十四、後一つの度胸
「……失礼します」
誰かが入ってきた。
「お
「うん」
彼女の、その落ち着きのある
「主様方は、
「あそこの、遠いところにある、小さなお倉。あそこが
でも、いない
あそこに行く。……あんなに遠いのに、どうやってだ?
ふと、
「ねえ、
「はい」
「私もさ、あなたみたいに、鯉になることってできる?」
「本気になられたのですね」
「本気……、うん、本気」
「なれますよ」
「本当!?」
「はい。見ていてください」
というと、
ない。しかし、その代わりに、リボンのような形をした、桃色の
すごい! すごい! ユウも、鯉になることができた。嬉しくて、大きな八の字に泳ぎ回った。そのまま、
「すごいのぉ、鯉になった」
これで、あそこの倉にも行くことができる。でも、
そうだ。あの『
図書室にて、
えー、怖い。危険。命の保証はない……。この不思議な世界だから、何が起こるかわからない。本当に、命を落とし
いつまでも、うだうだと
そんなことを考えていたら、夕食の時間になってしまった。女房が呼びにくる。
ご飯を食べている
「なんだか、ずいぶんと固まってきていましたね。
「私は、……全然、強くない」
「いえ。
そうなのか。そういえば、上の兄も、言っていた。
「ユウは強い。だって、お母さんとお父さんの間に生まれた子供なんじゃ。二人はぶち
ついでに、
「わしんとこは、
と言うと、「あ」って、ユウの方をみた。
「ユウのことも好きじゃよ。海と同じくらい。いや、それより上じゃのぉ。じゃけぇ、ユウのことを好きって言えんと、生きてる
思い出すだけで、あの
ユウは、立ち上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。