033 ダークドワーフ坑道
俺は今ほとんど迷宮と化したダークドワーフ坑道に来ている。無秩序に掘り進められた坑道はダークドワーフの中でも熟練の採掘師でなければ道に迷い、そのまま行方不明となるらしい。
「む、また地図にない分かれ道だ。冒険者ギルドで買った地図はほとんど役に立たないな」
俺は役に立たない地図を破り捨てた。俺の行動をダークドワーフに見られていたら、自殺願望でもあるのかと思われるだろう。だが、俺には秘策があった。
「パイソン、マッピング」
俺は事前にマッピング用のパイソンの呪文を書き込んであったのだ。ちなみにパイソンの書にはこう書かれている。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
class Map:
map_size = {"min_x": -1, "max_x": 1, "min_y": -1, "max_y": 1}
x = 0
y = 0
trace = [(x, y, '入口')]
def show(self):
for field_y in range(self.map_size["max_y"], self.map_size["min_y"], -1):
map_string = ''
for field_x in range(self.map_size["min_x"], self.map_size["max_x"] + 1):
is_found = False
for position in self.trace:
if field_x == position[0] and field_y == position[1]:
map_string += position[2]
is_found = True
break
if not is_found:
map_string += ' '
print(map_string)
def add_position(self, move):
if move == '前' or move == 'w':
self.y += 1
self.trace.append((self.x, self.y, '↑'))
if move == '後' or move == 's':
self.y -= 1
self.trace.append((self.x, self.y, '↓'))
if move == '右' or move == 'd':
self.x += 1
self.trace.append((self.x, self.y, '→'))
if move == '左' or move == 'a':
self.x -= 1
self.trace.append((self.x, self.y, '←'))
if self.map_size["min_x"] > self.x:
self.map_size["min_x"] = self.x
if self.map_size["max_x"] < self.x:
self.map_size["max_x"] = self.x
if self.map_size["min_y"] > self.y:
self.map_size["min_y"] = self.y
if self.map_size["max_y"] < self.y:
self.map_size["max_y"] = self.y
my_map = Map()
while True:
move = input()
my_map.add_position(move)
my_map.show()
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
凄く長い呪文になってしまったが、徹夜で頑張った甲斐があって順調にマップが出来上がっている。
「普通は高い報酬を払って道案内を雇わなきゃいけないが、パイソンがあればそれも不要だな……便利すぎる」
俺がマッピングしながら行ったことのない道を進んでいくと、前方から大型のコウモリが飛んでくる。
「あれは、ジャイアントバットか。アイスショット!」
魔法創造で作ったオリジナル魔法だ。氷の粒を大量に飛ばす魔法で、点ではなく面で攻撃するため素早い敵には有効だ。
「ギキィーーーー……」
ジャイアントバットは墜落し絶命したようだ。そのまま進もうと考えていると、前方から大量の鳴き声が聞こえてくる。
「おいおい、ジャイアントバットの群れかよ」
次々と現れるジャイアントバットをアイスショットで倒していく。
『レベルアップ! レベルが3001になりました』
「お、これだけ大量に倒せばレベルも上がるな」
ジャイアントバットを倒しながら、より深い場所を目指して進んでいくと急に地面が揺れ始めた。
「この揺れはなんだ……!?」
地面に穴が出現し、そこから巨大なイモムシが飛び出してきた。
「こいつはジャイアントワーム!」
ジャイアントワームがまるで電車のように列を作り移動している。このモンスターのせいで坑道が拡張されているのかもしれないな。
「これ以上、道を増やされると面倒だ。倒したほうがいいだろう。ミニデスナイト、行け!」
俺がミニデスナイトに指示を出すと、ミニデスナイトはジャイアントワームに斬りかかる。ジャイアントワームの表皮は比較的柔らかいのでミニデスナイトの剣でも楽々と貫くことが出来る。
ジャイアントワームを全て駆除すると、ジャイアントワームが作った穴から黒い影が飛び出してきた。そして鋭い爪でこちらを攻撃してきたが、俺は魔剣テンペストブリンガーで受け止める。
「ん? よく見たら、こいつは鉄爪モグラか」
地下には様々なモンスターが生息しているようだ。だが、今の俺にとっては脅威ではない。魔剣で鉄爪を斬り裂き、次の一閃で首を斬り落とす。
鉄爪モグラも大量に穴から這い出てきた為、その全てを倒すことになった。
『レベルアップ! レベルが3002になりました』
「この場所にはモンスターが豊富に居るなぁ。経験値が貯まるのが早くて助かるよ」
出会うモンスターを全て倒し、パイソンのマッピングで難なく侵入禁止エリアまでたどり着いた。そこには大きな頑丈そうな扉が設置されていた。そして、警告文が刻み込まれている。
「ここより先に進むべからず。進むのならば死を覚悟しろ、か」
死の覚悟など強くなると決めた時から既にしている。俺は扉を開こうと扉に触れた時、地面に切れた鎖が落ちていることに気づいた。
「扉を封印していた鎖が切られている……。しかも、比較的新しい切り口だな」
鎖は錆びているが、切り口は錆びていなかった。最近切られたという証拠だ。
「最近ここに入った奴が居るということか?」
俺は慎重に扉を開けて中に入っていった。
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