SF小噺隕石衝突。そして冬へ

「初めまして、異星人です」

 四畳半のアパートに異性人がやってきた。

「今日は渋谷という街で人間観察が出来ると聞きまして」

「あの、どちらさまから聞きました? ですか?」

 とりあえずタバコに火をつける。あ、人がいるのに断るのを忘れていた。まぁ、自分の部屋だしいいかとニコチンを肺に入れて、吐き出す。

「それについては、アナタに本日の人間観察の案内を引き受けて貰えてから答えるようにと指示が出ています」

 鼻先に漂うタバコの煙を吸い込んで異性人と名乗った奴は少しフラッとする。

「これは原始的な……毒物ですね」

 まぁ、ニココチンだしね。

「で、どこを観察したいと?」

「我々は、東京中に前のりで偵察を出しています。もちろん人間ソックリの格好で」 

 なるほど、確か今日は投票日。日本の政治の観察か。

「そして夜は世界中でパレードがあると聞きまして……」

「君たちはその……皆、地球人タイプなんですか?」

 パレードって言うのだろうか?まぁ、今日はハロウィンだし。

「いえ、擬態を嫌がる種族もいます。そこでアナタに怪しまれない変装を指示して貰えとあの方に言われたたのです」

 狭い部屋に時計の秒針の音がする。熟考した答えは……

「これはマスクといいます。口元にかけていれば怪しまれる確立が減ると思います」

「こんな原始的なろ過機で……ありがとうございます」

「あの……誰からここへ行けと?」

 立ち去りかける異性人に問うた。

「われわれの世界で『女神』と呼ばれる存在です」 

 うわー神様ぶっこんできたよ! しかし、今年のハロウィンは少し違うのかもしれない。

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