二、青と赤の世界、錦の國
青空を泳ぐ。鯉は池を泳ぐように、空をスイスイと泳いでいた。
やがて、空の青に、波があらわれた。海のようにだ。
どういうこと? ユウは思った。空は海へと変わったの?
波は
これは、海ではなく川だと、ユウは思った。だって鯉は
この流れは、激しさをましていった。鯉の泳ぐ速さも、どんどんスピードを
「うわわあ」
ユウは、つい声が出てしまった。それくらい、迫力があった。白波が立つほどに、流れは強く激しくなっていく。ぎゅと鯉の
そこに追い討ちをかけるように、今度は
「あっ」
とユウは、またもや声を
滝のような、激しい流れにも逆らい、
パッと目を開けた。そのときには、もうすでに、
「ここが、
ユウの目の前には、
きれい。
そして、
「では、
この世界には、風というものが存在しないらしい。さっきからずっと、風の
そういえば、ユウと
「あら、おかえりなさい、
「ただいま、
「はい。お待ちしておりました。
「もちろん。こちらへどうぞ」
神殿に上がった。また、
「まずは、お着替えをしましょう。お
広島にいたときに感じていた、痛み苦しみは、気づけば、なくなっていた。残っているのは、今は大きく
「主様にもお見せするのですから、美しくドレスアップしましょう」
「……主様って?」
「大丈夫ですよ。気さくですごく優しい方なので。
すごく長々と
衣装部屋らしき、着物などが多く
「どうぞ」
ハッ! ユウは我に返った。
「……ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。さあ、こちらへ」
「
「主様の心を
「お願いね。二人とも」
「もちろんです」
女房たちは、ユウにぴったりだという着物を着せ、髪を
「できあがりました」
全身を
「素敵ですよ」
「ええ、お美しい」
「お似合いですよ。では、主様のところへご案内いたします」
ついに、主という方との対面。女房たちがいうには、とても素敵な方らしい。でも、すごく
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