017 魔法都市エンフィール

 俺とリタは魔法都市エンフィールへとやってきた。


「わ〜、魔法都市というだけあって歩いてる人達のファッションが凄いですね」


「そうだな。だが、あまりじろじろ見ないほうがいい。田舎者だと思われるぞ」


「田舎者だからいいんです!」


 頬を膨らませながら怒っているが、指摘されて恥ずかしかったのか顔が少し赤い。


「まずは冒険者ギルドへ行くぞ」


 冒険者ギルドで情報収集をする為だ。冒険者ギルドはすぐに見つかった。この魔法都市の近くには魔導ダンジョンがあり、ダンジョン目当ての冒険者が多い為、冒険者ギルドも大きい。俺達は冒険者ギルドに入り、受付嬢に聞いてみる。


「魔法を覚えるにはどうすればいい?」


「この冒険者ギルドには特別に魔法の適正を見る魔道具が完備されています。こんなサービスを受けられるのはこの魔法都市の冒険者ギルドだけなんですよ!」


「じゃあ、魔法適正をみてくれ」


「冒険者証とお名前をお聞きしてもよろしいですか?」


 冒険者証を渡し、ラングだと名乗る。やたらとこのギルドは特別だと言い張る受付嬢に案内され、魔法の適正をみてもらうことにした。怪しい液体を飲んで水晶玉を持って魔法陣の中央に立たされた。何故かリタも同じように水晶玉を持って隣に立っている。


「じゃあ、始めますよー」


 冒険者ギルド職員が開始の合図をすると部屋の明かりが消え、魔法陣が光る。それと同時にリタの水晶玉が虹色に淡く光る。俺の水晶玉は全く光らない。


「はい、オッケーです。ラング様には全く全然ひと欠片も魔法適正がないですね。ダークエルフのお嬢さんは魔法の才能が凄いですよ! 中級程度の全ての属性魔法が使えるようですよ!」


「やったー!」


 リタは大喜びだ。俺は魔法の適正0で割とショックだ。


「良かったな。ここには魔法学園もあると聞いたことがあるが……」


「はい、この魔法都市には優秀な魔法使いを育てる為の学園がありますよ! その名もルイーズ魔法女学園です! 試験がありますが、お嬢さんほどの才能があれば間違いなく合格するでしょう」


「行きたいか?」


「……イナカ村には学校がありませんでした。もし許してもらえるなら学園に行ってみたいです」


 リタは俺についてきたせいで周りに友達もいない状態だ。両親からも離れてしまって、きっと寂しいだろう。学園に行けば良い友達が出来るかもしれない。


「よし、いいぞ。学費や生活費は俺がなんとかしよう」


「ありがとう! ラングさん大好き!」


「熱々ですね〜。ところで、ラング様には耳寄りな情報がございます。もう既に知っているかもしれませんが、近くに魔導ダンジョンあります。冒険者の方々はそこでドロップする魔導書を売って大儲けしています。どうですか? 行きたくなりました?」


「なんでそんなに魔導ダンジョンに行かせたがるんだ?」


「あ、バレましたか? 魔導書は王族貴族相手に高値で売れるので、冒険者ギルドに入る仲介料手数料もウハウハなんですよ。でも、冒険者が大儲け出来るのも本当のことですよ」


「そういうことか。じゃあ、宿が決まって落ち着いたら魔導ダンジョンに行ってみるよ」


「これ、魔導ダンジョンの攻略情報が書かれた冊子です。無料ですのでどうぞ!」


 受付嬢にお礼を言って冊子を受け取り冒険者ギルドを後にした。次は宿屋だ。宿屋の娘であるリタに良さそうな宿屋を選んでもらい、金塊払いで1ヶ月連泊することにした。


 俺は部屋でまだ魔法を習得する手段があるのではないかと色々と考えてみることにした。まず1つ目の方法としては優秀な魔法使いに弟子入りしてなんとか魔法を教えてもらうという方法を思いついた。しかし、優秀な魔法使いのアテもなく魔法適正もないのでこの方法は断念する。


 2つ目の方法は、魔導書で習得する方法だ。魔導書を読むことで魔法を習得できるらしい。一度は読んでみる価値がありそうだ。俺は翌日の予定を考えながら筋力トレーニングを行って眠りについた。

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