028 魔導書の中身

「これは凄い魔法ですの!  これはデスナイト召喚の魔導書です!」


キングリッチがドロップした魔導書を見てラビリスが興奮気味に教えてくれた。デスナイト召喚か。たしかに凄い魔法だったが、キングリッチと比べるとやはり見劣りしてしまうし、俺ならデスナイト程度であれば無傷で倒すことが出来るだろう。


「その魔法を覚えることは可能か?」


「いいえ、私には覚えられませんの。私は攻撃魔法の適正なら高いのですが、召喚魔法は苦手な部類で……」


「私が読んでみてもいいですか!?」


リタが挑戦したいようなので許可を出すことにする。


「いいぞ」


魔導書はどういう原理か分からないが、記録されている魔法を習得すると魔導書は消失してしまう。つまり、覚えられるのは1人だけということだ。


まぁ、パイソンのアイテムボックスに記録すれば全く問題はないんだけどな。


「……なんとか覚えられそうです!」


ちなみに俺が魔導書の魔法陣に触れた時は無反応だった。魔法を習得する資格のある者にしか反応しない仕組みなのだろう。


「おお、リタは攻撃魔法が出来ない分、デスナイトが召喚出来るようになれば大幅に戦力アップするはずだ」


「デスナイト召喚!」


地面に魔法陣が展開され、デスナイトが生まれ出た。しかし、心なしか小さい。いや、明らかに小さい。


「このデスナイト、小さいな」


思わず声に出してしまった。


「か」


「か?」


「かわいいですの〜〜〜!」


「だよね! だよね!」


少女たちは小さなデスナイトが気に入ったようだ。戦力的には不安だが、本人達が喜んでいるのなら良いか。ちなみにデスナイト召喚の魔法は魔法ボックスに入れることは出来なかった。まぁ、そんな気がしていたからショックではない。断じてショックではない。


デスナイト自体もアイテムボックスに入れる事が出来なかった。俺ががっくりと肩を落としていると、リタが近寄ってきてデスナイトを差し出してきた。


「このミニデスナイトはラングさんにあげます! 大事にしてくださいね」


その日から俺の後ろをミニデスナイトがついてくるようになった。

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