第218話 命名会議、本番1

218話 命名会議、本番1



『さてさてさ〜て。みんな、いい案は持ってきてくれたかにゃ?』


『おうよ!』


「な、なんとか間に合いました……」


 俺にアヤカ、夕凪さん、アカネさん、ミーさんの五人で作られたグループLIME。今日はそこで、約束のグループ命名会議の本決議が行われる。


 本当はリアルで集まる予定だったのだが、夕凪さんの都合が合わなかった。まあこれだけ多忙なVtuber達が集まっているのだ。リモートでも時間を作って会議をできているだけ上々だろう。


 ちなみにリモートなため、俺とサキは同じ場所からのお届けである。リビングの机にスマホを置き、ソファーに腰掛けながら参加している。


『じゃあまずは自信満々そうななっちゃんから!』


『なっちゃん言うな! ったく……』


 お、一番手は夕凪さんか。


 一体どんなナイスネーミングをーーーー


『闇ア◯ギーズ!』


『却下』


『どぉしてだよぉぉぉお!!!』


 いや全くナイスじゃなかったわ。鼻尖って闇クラブで麻雀打ちそうな名前じゃねえか。


『アヤカの「ヤ」、ミーちゃんの「ミ」、アカネの「アカ」に夕凪の「ギ」、そして和人君の「ズ」! 全員の名前も含んでて完璧だるぉ!?』


『問題しかないですよ……。そんな名前で活動なんてしていけるわけないじゃないですか』


『あと私が先頭じゃないし! てか闇って名前に入れるの頭おかしくない!? なっちゃん怖いよ!』


「ですねぇ。私も闇の一部にされるのはちょっと荷が重いといいますか」


「あ、でも俺の名前入れてくれたのはすげー嬉しかったです。それ以外はダメダメですけど」


『総否定!! お前らぁぁ!!!』


 いやぁ、だってこれは流石にな。


「ーズ」っていう凄い美味い落とし込み方でわざわざ俺の名前を違和感なく入れてくれたのは本当に心の底から嬉しかったのだが、いくらなんでもア◯ギはダメだろうア◯ギは。


 そもそもアニメのキャラクターの名前を入れるだけでも問題があるというのに。よりにもよってチョイスがそれとは。そういえば夕凪さん、前に配信でカ◯ジハマったって言ってたっけ。作者が同じだからそのままそっちにも行ってしまったのか。


『結構粋なのをつけれたと思ったんだけどなぁ。アヤカを先頭にもできたし』


『おいちょっと待てぃ。まさかそれが狙いだったんか? おおん?』


『へっ。私の中のトップはアヤカなんだよ。おめーみてえなぺーぺーに先頭譲ってたまるか』


『あんだとぉ!? 表出ろやこの野郎! 目にもの見せてやる!!』


『あ、ちょっ! 物に当たらないでくださいアカネさん! そのマウスいくらしたと思ってるんですか!? 壊したら大損害ですよ!?』


 は、はは。どうやらアカネさんとミーさんも同じ部屋かららしいな。


 あの二人、食事会の時はあんなに仲良さそうだったのに。頼むから喧嘩しないでくれよ? いやまあ、アカネさんにはミーさん、夕凪さんにはアヤカっていう強すぎるストッパーがいるからどうとでもなる気はするけどさ。


『けっ。次行こう次! はい、和人君!』


「え、俺ですか!? 心の準備が……」


『あるならとっとと出しちゃいなさい! ほら!』


「あ、はい……」


 まさかこんなに早く順番が回ってくるとは思っていなかったが。




 仕方ない。俺のネーミングセンス、見せつけちゃいますか。

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