閑話 誕生日を終えて
閑話 誕生日を終えて
時は遡り、和人と私が旅行を終えた次の日の夜。
『おそーい!! 報告が遅すぎるぞー!!!』
『ごめんごめん。その、色々あって』
私は優子に連絡を取っていた。本当は和人の誕生日が終わったらすぐ、と思っていたんだけど、意地悪されたのもあってちょっと焦らしてやろうと。
まあ……その結果、積もる話を増やすこととなってしまったけど。
『んで、結局誕生日には何渡したんだよー!!』
『それがね。私、結局何あげればいいのか分かんなくって。誕生日に一緒にデートして、二人で選んだんだぁ〜』
『エモッ!? ぐぬぬ、サキのくせに生意気……。まあいい、それで何買ったんだ!』
『えへへ、ペアの腕時計にしたぁ。私がピンク色で和人が青色。お揃いなんだよ〜!』
『お揃い……お揃いッッ!! コイツ、ちゃんと楽しんでやがる!!』
文字を打ち込みながら、机の上に置いている腕時計を眺める。
眺めていると、自然と頬が緩んだ。どうしよう、すっごい和人に甘えたくなってきた。今頃もう寝ちゃってるかな。こっそり部屋に忍び込んでキスしに行ったら……ダメかな。
『あ、あとね。昨日まで旅行行ってたんだぁ。仲のいい人がチケットくれて、温泉旅行。優子にもお土産買ってあるよ〜』
『ふぁっ!? きゅ、急展開すぎない!? もしかしてそれって……泊まり?』
『うん? そうだよ?』
『この変態! えちち大学生!! さ、サキさんついに交尾したのか!?!?(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)』
『交尾!? へ、変なこと言うのやめてよ!! えちちなのはどっちなのさ!!』
ドキッ、と心臓が跳ね上がり、身体が熱くなる。
交尾、なんて言われ方はあれだけど。まあ……そういうことは、したし。人生初めてのそれは痛いって聞いてたのに、全くそんなことなくて。優しくしてくれた和人がただひたすらにカッコよかったのを今でも覚えている。
いっぱい、好きって言ってもらえて。なんども抱きしめてくれたり、気持ちよくしてくれたりした。おかげで最高の初体験になったと思う。
『……えっちは、したよ。どうしても我慢できなくて、私から……誘って』
和人には今まで何度も「むっつり」だと言われ続けた。それは私の匂いフェチやちょっとエッチなことに興味があったのが原因で。
私はその度に否定したけど、今ではもう心の底から違うとは言えなくなってしまっている。
だって、和人に触ってもらえて嬉しかった。何度か深夜にそろそろ終わりかという区切りがあった時も、私は自分から続きを求めてしまって。結局朝まで、となってしまった訳だし。
(和人が、悪いもん。私にえっちなことの気持ちよさを、教えるから……)
これからもずっと一つ屋根の下で暮らし続ける私達にとっては、ある意味問題かもしれない。
だってお互いはお互いを求めれば、すぐに手に入る位置にいるから。こんなの……我慢、できる気がしない。
『サキが大人になっちゃった。私の可愛い純真無垢なサキちゃんがぁぁ……(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)』
『え、えへへ。和人に大人にされちゃった……』
『ぐぞぅ。意気地なしコンビならまだまだ先の話になると思ってたのにぃ。なんか寂しいなぁ』
『ふふっ、優子だってモテてるんだから大人になれるでしょ? というか、もう大人なんじゃないの?』
『そ、そそそそれとこれとは別なの! う゛ぅ……とりあえずおめでとうなのだ……( ;∀;)』
『ありがとー! あ、またお土産渡しに行くからその時色々お話ししよー!』
『いつでも来やがれぇ……』
そこで、最後に締めのスタンプを送り優子とのトークは終了した。
「さて、と」
変に昨日のこと思い出したせいで身体が和人を求めてる。
もう、寝てるかもしれないけど。ちょっとだけならいいよね……。
「えへへ。和人ぉ〜」
一人、呟きながら。私は大好きな人の部屋へと向かうのだった。
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