占いの結果…試練に立ち向かう揺るぎない勇気
★キーワード
① 実家…「家」は家庭や生活全体を象徴、外に対する内、自分自身の内面。子供の頃を過ごした実家は自分の精神の深いところ、無意識の領域の象徴、
②亡くなった人…死の予兆、あるいは転生・再生・新しい展開の予兆。
③酒…意識の変容を
④夕焼け…物事の終わり。
⑤電話…自分自身との対話。
⑥工業地帯…任務ややるべき事、機械的に毎日同じように働き続ける自分自身。
⑦雪…厳しさの裏に隠された、目には見えない愛や恵みの象徴。
⑧飛行機…新たな環境への期待、可能性、目標達成の象徴。
⑨楽器…女性の身体を象徴。
⑩兄…兄弟姉妹は自分自身の嫌な面や隠したい面の象徴。
⑪軍人・軍服…強い力の象徴。規制・規律の暗示。
★解説
キーワードには書きませんでしたが、夢に
家はそれだけだと家庭や生活全般を象徴するとともに「(外に対する)内」というかなり漠然とした概念の象徴です。ただ、今回は進が子供の頃を過ごした「実家」で、おそらく本人は多少なりとも懐かしさを感じているはずです。夢の中で「懐かしい場所」が登場した場合は
実家の居間では死んだはずの両親や親戚たちがお酒を飲みながら
お酒は意識の変容を
今回は死んだはずの両親や親戚がお酒を飲んでいるので、これからこの人たちは死ぬんだという認識が夢に影響したのでしょう。
家族と親戚たちは
ここで電話が鳴ります。夢の世界で電話は自分自身との対話を象徴します。電話で誰かと会話する時、会話の相手が誰であれ実際に会話している相手は自分自身です。電話が鳴る際、リンケの分身と思われる人形にフォーカスが行きますから、おそらくリンケが進に自問自答をさせようと誘導しているのかもしれません。
電話に出ると兄である
ここで画面はガラッと変わって暗い工業地帯が背景になります。キーワード欄で紹介したように工場は自分に課せられた任務や毎日繰り返される機械的な労働に就く自分自身を象徴しています。
そして飛行機が頭上を通過します。飛行機はキーワードで述べたように新たな環境への期待、可能性、目標達成などを象徴しますが、今回夢を見た本人である進は飛行機に乗っておらず、ただ自分とは関係なく飛行しているだけです。しかもそれが暗い背景の向こうへ消えていく。
これらは希望の見えないまま日々の軍務に追われる進の、精神的に
その場面では雪も降っていますが、夢の世界で雪は愛の
兄・守との会話は先述したとおり自分自身との対話です。その会話自体は物語の流れからしておそらくリンケが人為的に仕向けた物でしょう。自分の負の部分と向き合わされて屈服しない者などいませんから、それで会話の後でリンケ本人が直接登場して作戦の仕上げとして進に話しかけたのかもしれません。
しかしそれでも進はまだ屈服せず、戦意を見せます。
場面が替わって夕焼けに染まる丘の上、少年の姿になった進が泣いています。
夢の中で泣くのは悲しみの表れでもありますが、同時に魂の浄化という意味もあります。悩んでいた事などストレスとなっていたものが涙によって洗い流され、希望の兆しが見え始めたことを暗示しています。
背後でハーモニカが鳴っています。夢の中の音楽はどういう場面でどういう曲がどういう風に聞こえて来たかによって大きく意味が異なってきます。前の場面の
夕焼けはキーワードの欄では「物事の終わり」と書きました。多くの場合はそうなりますが、必ずそう言う意味にしかならないと言うことはありません。もちろん、この後、
夢の中で色は必ずしも固定した意味を持つわけではなく、どの場面でどういう風にその色が使われていたかによって大きく異なります。夢占いの世界で赤い色は一般に力・情熱・危険・悲しみ・憎悪・病を暗示します。
泣いていた進はハーモニカを吹いていた軍服姿の兄・守から「もう泣くな」と言われ、父の形見としてハーモニカを渡されます。
キーワード欄で楽器は「女性の身体を象徴」と紹介しています。確かに楽器は調和を
