―41― ニーニャちゃん、驚く
「この穴から出る方法考えませんと」
「それなら、ここに来るのに使った転移を使えばいい」
ネネリの言った言葉に対し、ネルはそう提案した。
「
「まさかネネリがそんな高度な魔術を使えるなんてホントびっくりだわ」
ヴァラクが感心を示す。
「いえ、ここに来るために覚えたばかりですわ」
「えっ、どういうことよ」
「ネネリちゃんすごいんですよー! 魔導書をちょっと見ただけで、ヒュンと遠くに一瞬で移動する魔法を覚えたんですから!」
「えぇ、そうですわね……」
なぜかネネリが苦笑していた。
「あぁ、なるほどニーニャの仕業ね」
ヴァラクがそう言って納得していた。
察するにニーニャのおかげで
「ともかくですね、
「あっ、ヴァラクちゃんの天球儀!」
予備の天球儀だろうか。
それをヴァラクが受け取ると小型に折りたたみどこかにしまう。
「その天球儀のおかげであなた方のいる場所がわかり、無事転移ができたのですわ」
「おーっ、ヴァラクちゃん流石すぎる! ナイスだね!」
「わーっ、ヴァラクちゃん流石ですー!」
「ふふんっ、もっと崇めてもいいわよ!」
「ヴァラクちゃんさいこですー!」
なにを見せられてるんだろう、とネルは思った。
「そんなバカなことはやめて――」
「バカってなによ!?」
「――時間があるんですし素材の回収をしてくださいな」
「あー、
「いえ、それだけではなく」
「え? 他になにがあるっていうのよ」
「ヴァラク、まさか気がついておりませんでしたの」
そう言ってネネリは陥没穴の壁のほうに近づく。
「わーっ、きれーい」
ニーニャがそう呟いた。
そう、そこにあるのは壁に埋まった光り輝く鉱石の数々だった。
「ちょっ、これ金とかもあるんじゃない! ってこっちはオリハルコンじゃない!?」
「もしかしたら
「ホント綺麗ですねー。アクセサリーとかにしたいです」
「ニーニャ、アクセサリーどころじゃないわよ!」
「えっ、そうなんですか?」
「家が買えるわ」
「家!? そんなのが買えちゃうんですか!」
「しかも豪邸が買えるわね」
「豪邸!?」
「でも、こんなに持ち運べない」
ネルはボソリと思ったことを口にしてしまう。
「ふふっ、ネル。こっちには秘密兵器があるのよ」
ヴァラクが自慢げに胸を張っていた。
「えっと、アイテムボックスがあります!」
するとニーニャの指輪が箱の形状になる。
アイテムボックス。そんな高価なアイテムを持っているなんて。
「それじゃ、ニーニャ。どっちがたくさん採れるか勝負よ!」
「ヴァラクちゃん相手だからって、負けませんよー!」
そう言って、ヴァラクとニーニャが剣を使って掘り始める。
「ホント飽き飽きしない子たちですわね」
遠目からネネリが呟いていた。
「ほら、ネルも手伝いなさいよ!」
ヴァラクが手を振っている。
「う、うん……」
戸惑いながらもネルは立ち上がる。
それからネルは懸命に鉱石の採掘をするのだった。
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