第150話 アヤ凪コラボ配信2

150話 アヤ凪コラボ配信2



 デレレデンッ。スタートを告げる音楽と共に、画面にピンクと青の計二頭のウサギが現れる。


 アヤカはピンク、青は夕凪。慣れないパソコンゲームということもあり、まずはお互いに操作を覚えることから始めた。


『えっと……ジャンプはCTRLとENTERを同時に……』


『ウサちゃんヘッドー!!』


『へぶっ!?』


 操作を覚えることから……うん。始めたはずだった。だがひとまずジャンプを仕方を覚えた瞬間、夕凪が背後からアヤカにロケット頭突きを喰らわせた。


 これは協力ゲーム。お互いに生きている状態で、かつ人参を手にした状態でのゴールが条件とされた協力ゲームなのだ。だというのに……


『ちょ、待って! 本当に待って!? あっぶな!!』


『ふふんっ。我が娘よ、無様な姿よのぉ。どうした? ステージの切れ目でぶら下がったりして。もしや上がって来れないのかにゃぁ?』


:えっと、なんだろう。協力してもらっていいっすか?


:開幕と同時に娘に頭突きを食らわせる女


:圧倒的卑怯! これには某班長もびっくり!!


『うぅ、私まだジャンプの仕方しか知らないんだって! よじ登り方とか、分かんないよぉ!!』


『うるさいぞ。ゴチャゴチャと騒ぐなドスケベ娘!』


『ド────ッ!?』


 必死に掴んで身体を支えている手を、ガッツリと踏みつけながら。さも「お前の命は私が握っている」とでも言わんばかりに、夕凪は話を続ける。


『ここ最近、仕事で忙しくてアヤカとは連絡を取る機会がほとんど無かった。それこそこの前の誕生日配信も、なんとか時間を作ってお邪魔したんだ。そして最近やっと余裕ができてきて、アーカイブを十時間かけて見続けた! そしたら、お前ッッ!!』


 初プレイとは思えないほど器用に。ウサギの左手をビシッと伸ばし、その手先をアヤカに向けて告げる。


『何がメスアヤカじゃい! そのうえバストサイズまで喋らされていたじゃないか! 私はお前をそんなドスケベに育てた覚えはない!!』


『お、大声で何言ってるの!? ねぇみんな、私ドスケベなんかじゃないよね!? ドスケベなのはママの方だよね!?!?』


:いやぁ、う〜ん……(目を逸らしながら)


:確かに最近、ドスケベ度が増してる気がする


:自分の胸部に聞いてみな ¥2000


:諦めろ( ・∇・)


『ほぉら見ろ! リスナーの声を無視するのか!?』


『私清楚だもん!! 大体私をこんな身体にして生み出したのはママでしょぉ!?』


『うるしゃぃっ! 私はVtuberの絵師という仕事を引き受けると決めた時、″忠実な再現″というモットーを心に決めたんだ!! 元々ドスケベだったのはそっちなんだよぉ!!!』


『さっきからドスケベドスケベって、何回ドスケベって言うのさ!! ママのイジワル!!』


『はっは、何とでも言えドスケベ娘が!! 私に踏まれて身動きも取れない癖によぉ!!』


:ところで、今更だけど何が始まったんだこれ(・∀・)


:いつのまにかアヤカへのお説教になってて草w


:ドスケベ……だが、それでいい


:お母様からの偉大な言葉ぞ。受け入れなさい


:失礼だな、ドスケベだよ ¥10102


『ほら、助けて欲しくば許しを乞え! ドスケベですみませんでしたって! こんなに清楚なお母さんのお腹の中から出てきたのに、一人だけこんなエッチな身体ですみませんでしたって!!!』


『言うわけないでしょ!? この、離せぇ! やめろぉぉ!!! 足でゲシゲシしないでぇ!!!』


『クソッ、強情な娘め。ならもう、一回落ちとけぇぇぇぇぇ!!!』


『んにゃぁぁぁっっ!?!?』


 ドゴッ。頭を思いっきり蹴られ、アヤカは落下していく。


 そして、それと同時に。このステージのクリアは不可能とされ、夕凪に残された選択肢は一つとなった。


『お母さんも、一緒に逝くからね。地獄の底でドスケベしまくってあげるからね!!』



 第一ステージ。一つ目の穴にて、脱落。

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