010 歓迎の宴
俺はイナカダンジョンを攻略し、イナカ村に帰ってきた。宿に戻るとリタが抱きついてきた。
「おかえりなさい! ラングさんが帰ってきてくれて安心しました」
「そうか、帰るのが遅くなって悪かったな。今日は疲れたから村長への報告は明日にするよ」
「分かりました。おやすみなさい」
俺は部屋に戻ると、パイソンの書を開く。パイソンLV3で出来ることを確認する為だ。確かに疲れてはいたのだが、眠気よりもスキルへの興味が勝った。
パイソンLV3の説明を見てみた。『新たにif文を使用できる』と書かれている。そして、前回と同じく例文が
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
five_senses = input()
if five_senses == '蚊を見つけた':
print('蚊を指でつまむ')
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
何も意識しなくても目の前を飛んでいた蚊を指でつまんだ。
「今の動きは人の反射神経を超えているな。それに正確な動きだ。この動きを全く意識せずに出来るとしたらすごいことになりそうだ……!」
例えば、敵がどんなに素早い攻撃をしてきたとしても、全ての攻撃をカウンターで返すことが出来るかもしれない。
「また明日、色々と試してみよう」
今日は疲れたのでパイソンのfor文を使ってスクワットを1000回したら寝ることにした。
翌日、宿で朝食を取っているとやはり村長がやって来た。もしかして村長は毎朝この宿屋に来てるんじゃないか?
「村長、おはよう」
「ラングさん、おはようございます。イナカダンジョンの件はどうなりましたかのう?」
「ゴブリンが入り口に詰まるほど湧いていたが全て片付けた。最下層までな」
「おお! ありがとうございます! あなたは村の救世主じゃ。今夜、歓迎会をしますので夕方になったら村の中央広場に来てくだされ」
「ああ、分かった」
「そうじゃ、そういえば昨日この村の近くまで勇者パーティが近づいてきているとの噂を聞きました。ラングさんも気をつけてくだされ。魔都から派遣された四天王とかいう
そう言って、村長は自宅へ戻っていった。
四天王だと!? あいつらには魔剣ダンジョンでの恨みがある。だが、今は戦っても間違いなく負けるだろう。今はレベルアップと基礎能力アップ、スキルの強化に集中すべきだ。
「夕方まで筋力トレーニングしよ……」
――夕方になると、村の住人が中央広場へ集まっていく気配がする。
「そろそろ行くか」
宿を出て中央広場へ行くと、多くの住人が集まっていた。村長に手招きされたので近寄る。
「皆のもの! よく聞くのじゃ! このラングさんが村の危機を救ってくださった! 今宵は祭りじゃ、楽しんでくれい!」
村人達から拍手と歓声が上がった。
「ラング様、改めてありがとうございました。全ての料理、酒は無料ですじゃ。ごゆっくりと楽しんでください」
そう言って村長は離れていった。
「アイテムボックスの料理の種類がちょうど欲しかったんだよな」
旅の途中やダンジョンでは3種類の料理を食べ続けていたので若干飽きていたのだ。
「お、焼き立てのライ麦パンだ。1つ貰っておこう」
アイテムボックスに大事にしまった。
「おお、ハムにソーセージ、ベーコンもあるぞ! 野菜大盛りシチューも貰おう」
食べながらアイテムボックスに料理を入れていると村人が近づいてきた。
「ラングさんだっけ? 村を救ってくれてありがとな! 畑仕事の時にいつモンスターが出るかと不安だったんだよ」
「私も困ってたんだよ。ありがとうね!」
口々にお礼を言われて、少し気恥ずかしくなってしまったが、誰かの為に役に立ったと思うと悪くないように思える。
「ラングさん! 探しましたよ〜。はい、これ」
ダークエルフのリタだ。木のコップを渡され、
「村の自慢のワインなんですよ」
「それはいいな。あとで1瓶買うよ」
「宿でも買えますから、安心してください」
良い笑顔で営業をしてくるので、酒屋ではなく宿で買うことにしよう。美味しい料理、美味しい酒、良い住民、この村は良い村だなと思いながら夜は
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