五、群青の中の満月
「
良いタイミングだ。ちょうど、お
「はーい」
主様のお部屋に行くと、食事の準備ができていた。個々で使う黒く
この小さな四角の台は、円を書くように真ん中に空間を作って、囲っていた。円というよりも、八角形の形だ。ユウと
「
「……すごい」
「食べないの?」
ぐぅぅぅぅ。ユウの
「ほら。早く食べな」
「……はい」
他の皆が、食べ終わっても、ユウはまだ食べていた。
「すごいゆっくり食べるんだね。
「こんな美味しいご飯は、貴重ですからね。大切に食べないと」
パクり。すごく美味しそうに食べている。
すると、
「今から、彼らに
「よろしいですか。
三味線の男房が、
「うん、いいよ。お願いします」
「では」
男房は、三味線の音を鳴らす。すると、女房の二人は
最後に、
さ、かたつけましょうか。との声が聞こえた。ユウはハッとした。
「はよ、食べんと!」
味わって食べるだなんて、
「
「だって、ぶち(すごく)遅れとるけぇ」
慌てているせいか、ユウに
「大切に食べないと、とか言ってたじゃん。さっき」
もう、
自分の部屋に戻ると、ごろんと畳の上に転がった。あー、楽だ。大の字になって、天井をぼーっと見ていた。昔、兄たちがよくやっていた。ユウもやってみたいと思ったが、女の子のユウがやるのは、あまり良くないと思い、なかなかできなかった。
今は、一人だけの空間だから、人の目を気にする必要もない。
ユウは、
あの月の光を見ていると、いつの間にか
ずっとずっとここにいて、
でも、意外と
コン、コン。誰かがきた。
「失礼します」
主様だ。戸が開き、主様の顔が
え、そんな。まって、まって。そんなこと。
ユウは、自分でもよく分からなくて、
さっきまで、強く想っていたことも、激しくかき
主様が横に座った。ふわっとやってくる彼の優しさが、さらにユウを混乱に落とし入れる。
「やっぱり、美しい。君の、その
そういう、
「君をここに連れてきて大正解だったよ。すごく楽しそうだったし」
「でも、
「……はい。どこもすごくきれいでした。こういう和の感じ、好きです」
「それはよかった。明日は、
と、立ち上がった。
「おやすみ」
そう言って、
ユウは、もう一度、月を見上げた。
会いたいけれど、会えない。どうしたら会えるのか、わからない。ただ、そうやって悩んで、強敵の
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