死ねるということはなんだろうか
バブみ道日丿宮組
お題:来年の何か 制限時間:15分
ねるということはなんだろうか
余命があと一年と医者に言われーー親が悲しんだ。
ボクとしてはやっと死ねるのだとほっとしたところだというのに。
『やりたいことをやって死んだほうがいい』と先生に言われた。それで寿命が増えるわけじゃないし、ボクは以前と変わらず家に居続けた。
親はなんどか外出しようと誘ってきたけど、ボクには一切興味がなかった。
もともと生きることにさえ、魅力を感じてなかったボクだ。今更外の世界に憧れるというわけがなく……だいたい世界がボクを壊したのだからその世界に戻るなんて愚かな行為。
『世界に産まれたのは祝福だ』と、幼馴染はいう。
そんな幼馴染は毎日のように頼んでもいないボクの世話をし続けてる。
学校も休学しボクについてくれてることは喜ぶべきなのか、駄目だと説教をくれてあげるべきなのか。考えても答えは出ない。
ただ、悪い気分はしなかった。
ただ……毎回一緒にお風呂に入ろうとする神経が理解できない。
ボクの病気は別に身体能力に異常がでるわけじゃない。
中身が腐ってくだけ。
そこに痛みを感じて、吐血することはあっても動かせないわけじゃない。歩くことも転がることも、逆立ちすることもできる。
だから、少しだけ困ってる。
まぁ……身体つきがいい幼馴染の裸を見るのは眼福で非常によかったといえばよかったのかもしれないが……。
『余命がないなら、赤ちゃんを作ろう』とも言われたことがある。
それに対して、物心ついた時に父親がいないのは不便だと思ってボクは何度も断ってる。
死ぬ時はなるべく他人に負担をかけたくはない。生きてるだけで負担をかけてるのだから当然だ。
何度も死にたいと思った。
それが現実にできるのだと思うと嬉しさのが強い。
誰が悲しもうとボクはそうしたかった。
産まれたことを何度も悔やんだ。
それもあと数日で終わるのだと思うと、ホッとしてくる。
ただ……本当に死ねるのかはわからない。
医者は『かなり内臓がやられてるが、すぐに死ぬということはない』と診断した。
そしてボクは3年の時を超えても、まだ死ねてない。
死ねるということはなんだろうか バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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