色々な家族模様

第59話 作戦会議といつもの

「何、桜はアメリカンバイクは全部ハーレーっていうと思ってたの?」


放課後、なぜか我が家には、はるなっち、ヒナっちがやってきてて、薪ストーブ前でたむろってる。ヒナっちは高いハーマンミラーの座椅子に寝転がってるけれど。

高藤先輩と母の会社へ向かった次の週、放課後に集まる時間が取れたので、その辺の話を聞きにやってきたのだ。

3人ともクラスが違うので駐輪場で待ち合わせになる。


今はスティードの話をし、母のその写真をスマホで撮影したものを見せながら、高藤先輩と一緒に行った内容について話していたのだけれど。

はるなっちは食いつくとこが違う。


「ベトナムじゃバイクは全部Hondaっていうくらいだから、そんなもんだと思ってたらいいじゃん」


ヒナっちはそんなことを言うが


「ハーレーはメーカー名。アメリカンはバイクの品種みたいなもの。

それ間違うとBMWもYAMAHAもSUZUKIもハーレー作ってたとか訳のわからない話になるじゃない。

バイクの品種について、しってる?」


「私のがネイキッドというのは聞いた」


「じゃあ、私のは?」


「・・・カブ?」


「カブはそうね、オンリーワンだから何って言われるとカブしか言えないわね。

じゃあヒナミのは?」


「ネイキッド?」


「そうね、一応そういう感じね。私的にはストリートファイターっぽいと思うんだけど」


「何それ?」


ということで、講義が始まった


ストリートファイターはなんか今風のカクカクしたネイキッド。刺さりそうな部品が特徴的。目つきも悪い

スクランブラーは昔の道路事情が悪い時に出てたバイクを新しくデザインしたようなもの、クラシック系とかそんなものもあるらしくSRはネイキッドだけどクラシックだろうとか、なんか結構曖昧な話をされてしまう


「つまり、これ、って形がはっきり分かれてないものは、大体の雰囲気よ。

オフロードバイクみたいなでかいのはアドベンチャー、カウルついてて長距離乗れるのはツアラー、でもこれもどっちかわかんないのもあるし。

カウル付きのSSとかも、250でSSって言いっていいの?とかあるし。

昔はレーサーレプリカ、とか言われてたし」


「結局、メーカーとか乗ってる人が「そうだろう」と思えばそうなの」


とヒナっちが話してくれる。

二人ともハーゲンダッツのチョコ味食べてるけど、それ私が買っておいたやつなんだけどな。


「それでも、長く言い方が変わらないものとして、アメリカン、ネイキッド、アドベンチャー、そんなとこはあるかしらね」


バイクの品種って面倒くさい。


それはそれとして、私の素性についての話をまとめてみたところ。二人とも母の実家については全く知らないようだった。


「それ、熊本市内でそう言われてる人ってことでしょう?

南阿蘇とか西原とか益城とか、地域によってそれぞれ顔役というか、富豪というか、名家というか、そんなのあるから知らないよ」


そう言うので、ヒナっちの家の近くにそんな人いるかと聞いてみると。


「土建屋さんでね、昔から、江戸時代から細川藩に仕えてたとか言われてる家なんだけど重要な橋とか学校とかは必ずそこが入ってるって噂だし。そこを通さないと公共事業が来ないとかそんな噂もあるとこはある。家もお城みたいだし白くて大きな犬が何匹も飼われてたりして、庭に高級外車停まってるようなとこ」


「詳しいわね」


「私の家からバイク買ってたもの」


「何を?」


「MVアグスタ Rush 1000」


「何それ、ヒナミのとこそんな高級バイク扱ってんの?」


「イタリアバイクは得意よ」


「あ、お母さんがイタリア人だったわね」


「それいくらするの?」


「600マンくらい?」


「一応500万円台で売ってる」


二輪なのに600まん?

タイヤ一つ300まん?


「コケたら終わりじゃん」


「お金ある人は外装慣らししてもすぐ修理に来るから」


「外装慣らしって?」


「コケてバイクがギャリギャリなること」


何かそんな言葉があるのかしら。

それにしても、お金持ちというのは世の中にたくさん存在しているものだ。

父もそういえばそういう種類の人であろうが。

それにしてはバイクはHONDAのその辺にあるようなものなので、バイクにお金を使おうという気はなかったのか。

それとも、修理とかそういうの考えて国産にしたのかな?


「割と、熊本でアウグスタ買う人年に一人二人いるし。そこまで珍しくないけど、よく修理に持ってくるから記憶に残ってるってだけ。

修理持ってくるのは、それだけ走ってるってことよね。というか、一回修理持ってくると半年くらい入院になるから、その人の家にあるより私んちのガレージにある方が長かったりするけど」


「外車はそれがね〜学生には信頼の日本車じゃないと乗れないわ。ヒナミのとこみたいにお父さんが修理できるならいいけど」


「はるなっちのお父さんは修理とかいじったりできないの?」


「農機具を扱うから、家でカブのエンジンとか多少の修理とかはできてるけど。複雑なのは無理よ」


へぇ、二人ともお父さんがバイクの修理とかしてもらえるのか。ちょっと羨ましい。


私の場合は、江川さんかなぁ。


私の話をしてても、すぐバイクの話に逸れてしまうのでなかなか本題が進まない気がする。


母のこと、父のこと、大体わかってきたけどなぜ結婚して離婚したのかがまだ見えてこないという話を進めるためなのだけれど。


「ほら、あれでしょよくある「我が家の一人娘が風来坊のような、ロックとかやってる不良と結婚したから勘当した」みたいな話じゃん」


ヒナっちがそう言うけど

お母さんの方が「縁を切ってる」と言ったそうなので、切られたわけではなさそうな?


「でも、近くに娘と孫がいて何もしてこないのも不思議ね。桜は今までお母さんの親戚とかお爺さんとかあったことないの?」


「葬儀の時に、すでに祖父母は亡くなってて親戚という人たちがやってきて、お骨持って去って行ったくらい」


「でも、お墓は実家にあるんでしょ?」


「骨は一緒に入れてほしいとお爺さんお婆さんが言ってたとか聞いた気がする」


「その辺の場所とか詳しく聞いてないの?」


「教えてもらってない」


「本当に親戚の人たち冷たいのね。

じゃあお母さんの方の人に話聞くのは結構難しい感じね。じゃあお父さんの兄弟とかいないの?」


「兄弟?東京でそんな話あった?」


ヒナっちとはるなっちが顔を見合わせて


「そんな話してないような気がする。一人っこ?」


「それなら、お母さんはどうなの?」


「私は、お母さんの方についてはよくわからない」


「お父さんについては誰かに聞くことできる?」


そこで、小泉さんが思い浮かんだ、そう言えば相続の時に管理人がいて、それが父の妹だとか言ってたような気がする。

今思い出した。


「じゃあ、今度はその人に話聞きに行こうよ」


とヒナっちが言うが。

母の家については高藤先輩がちょっと調べてみるとか言ってたけど、あの人受験じゃなかったっけ?




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る