夢の中で何かを贈るのは人間関係や好意、相手に認めてもらいたいという承認欲求の象徴で、贈り物を受け取ってもらえるのは互いの気持ちが通じ合うこと、理解が深まることの暗示です。
進は大人の姿に戻り、守と同じ軍服姿になってハーモニカを受け取ります。軍服はキーワードの欄で「強い力の象徴。規制・規律の暗示」と紹介しましたが、軍服に限らずあらゆる衣服は社会性の象徴でもあります。同じ服を着るということは、同じ社会性を共有することを意味します。
よって、このシーンは守から大切な何か、精神的指針を受け継ぎ、同じ軍人として生きていく覚悟が定まる様子を象徴的に表現しているように思われます。
そして遊星爆弾が降り注ぐのを守と二人で見守り、守から「この光景を忘れるな」と言われ頷きます。
その直後、再び場面が転換し実家の居間……ですが、守から言われた通り宇宙港から見た遊星爆弾が降って来る情景を思い出します。両親や親戚はその記憶を否定しようとしますが、進は両親や親戚に反論し、逆に否定します。
夢の中での口論や喧嘩は先述しましたが理解の深まりを暗示します。
反論したことによって両親親戚は人形になります。人形は自分自身の分身……この夢の中でこれらの人形はリンケの操り人形、あるいは舞台装置という位置づけなのかもしれませんが、もしかしたら進自身の心の弱い部分の象徴でもあり、それを認めるとともに否定することで自分自身を理解するという意味合いもあったのかもしれません。
拍手が鳴って夢のすべてが映画であったかのような演出で夢のシーンは終わります。夢の中の映画は、自分の周囲を客観的に見つめるもう一人の自分の視点を暗示します。もしかしたら自分の心の中の整理がついたことを象徴的に表現しているのかもしれません。
★総合
この夢は登場人物の一人リンケが進を精神的に屈服させるために人為的に見せた夢であり、実際にリンケによる干渉が
進の精神の深層に侵入し、進の最も弱い部分を攻めようとしている様子が伺えますが、リンケが進に直面させようとする暗い感情や現状認識に対し、戸惑いつつも進は正面から見つめ、これを試練として乗り越えます。
進の精神の底に渦巻いていた負の要素を引き出して屈服させようとするリンケの試みは失敗し、むしろそれらを整理して進の覚悟を固めさせる結果となって終わったようです。
★占った感想
今回の占いはかなり特殊です。占いの結果が作品の物語や性格にかなり引きずられた感があるのは否定しません。実際に演出家の方がどういう風に考えてこの夢のエピソードを組み上げて行ったかは定かではありませんが、アニメ作品を読み解いていくうえで「夢占い」を活用するとこういう風になるという一つの事例として考えていただければと思います。
なお、今回の夢ではリンケという存在によって進の夢が人為的な干渉を受け、夢の内容が変化してしまうという現象が起きているわけですが、こういうことは通常の夢占いでは絶対にないかと言うとそういうわけではありません。
最初の『「夢占い」とは』の中で、自意識による影響を受けずに深層心理の部分の認識を探るのが夢占いであると説明しましたが、実は自分で自分の夢を占うのに慣れてしまった人が、自分自身を占うために夢を見ようとすると、夢が自意識の干渉を受けてしまう場合があるのです。実際、私はそういう事例を目の当たりにしたことがあります。
それは別に私自身が私の夢を占ったところそうだったということではなく、自分で自分の夢占いをしようとしてうまく行かず、しょうがなく他人に夢占いをしてもらおうとした人がいて、その人の夢を私が占ってみたところ、どうもその人の自意識がかなり夢の内容に干渉しているのが分かったというものです。
夢を見ていて「あ、これは夢だ」って気づくことってありますよね?そしてそのときに自分で夢の内容をこういう風にしようと意識したことはありませんか?
今回の占いはそれが自分の自意識によってではなく、他人の自意識の干渉によって起きたという感覚で占えたと思います。
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