クリスマスの思い出
この世界には、『クリスマス』は無いのだな。冬至祭の後片付けをするサシャの青白い頬を見上げ、息を吐く。
あの日本海側の町でのクリスマスの思い出は、父が焼いてくれた美味しい鶏肉と、翌朝の枕元に置いてあった図書カードのみ。……いや。首を横に振り、もう一つのクリスマスを思い出す。大学に入った年のクリスマスに、大学が主催するクリスマスイルミネーション企画の手伝いを教授から頼まれたトールは、幼馴染みの小野寺と伊藤をその企画に巻き込んだ。
今年も、二人はあの企画を手伝っているのだろうか。不意の想いに、身体が熱くなる。それならば、嬉しい。脳裏を過った幼馴染みの幸せそうな顔を、トールは首を横に振ることでごまかした。
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