第180話 アヤ凪オフコラボ4
180話 アヤ凪オフコラボ4
そうして勝負の土俵に上がったアヤカと夕凪は、早速お絵描きの準備を始める。
まず夕凪が使うのは、いつもイラストを描く際使っている液晶タブレット、通称液タブ。スマートフォンを大きくしたタブレットのような見た目のそれにタッチペンで描き込んでいくスタイルだ。
ちなみにこの液タブ、物によって値段の振り幅がかなり大きい代物なのだが、夕凪は当然プロのイラストレーター。一般人が趣味で使うような物ではなく、一級品のそれの値段は優に十万円を超えている。本体代に加えて様々な太さのタッチペン、固定するスタンド等々。すべての設備を加味すると更にか。
『アヤカお前、液タブ使ったことあるか? どうせなら一枚の画像の左右に同時描き込みを、なんて思ったんだが』
『さ、流石に使ったことない。紙と色鉛筆じゃダメ?』
『ふっ、勿論いいぞぉ。かく言う私も昔はアナログ派だったしな。ちょっと待ってろ、昔使ってた色鉛筆とスケッチブック持ってきてやる』
:い、色鉛筆かぁ……
:凪ママ、液タブ使用はガチ過ぎるww
:なんか色塗り用のマーカー? みたいなのよく売ってるの見るし、アナログが勝てないってことはないんだろうけど……色鉛筆のみで大丈夫か?
:wkwk( ・∇・)
:凪ママの足音可愛い ¥300
てちてちてちっ、と小さな足音を立てて走っていった夕凪は、別の部屋で荷物が崩れ落ちていくような音を出してから。左手にはスケッチブック、右手には筆箱のような物も持って再びアヤカの元に戻る。
それは埃をかぶっていたが、受け取ったアヤカが何ページか捲ると中には昔夕凪が描いたのであろうイラストが。
まだ荒削りながらも現在のスタイルが垣間見える、「とにかく可愛い」女の子たち。それが五ページほど続いた次の白紙のページを開いて、アヤカは準備を整えた。
『っと、せっかくだから手元映したいよな。アヤカ、悪いけど隣の部屋から机取ってきてくれるか? まだアナログで描いてた頃に何度か配信で使ったやつがあるんだ。スマホスタンドが付いてるから分かりやすいと思う』
『は〜い。行ってくるね』
そうしてしばらく。夕凪はいつも通りゲーミングチェアに腰掛け液タブを構えるスタイル。アヤカはというも床の上に机を置いて、その上に固定されたスマホスタンドにパソコンと繋げたスマホを繋げ、そのカメラで手元を映すスタイルと。それぞれお絵描きの準備が整い、配信画面は夕凪の液タブとアヤカのスケッチブックが二画面で半分ずつ映っていた。
アヤカの太ももの上という特等席を失ったことを嘆きつつも、夕凪とてこの勝負に負けるわけにはいかない。やるからには本気だ。少しずつ、イラストレーターとしてのスイッチが入っていく。
はたまたアヤカも、色鉛筆とスケッチブックのみという装備ながらに気合は充分。純粋な勝負で勝てるとは思っていないが、頭の中に浮かべた″秘策″と共に。線描きのための黒鉛筆を持ち、夕凪にOKサインを出した。
:これ、勝負になるのか……?
:凪ママやれー!! アヤカを分らせろー!!!
:一周回ってアヤカ勝て! 応援してるぞ!! ¥500
:アヤ虐になるのか。はたまた奇跡の大逆転が待っているのか……これは必見ですぞ( ・∇・)
『じゃあ制限時間は三十分。よーい、はじめっ!!』
あとがき
いつも拙作をご愛読いただき本当にありがとうございます。少しだけ宣伝をさせてください。
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「朗報:ツンデレ幼なじみ、しばらく会わない間にツンが消えて俺にデレデレになっていた」
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