SF小噺ICBM
紅茶を淹れるのに銘柄は気にしない。気にしないどころか銘柄不明のティーバックでも一向に構わない。熱い湯を注いで飲むだけだ。ただし、お湯を入れる前にドライフルーツを一つ、二つ。
まぁ砂糖が入っていないドライフルーツは入手が難しい。乾物屋までいけば入手できると思えば扱いが無いといわれることが多々ある。ネットで調べるとこれまた結構、割高だ。最終的には二万程度の出費を我慢して野菜や果物を乾燥させる調理器具を手に入れるのが一等良いかもしれない。
「さて、人間の冷凍保存の可否についてだが……」
「あー、流行りましたよね。一九八〇年台に」
「クローン再生のが早くないすか?」
「そもそも生き返られるの? まぁ、できんだろーけどさ。ここだけの話、金持ちの道楽っぽいよねー」
議論は続くが、金持ちの道楽と聞いて、古代エジプトのミイラを思い出す。
復活するのは、今日か? それとも明日か? と臣民を期待させている間に古代文明は滅び、次へと移行したに違いない。
冷め始めた紅茶に浮かぶドライフルーツを口に含んでかみ締めた。
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