石投げ練習中

 友人オーレリアンが投げた石が、遠くの的に当たって澄んだ音を立てる。

 あいつ、こういうことだけは上手だな。横にいたエリゼに照れたような笑みを向けた友人に、胸が疼く。剣技は普通、勉学は落ちこぼれに近いオーレリアンだが、弱いものはしっかり守り、そのくせ逃げ足も速い。その矛盾に、エリゼは好意を持っているのだろう。

「やめとけ」

 手の中の石をオーレリアンの方に投げかけたレクスの腕を、石投げの師匠、酒場の主人ルーファスが止める。

「あの二人がこれ以上親密になるの、見てられるか?」

 確かに、エリゼを庇うオーレリアンは見たくない。にやりと笑ったもう一人の友人、チェスラフの言葉に、レクスは石を握りしめた腕を降ろした。

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