第8話 指輪
少し冷静になった私は口元を押さえながら質問を続ける。
「その指輪は今も持ってる?」
「はい。無くさないようにケースごと持ち歩いています」
「持ち歩いてる!? ……ちなみに名前は?」
「当時はみこちゃんと呼んでいました」
みこちゃん。
この学校にもみこちゃんと呼ばれそうな名前の生徒は数名いる。
まさかね……。
「また会えるといいね」
みこちゃんをとりあえず心に仕舞っておくことにする。
「さて、お互いのこともわかったし活動内容思いついた?」
そう言って話を元に戻す飛鳥。
「相談部! なんてどうかな」
「ほぉー、なんで相談部?」
「花凛ちゃんの話を聞いて、恋する人の話を聞いてその人たちの役に立てたら嬉しいなって思って」
「え? さっきの恋のお話ではなかったのですが」
花凛ちゃんが私のセリフを慌てて否定する。
「まぁ、そうかもだけど、人の役にも立てるしどうかな?どうかな?」
飛鳥が花凛ちゃんの顔色を伺う。
ホットティーで口を潤し一呼吸置き、花凛ちゃんは頷いた。
「はい、ぜひお二人と相談部?挑戦してみたいです」
「けってーい!!」
飛鳥が可愛らしく小さなガッツポーズをとり、相談部で決定となった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「うーん、活動内容的には部活じゃなくて同好会での申請になりそうね」
翌日クラス担任の芽依先生に顧問を頼むため、放課後相談を持ちかけていた。
「同好会で大丈夫です!」
部活動とは違って予算が落ちないくらいの違いらしい。
「申請書持ってくるから待ってて」
小走り教室から出て行く芽依先生。
飛鳥の匂いと花凛ちゃんの匂いが合わさってシャンプーの後の匂いがする……。
飛鳥と花凛ちゃんの会話している声が心地良く耳に入ってくる。
匂いを楽しみながら音も楽しんでいると、香水のシャンプーの香りが混ざっていることに気付く。
大人っぽいシャンプーの香りの香水。
匂いをたどり廊下に出てみるとストレートの赤茶色の髪の美人が壁にもたれかかっていた。
「あの? 誰か待ってます?」
美人に声をかけると睨むようにこちらに目を向け
「は?」
と一言吐き捨てた。
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