洗濯好きの理由
揺れる洗濯物の向こうに見えたのは、普段通りの白い影。盥の側にしゃがんでいるその影に向かって呼びかけるギリギリで、トールは自分の声を喉にしまった。目の前の影は確かに、サシャに似ている。だが、サシャよりも少し儚げ。
はたと、目を覚ます。
視界に映ったのは、整然と干された洗濯物の海と、『本』であるトールを抱き締め、疲れた顔で午睡を取るサシャの細い腕。
サシャが洗濯好きな理由は、サシャの母が洗濯をするのを見ていたからだろう。先程の夢からそう結論づける。トールも、父と母を見ていて自然と本を読むようになった。小野寺と伊藤が楽しそうだからサッカーが好きになった。眠気に負け、トールは再び幻の瞼を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。