050 グオーガ討伐作戦<ソニア視点>
「そこ! 剣の構えがなってないですよ!」
「は、はい! すみません! ソニア将軍!」
私はお父様からの緊急招集で魔都に戻って魔王直属軍を鍛えている。どうやら近々戦いがあるらしい。
今となってはラング君との旅はまるで夢のような時間だった。あの時の事を思い出していると突然兵士が駆けつけてきた。
「魔王様がお呼びです!」
「お父様が? 分かりました。すぐに向かいます、と伝えてください」
「はっ!!」
私が急いで謁見の間に行くとカラベも待機していた。新たな任務を言い渡されるのでしょうか。
「ソニア、カラベ。お前達を呼んだのはとある作戦を遂行してもらう為だ」
「どんな作戦ですか?」
「グオーガが盗賊団を率いて村々を襲っている。しかも、奴はグオーガ魔帝国建国などと宣言しているのだ」
「なんと不敬な!」
カラべから明らかな怒りを感じます。元四天王だったグオーガに思うところがあるのでしょう。
「隠密部隊に調べさせたところ、グオーガのレベルは3000程度だ。その程度の相手など容易く倒せるだろう。念の為、四天王カラベも連れて行くがよい。奴らを
「御意!」
魔王直属軍は魔王の護衛及び魔都防衛の要である為、動かすことは出来ないようです。
私とカラベは討伐隊を編成して作戦を遂行することにしました。兵士の練度は下がりますが仕方がありません。
さっさとこんな作戦は終わらせてラングくんのもとへ行きたいのです。
――万全の準備を整え、グオーガ魔帝国の拠点まで来ましたが、色々な意味で酷い場所でした。
強固な要塞が作られ、門には魔王軍兵士の死体が吊るされています。
グオーガの要塞を取り囲むように兵を配置してから降伏勧告を行います。
「グオーガ! もう逃げられません! 大人しく出てきなさい!」
しばらくすると、グオーガとフードを被った男が出てきました。
「俺様は逃げも隠れもしねぇ! そちらの大将との一騎打ちを申し込む!」
敵わないと知りながら挑んでくるとは、グオーガも最後は武人として戦いの中で散りたいのでしょうか。
「……いいでしょう」
「お待ち下さいソニア様! まずは某がお相手しよう。堕落したかつての同志に引導を渡すのは某が適任でしょう」
「分かりました。お任せします」
カラベが進み出ると、グオーガも進み出ました。
「カラベぇ〜、以前から気に入らないヤツだったがやっとぶちのめす機会が来たようだなぁ!」
「ふん、せめてもの情けに一瞬で終わらせてやろう」
カラベが一気に接近し、巨大なハンマーを振り上げ、振り下ろす。
「残念〜、遅すぎて当たらねぇな」
カラベは何度も攻撃しますが、全く当たりません。信じられないことですが、ステータスに差がありすぎるようです。
「てめぇと遊ぶのも飽きた。さっさと終わらせるぜ」
グオーガの剣が一瞬ブレたかのように見えた後、カラべの腕が切り落とされました。
「よえー! 弱すぎて笑っちまうぜ!」
「馬鹿な…ここまで差があるわけがない……」
私でも剣筋が見えない時点でかなりまずい状況です。
グオーガがこんなに強いなんて……これは私でも負けるかもしれない。
「あなた達は逃げなさい。そしてお父様に伝えるのです。カラベは戦死し、恐らく私も勝てない相手だと」
私が伝令兵に伝えたと同時にグオーガがカラべにトドメを刺したようです。
「ラングくん……もう会えないかもしれません」
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