第67話 ニューマシーン✖️2

「次の休み、海に行くわよ」


いきなりそんなことを言われてしまったが


「まだ2月だよ」


「だからじゃない、暖かい南国の宮崎に行くのよ」


ここは駐輪場。

はるなっちに捕まって、そんなことをいきなり言われてしまった。


まだ冬用のジャケットを身につけないと寒々しい世界だというのに、何をいきなり海に行く気になったのか。


「CB400SSのお披露目しようかと思ってね」


なるほど、それでいきなり長距離走ろうとか言い出したのか。


「下阿蘇ビーチってとこがあってね、そこがすっごいいいらしいの。近くに道の駅とか食事するとこもあるからちょうどいいかなと思って」


スマホで距離と時間を見せてくれると、2時間くらいで到着するらしい。

途中、高速?自動車専用道路?というとこを通るので時間が短縮されるのだとか。


「この自動車専用道路がカブだと走れないから今までルート考えてなかったんだけどね」


そうか、400ccだと大体の道は通れるのか。

自走車専用道路は、無料の2車線高速道路みたいなものなのだそうで、80km出していいらしい。

というか、私もそんなに早く走ったことないんだけど。


「せっかく400で行くんだから、それ相応のとこはしりたいジャない」


なんて話しながら、休日の予定について話していると


「それ、私も一緒にってもいい?」


とひなっちが話に入ってきた。


「ヒナミはKTM125だから無理でしょう」


とはるなっちが言うと


「ふふふ、はるなが400を手に入れたなら、私も中型手に入れるに決まってるじゃない」


「何?390デュークでも乗ってくるの?」


「それは当日のお楽しみにで、で、私も参加してもいいわね?」


「126cc以上に乗ってくるならいいわよ」


と3人でツーリングすることが決まってしまった。

まぁ、叔母さんと従姉妹と会うという日は2週間後だし。その前にちょっと気分転換しておくのはいいかもしれない。


最近バイクで通学しかしてないから、たまには遠くにいきたくなる。

宮崎というと南国でマンゴーがなってるイメージがあるけど、どうなのだろう?



そして、当日。

私の家にどっドッドと音が聞こえてきて、高藤先輩のかと思ったけれど外を見るとはるなっちのヘルメット。

どうやら、これがCB400SSというものらしい。

ガレージに招き入れて改めて眺めてみると、タンクが白くておしゃれな感じがするけど、高藤先輩のSRに似てると言えば似てる。

音はこちらの方が低いのかな?気のせいかもしれないけれど。


全体的に薄い車体でなぜスーパーフォアと同じくCBという名前がついているのかよくわからない。スーパーフォアと全く雰囲気違うし。

こっちはクラシックな感じするし。


カブの時と違って、服装もおしゃれな革ジャンとかきてるし。やはりバイクにあうファッションというものを選んでしまうのかしら。

私はコミネシリーズで固めているけれど。


いわゆる空冷単気筒というものらしく、キックでエンジンをかけるらしいけれど

「これセルモーターもついてるから楽よ」

と言ってる、

この辺がHONDAらしいとはるなっちは言うのだが。SRが潔いだけではないだろうか。


「車重が軽いから、私みたいにカブから乗り換えるにはちょうどいいし、これでよかったかなって今は思ってるわ」


お父さんとの確執も消えたのだろう。でも、これは今は販売してないバイクというので、少し古い型になるらしい。


私もまたがってみたり、キックしてエンジンかけてみたり。確かにSRでキックさせてもらったのに比べると全然楽だわ。


そんなやってると、外からシュイーンという聞いたことのないバイクのエンジン音が聞こえてきた。

シャッターを開けると、そこにはひなっちが。そして、乗っているのは少し大柄の、アドベンチャーっていう形かしら、オフロードバイクっぽい形に大きな風除けがついてて嘴がついてるやつ。


タンクには、車で見かけるあのマークが


「BMW、あんたこんなもん乗ってきたの?」


ヒナっちはそのままガレージに入ってくる。

私たちのどのバイクよりも大きく見えるけれど


「私の家にある代車。BMW310GSよ」


ヘルメットを脱ぎながら、そんなことを言う。

BMWってあの大きいバイクしか見たことなかったけど、中くらいのも作っているのね。


「へぇ、310GSか。あんまり走ってるの見たことないわね」


「BMW欲しいって人は、大抵1200とかそっちに行くから。お値段的にもこのサイズはあまり出てないかも」


「お値段高いの?」


「安い。スーパーフォアより数十万安いし」


外車なのに安いの!


「だって、これ310ccだし、だから車検あるのよ。

車検あるけど250に毛が生えた程度の馬力、パワーも400に劣る、外車だから壊れたら修理が大変、とか色々あって普通の街乗りに使ってる人はあまり見ないわね」


はるなっちがGSを撫で回しながらそんなことを言う。私も確かに見たことはないかも。


「私の店では、これは大きいGS乗ってる人が足代わりに買っていく人が多いから、2台目とか3台目とか、それ用のバイクみたいなもん。

あとはミエで買ってるかマニアね」


とはいえ、赤とシルバーの配色がいいし、大きく見える車体は私のより排気量大きく見えるし、外車というだけで何かかっこよく見えるのが不思議なところ。

あ、だからミエで買う人がいるのか。


HONDA CB400SS


BMW 310GS


HONDA CB400スーパーフォア


何やら、見た目も性能もバラバラなものが揃ってきたけど、今回のツーリングに影響はないのかしら?


「桜のバイクが一番パワーあってスピード出るから、あんたがスピード出さないなら大丈夫よ」


と言われたが、私はスピード出せるわけないのでとりあえず安心かな。


ガレージで、今日のルートと持っていくものをそれぞれ用意して、チェックしてから出発することになった。


宮崎、お母さんともあまり行ったことがないところで、一度 はにわ公園とかそんなとこに連れて行かれたような記憶はあるけど、宮崎の海は記憶にない。


ちょっと南国な感じなのかしら、楽しみだわ。










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