十二、広敷乃倉
「ユウのお兄ちゃんたちって、どんな人?」
ある時、
「上のお兄ちゃんは、すごくしっかりしていて、下のお兄ちゃんは、元気で動き回るのが好きなんだよ」
ユウは答えた。
「わしんところは、
「優しかったりするの?」
「いや、
「うちのお兄ちゃんは、殴ったりすることはしなかったよ」
「えー、えーのぉ」
二人は、初めて対面してから、七日も
ユウは、
戦争の方が、思っていたよりも、長引いた。その
あの後、広島の街はどうなったのだろう。
あの一撃で、こうも街が
あれがなければ、今も
それが、全部が全部、あの一撃で、全てが吹き飛んでしまった?
皆に会いたい。海人にも、母にも、兄にも、父にも。
今が、一番
大切なのは、ハッキリすること。自分の意思を。負けないこと。逃げないこと。私が一番好きなのは、
自分の
兄二人が
主様は、すごく優しい方だけれど、もし、それを言ってしまったら、どうなるだろうか。ひょっとすると、すごく怖い人になるのかもしれない。
すると、
「ずいぶんと、
どうして、それが?
「主様には、
何だか、まるで心を
「……ものすごく」
「主様には、
「……絶対に?」
「はい。絶対にです」
ここは、一つ言ってみようと思った。
「……実は、私には、恋人がいて。でも、あの、
「……
「ヒロシキ?」
「うーん、私もよく存じ上げないのですが……。図書室に行けば、何かわかるかも知れません」
そこに行けば、何かわかるかも。……確かに、最初にお部屋を見てまわった時、
「ご
「主様は、お
「はい」
「では、どうぞ」
部屋に入って、まず目につくのが、
その
ここに、何かあるのかな。とりあえず、
倉! あそこのやつだ。ユウは、
『
『宮の
もしや……、
書斎と通じる戸が、ゆっくりと開く。隣で書きものをしていた、
「
「ひゃあ!」
ユウは
「こういう書物とか読むんだね。意外だよ」
「……私、本読むの好きで」
でも、こんなカタブツには、
「好きなのはいいけど、
「はい」
戸が閉められると、ユウは頭を抱えた。もう、
それを
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