アサガオ少年

ちぃーた

第1話

僕は占いが嫌いだ。


他にも嫌いな物はある、犬とかピーマンとか...だけど今一番嫌いなのは占いだ。


だって、僕は今日一位だったのに同じクラスの小林くんに僕の好きな人をクラス中に広められるし、ソータに朝貸した僕の消しゴムは帰り際になっても帰ってこなかった。


僕は怒っている、イライラしている、

だから僕はがむしゃらに走って帰った。

風が「ゴウゴウ」と鳴いて、

給食袋は「ガシャガシャ」と、

まるでジェットコースターに乗ってるみたいだ。


楽しかった。


だからその時気づかなかった、

僕はいつの間にか入ってはいけないところに入ってしまっていた、

「あっ...」

思わず声が漏れる。


ここには家がいっぱいある、

ただの家じゃない...僕にトラウマを植え付けた場所...僕が犬を嫌いになった理由...


ここに住んでる人はみんな犬を飼ってる、僕は犬が嫌いだ、だけど小さい犬は違う小さい犬はかわいい、しかしここの住人はみんな大きい犬を飼っている!!...と思う


足はきっと僕を止めてくれたんだろう、

まるで金縛りにあっているように足は動かない。


その時脳裏を過る「逃げ出した」自分


「あの時とは違うだろ、僕」

勇気を出した

克服する時だと思った


「グッ」


足が動く、前に進む、


そして次にするのは後悔だった。


その道は家に囲まれていて、

いつどこから吠えられるかも分からない、

天然のお化け屋敷だ。


僕はランドセルを盾にして自分の身を守る、


「何をしてるの?」


その声の方向を向いた瞬間目に写ったのは

薄茶いろの「うわぁぁあ!!」認識より先に声がでる、「え?」戸惑うその声は僕の耳まで届いて、この状況を見られてるという現実は恥ずかしさとなって僕を襲ってきた。


完璧なスタートダッシュ


「ハッ、ハッ、ッッッ...」


走った、走った、頭が痛くなるまで...

逃げたんだ、その薄茶いろの大きな犬から、

恥ずかしさから...


マンションのエントランスを通り、

エレベーターに急いで乗る、

エレベーターはゆっくり上がり走って忘れようとしていた思いは向かってくる列車のように強く鮮明に脳内で再生された。


「っっ...!」


叫びたい気持ちを殺して耐えた...

「...なんだよ一位って」

壁に手をつき、心の底からそう思った。

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アサガオ少年 ちぃーた @expresstrain

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