使用してグレーターゴブリンたちを呼び寄せる。


「こ、この剣勝手に動くんですけどーー!!」


 リタとラビリスの自動レベルアップが始まった。


 自動制御ジュピターであれば、高LVのモンスターでも問題ないだろうと判断したので、もっと下の階層に進んでいく。


 グレーターオーク、グレーターハイオーク、グレーターオークキング、グレータートロール、グレーターオーガ、グレーターミノタウロスなど様々な上位モンスターのオンパレードによってリタとラビリスのレベルがもりもり上がっていく。


「……」


 リタとラビリスはもはやされるがままの状態だ。


「よし、今日はこれくらいでいいだろう。今日から1週間はここでレベル上げをするからそのつもりでいてくれ」


「「……」」


 がっくりと項垂れる2人だった。本当はじっくりとレベルを上げたいところだが、今は時間がない。我慢してもらおう。


「あ、あとラビリスには1つ頼みがあるんだが……」


 ラビリスには秘策の為にとある事をお願いした。




 ――1週間後。


「今日でこのダンジョンともお別れか」


「やっと終わりですか!? 最初はどうなることかと思いましたが、最後のほうは少し慣れました」


「私の魔法、見違えるように強化されましたの!」


 2人のレベルは最初LV700程度だったが、今ではLV5000を超えている。これならば大抵の敵が来ても大丈夫だろう。


「外の空気が美味しいです!」


「すーっ、はー、すーっ、はー」


「よし、当初の計画通りにグオーガ魔帝国に潜入する」


 俺達は森の中を気配を消しながら急いだ。

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