第182話 アヤ凪オフコラボ6

182話 アヤ凪オフコラボ6



:ひょぉぉ!! メイドアヤカだ! ドスケベメイドだぁぁぁ!!!


:アヤカの手クッソ綺麗w 真っ白だし産毛の一つも無えww


:お、メイドvsメイドだ


:ドスケベメイドとデフォルメメイドだろ? 当然俺はドスケベに投票するぞ( ・∇・)


:これ、凪ママが勝ったとしてもアヤカのドスケベで票を集めてたら実質アヤカの勝ちでもあるのではwww


:アヤカのデフォルメ絵、デフォルメとは言え割と本気じゃね?


:凪ママの色塗りヤッバ! おっぺぇの作り込みがガチすぎる!!


:ドスケベに幸あれ ¥10000


 白熱のデッドヒートの中、経過時間は十五分。アヤカの方は一度身体のバランスを考え線画の半分ほどを消すというトラブルに見舞われつつも、なんとか持ち直して。二人とも今は色塗りの段階へと突入している。


 そしてそのフェーズへと入ると、二人の実力差はより顕著に現れ始めていた。


 色鉛筆を巧みに駆使し明暗の影を最低限という程度で付けるアヤカに対し、夕凪の描く絵には光源による反射と肌の質感がよく描かれている。特にメイド服の隙間から露出された谷間と白く絹のような肌のはみ出したわわへの気合いの入り方は異常。


 やはり彼女の美少女好きが光る部分でもあるそこには、ただ力を込めて描くだけではなく、滴る一滴の汗を追加している。それによりメイド服のテーマが「クソ暑い夏にメイド服を着せられたアヤカ」へと変わっていき、じわりとどこか男子の欲情をくすぐるような形での全体像が定まった。


 それによりドスケベ度が増すと、一瞬優勢に思われたアヤカの支持者が徐々に減っていく。男子リスナー比率八割越えのこのチャンネルにおいて、「エロ」という最強の武器の力は絶大であった。


『ちょ、ちょっとママ!? なんかそのイラストの中のアヤカエッチじゃない!?』


『え? お前がエッチじゃなかった瞬間なんてあったっけ』


『ひどぉ!?』


:よし決めた、俺はママに投票するぞ


:頑張れドスケベ娘


:お、俺はアヤカを応援してるんだよ? でも、だからこそ……ドスケベなアヤカを描いた凪ママに入れたいんだ( ^ω^ )


:頑張ったで賞でアヤカに一票 ¥200


:ドスケベな自分のイラストを描かれたうえに負けるアヤカ……クッ、想像しただけで!!


:アヤ虐アヤ虐ぅ♪


:凪ママには色々な意味でお世話になってるからな。うん、今日もお世話になりそうだしお礼の投票を


:お世話になる……? 妙だな


:イミワカンナイ!


『っし、私の方はこんなもんだな。オイアヤカ、そっちはどうだ?』


『むぅ。こっちはあとちょっと!』


 しかし負けじと、アヤカも丁寧で繊細な色使いと共にメイド服夕凪を彩色していく。


 美術部時代、絵の具などを使った筆の絵ではなく色鉛筆と鉛筆のみを使ったスタイルでの作画活動を続けていた彼女にとってはこれこそが最も力を引き出せる武器であり、環境。デジタルという文明の利器に加えイラストレーターという職業で飯を食べてきた夕凪が隣にいたとしても、別ベクトルから攻めたデフォルメ絵にはやはり一定層のファンがつく。


 そして残り時間五分を切ったところでようやくアヤカも絵が完成し、二つの絵が左右に並ぶ。


 男の欲望をこれほどなく叶えたエロの権化であるメイドアヤカと、逆にエロとは一切無関係を貫き可愛いだけを押し通したデフォルメ姿のメイド夕凪。




 二つの完成形を前に、五分間の投票タイムが設けられた。

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